キカクブ日誌

熊本県八代市坂本町にある JR肥薩線「さかもと駅」2015年5月の写真です。

野嶋 剛著「台湾とは何か」

2016年07月05日 | ☆読書
台湾とは何か (ちくま新書)
野嶋 剛
筑摩書房


実に久しぶりに読んだ台湾関係の本。

もともとあまり本をたくさん読む方ではないけれど、台湾に興味を持ち始めた20年前は、ガイドブックや紀行文も含め、台湾関係の本を読みつくす勢いで読んでた。まだ、総統が李登輝さんだった頃ですね。

当時、車で外回りをする仕事していたので、空き時間にはその土地の図書館に寄って、トイレ借りるついでに台湾関係の本を探して読んでた。今みたいに図書館蔵書のオンライン検索システムなども普及していなくて、現地に行かないとどんな本があるのかわからないから、図書館を見つけるごとに寄っては台湾の本を探した。

「台湾ってどんなとこ?」
「台湾の人たちってどんな人たち?」
「どんな家に住んでるの?」
「何食べてるの?」
「子供たちは学校で何を習うの?」
「休みの日はどんな風に過ごしてるの?」

何でも知りたいお年頃でしたね。

そして、そのあとから台湾に熱心に通うようになって、知り合いも沢山出来て、いろんな議論もするようになったりして。それに比例して、本を読まなくなりました。
「書を捨てよ町へ出よう」ですね。

「ゴーマニズム宣言」が評判になっていたころにはもう読まなくなってた様な気がします。渡辺満理奈の旅の本なんかも読んでない。
そして数年前に久しぶりに人に紹介されて酒井亨という人の台湾本を読んだら、なんだかすごく気分が悪くなったので、以来、台湾本には近づかないようにしてた。


前置きが長くなりましたが、そんなわけで久しぶりに手に取った台湾関連の本です。
なかなか読みごたえあり、とても面白かったです。
「この話もう知ってるよ」とか「え?私の知ってる台湾とずれてる。ほんとなのこの話?」と思うようなこともなく、知らない話も、詳しくなかった話も、とても新鮮で、純粋に知る喜びを味わいました。

台湾に興味を持ってる方々にオススメします。
また、台湾のことをあまり知らない方にもお勧めします。

この20年自分が台湾とかかわる中で肌で感じてきたことを文章化してもらったような感覚でした。著者は「肌感覚」という表現を多く使っているけど、まさしくそれ。
「天然独」という言葉などは、この本で初めて知ったのだけど、言葉こそ知らなかったがその感覚は台湾のと付き合ってきた自分の中に既にあり、本を読むことはこの20年の自分と台湾とのかかわりをトレースすることでもあり。

著者は「日本は台湾に対して(72年の国交断絶以降)思考停止している」と言っています。その自覚はなかったけど、(というかむしろ毎日毎日台湾のことを考える20年だった)言われてみればそうかもしれません。
昔、私の同僚などは台湾と韓国の区別もついてなかったし。
台湾は中国の一部と思ってる人も多かったし。
中台問題に関心すらない人も多かった。


でも311以降、日台は新しい関係に入ったと言えるのじゃないか、というのは私もすごくうなずけるところ。
国際政治問題で難しい位置にいる台湾という存在。
日本の隣の国。
歴史的にも日本と深い関係にある国。
その近さ、縁の濃さの割に、正当な関心が払われていなかったと感じてきたけど、311の際に台湾から寄せられた、ものすごい額の義捐金は日本人の目を覚まさせるのに、十分だったようです。
それ以降、台湾をありのままに理解しようとする日本人が爆発的に増えていると感じます。

少なくとも
「それ、ちがう、それ香港ね」
とか
「あ、それ韓国の話だし」
「え~っとそれは中華人民共和国の話とごっちゃになってるよね?」

みたいな違和感を感じる場面が激減したこの5年です。










おまけの話。

若いころ左翼的な考えの人が周りに多かった私は、自然とそういう思考をしていたのですが、そこに息苦しさも感じていました。台湾と付き合うようになり、右翼的な考えの人とも付き合うようになりました。
一番強烈だったのは、台湾の日本語世代の方と親しくなった時に「日本からお土産何がいいですか?」と訪ねると「SAPIOを買ってきてください」と言われたことでした。「え?こんな雑誌読む人いるんだ。初めて見た」と思いました。

日本を知る日本語世代の方を話をしたりするうち、私の考え方は結構変わってきたと思います。日本国内にある左翼、右翼とも違う外からの目。これはとても新鮮なものでした。
視点を変えるというのも大切なことだと思います。

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