昨夜、ラジオのダイヤルを回していたら、「斎藤茂吉、石川啄木、宮沢賢治」と聞こえてきた。普段あまり聞かないNHK第2放送、偶然に出会った文化講演会だった。
途中から聞い講演会は、宗教学者 山折哲雄氏の「震災と日本人の心」だった。
** NHKの番組解説 **
【少年の日の記憶につながる東北の震災地に立った時、山折さんは「地獄」という言葉を思ったという。しかし猛威をふるった自然はあまりにも美しく、人々は柔和で穏やかな表情だった。日本人の心性は自然とどう向き合うかによって形成されて来たのではないか。大震災が日本人の心に与えた影響を考えつつ精神の行方を探る。 】
メモをとりなが耳を澄ませた。
---- メモから -----------
《斎藤茂吉、石川啄木、宮沢賢治》
『3人に共通するもの・・・「盆地的世界」、「閉鎖的社会」』
・盆地:美しき自然、山、川
上山 ・・・最上川、蔵王、鳥海山
渋民村・・・北上川 岩手山
花巻 ・・・
○茂吉のキーワードは「赤」
第1詩集は「赤光」:出所は阿弥陀教典にあった。
「あかあかと一本の道とほりたりたまきはる我が命なりけり」(あらたま)
浄土教のイメージ
○啄木のキーワードは「心」
「不来方のお城の草に寝ころびて 空に吸はれし 十五の心」
一握の砂、悲しき玩具・・・徹底的に「こころ」を歌っている。
その心の在り方・・・人の心の有り様は西行と同じ
万葉集(挽歌 相思歌)の人間観に共通
風葬:死者の魂は山に登る、神になり、雲、霧
もとの遺体に戻らない・・・死
○賢治のキーワードは「風」 作品にはいろいろな風が吹いている。
「注文の多い料理店」、「銀河鉄道の夜」・・・文中の「風」
風とは何か :妹トシ:「永訣の朝」
「オホーツク挽歌」にトシが現れる
● 3人の近代詩人のキーワード「赤」「こころ」「風」の持つ世界、思想は同じ。
万葉以来の死生観である。
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講演を聴きながら、豊かなこころの世界が広がった。
この講演内容を、興味深く聞くことができる自分のこころを幸せに思った。
再放送は9/8にあるようだ。途中から聞いたので、震災との関連について、もう一度しっかり聞いてみたい。
相変わらずの旺盛な知識欲、感心するのみです。東北には、斎藤茂吉、石川啄木、宮沢賢治と偉大な詩人が出て居るんですね。その上、太宰 治と、東北は知識人の塊のようです。「この講演内容を、興味深く聞くことができる自分のこころを幸せに思った。」この精神、私にはこの精神が欠けています。最近は本を読めば読むはじから忘れてしまう状態です。アルツハイマーかな、なんて思うことがあります。
知識欲だなんて、ただ、常に感動を求めたい気持ちはあります。
普段忘れている3人、あらためてそれぞれの心揺すぶられる生き様を思います。
歌や詩は詠めませんが、鑑賞することでこころ豊かになります。
若き日に啄木にあこがれ、渋民村、不来方城祉を訪ねました。ほのかな青春が浮かんできます。もう戻れませんね。