新・幕末史 グローバル・ヒストリーで読み解く列強vs.日本

2024年03月28日 08時34分31秒 | 社会・文化・政治・経済

NHKスペシャル取材班

幕末の英雄と言えば、西郷隆盛、坂本龍馬、勝海舟ら。

だが歴史を動かしたのは彼らだけではない。

幕府と反幕府勢力の戦いの背後では、世界の覇権を争うイギリスとロシア、そしてフランス、プロイセンなどの列強が、日本への影響力強化を目論み、熾烈な攻防を繰り広げていた。

各国の思惑、幕府軍・新政府軍への介入はどんなものだったのか。

日本はなぜ独立を守れたのか。

国内外の最新研究や機密文書を踏まえ、地球規模で歴史を俯瞰するグローバル・ヒストリーの視点で、黒船来航から戊辰戦争終結までの激動の十六年を描き出す。

出版社より

新・幕末史
新・幕末史
 
  • 出版社 ‏ : ‎ 幻冬舎 (2024/1/31)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2024/1/31

 

NHKのテレビ番組を観て我が意を得たりというか待望の視点

いままでの明治維新のドラマは 旧守の幕府対新しい若き血潮の薩摩と長州という構図が一般的だった。
しかし、世界列強とくに大英帝国の世界支配戦略の視点のなかで とらえなおすべきである。
この視点にたったNHKの番組があったが、その取材班が作成した本。
まずは ロシアによる対馬占領事件。
これに対応する小栗忠順の苦悩と対応が描かれている。
大英帝国の対日全面戦争計画。
(ただ、日本は必ずしも負けなかったのではないかとは愚考している)この本には書かれていないが、薩英戦争では 薩摩の町は焼き払われたが、戦死者は英国のほうが多かった。
イギリスの商社 ジャーデイン マセソン商会(この会社はアヘンの商社である)とその代理店のグラバー商会の存在も明記されている。
そしてイギリスの国益を追求しつづけるパークス。
幕府のかたをもつフランスのロッシュ、ビスマルクを擁するプロイセンの野望と奥州連合、そして蝦夷地植民地計画。
坂本龍馬を英雄視する司馬史観も修正を迫られるだろう。
 
 
 
戦後の日本の義務教育で明治維新以降の歴史は余り教えられていない。
 日本を取り巻く世界の動きと日本の歴史は密接に結びついているにも拘わらず、これまではキチンとした歴史考証を抑えた幕末史はこの本が初めてである。 全国民必読である。
 
 
 
国内だけの資料によって教育された者にとって、衝撃的。
諸外国の資料からは「戊辰戦争の間に日本国の植民地化が着々と進められていた隠された事実があり、下手すると今の日本国の存在はなかったか、と憶測してしまう。
歴史教科書の書き換えの必要性ないか。
 
 
 
もう少し突っ込んだ内容を期待していた。
今や明治維新、王政復古は天皇をないがしろにした薩長のクーデタであることがはっきりしていることや、長州がテロリスト集団に主導されていたこと、吉田松陰がテロのアジテータであったこと、坂本竜馬が大したことをしていないのは歴史の常識であるが、そこが今一ぼやかされている。
 
 

 

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