人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

オードレイ・ディヴァン監督「あのこと」を観る ~ 中絶が違法だった1960年代のフランスで望まぬ妊娠をした女子学生が下した結論:これを機会に内密出産について考える

2023年04月21日 06時55分19秒 | 日記

21日(金)。わが家に来てから今日で3020日目を迎え、国連専門機関の国際農業開発基金のアルバロ・ラリオ総裁は19日、東京都内で共同通信の単独インタビューに応じ、2022年2月のロシアのウクライナ侵攻による物価高がアフリカなどの途上国で「食糧難を招き、貧困や飢餓をさらに悪化させた」と批判した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     覇権主義国家ロシアのせいで世界中が迷惑を被ってる 独裁者プーチンは責任を取れ

 

         

 

昨日、夕食に「鶏の唐揚げ」を作りました 隔週金曜日に作っていますが、今週は金曜日(今日)が夜 コンサートがあるので1日繰り上げました   栗原はるみ先生のレシピによる旨味醤油に鶏もも肉を5時間漬けておいたので、タレがよく浸み込んで美味しく出来ました

 

     

 

         

 

早稲田松竹でオードレイ・ディヴァン監督による2021年製作フランス映画「あのこと」(100分)を観ました

物語の舞台は1960年代のフランス。アンヌ(アナマリア・ヴァルトロメイ)は貧しい労働者階級の家庭に生まれたが、飛びぬけた知性と努力で大学に進学し、未来を約束する学位にも手が届こうとしていた ところが、大切な試験を前に妊娠が発覚し、狼狽する 当時フランスでは中絶は違法だった。アンヌは危険を承知であらゆる解決策に挑む

 

     

 

この作品はフランスの作家アニー・エルノーが、自身の実話を基に書き上げた「事件」を題材に、オードレイ・ディヴァン監督が映画化したものです

これはすごい映画です 全編があくまでもアンヌの目線で描かれています 観客はアンヌ自身になって悩み、決断を迫られます その意味では”映画を通しての実体験”と言えるかもしれません 自分が望む夢と未来を実現したいアンヌにとっては「望まない妊娠」であり、「産むという選択肢」は全くありません 法律で中絶が違法とされていた1960年代のフランスという時代背景を考えると、アンヌが自らの身体を傷つけてまでも「今は産まない」ことを選んだのは、「今 産んだとしても、子どもを愛せる自信がない」し、「もし産んだら、子どもに足を引っ張られる恐れがある」と考えたからであり、何より「何者にも束縛されることなく、今やるべきことををやりたいから」なのです 果たしてアンヌの出した結論は正しいのか、正しくないのか・・・映画を観ている一人ひとりが問われます

アンヌを演じたアナマリア・ヴァルトロメイの体当たり演技が凄い この映画は2021年ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞しましたが、受賞に値するリアリティのある作品です

さて、たまたま昨日の朝日新聞朝刊第1面に、熊本市にある慈恵病院で内密出産した10代の女性が取り上げられていました 同病院で、誰にも知られず 病院の担当者だけに身元を明かして出産する「内密出産」が始まってから1年あまりが経過しました 22年2月に1人目を公表して以降、9人の女性が内密出産をしているそうです。病院の担当者も同席のもと、実際に内密出産で子どもを産んだ女性が初めて取材に応じ、出産に至った経緯や子どもへの思いを語っています

地方都市に住む10代の女性は、子どもの頃から親に殴られて育ち、小学校高学年のときに両親は離婚。親に対する「怖い」とう気持ちが消えず、妊娠を告げることが出来なかった 交際していた彼に妊娠を伝えると「育てよう」と言われたが、1週間ほどで連絡がつかなくなった いくつもの病院に電話したが、「親御さんに相談しましょう」と言われ 諦めた たっぷりした服を着るなど妊娠が目立たないようにして友人宅を転々とした いつまでも隠せないので死のうと思ったこともある 6か月経った頃、聞き覚えのある「内密出産」と言う言葉をネットで調べると慈恵病院に辿り着いた 親には嘘をついて家を空け、飛行機で熊本に向かった 出産後、病院の新生児相談室長にだけは身元を明かし、身分証のコピーを残した。子どもには自分で名前をつけた。熊本を離れてからも、子どもと自身の今後について室長と相談を続けている

この記事を読んで、真っ先に思ったのは、妊娠を告げられて「逃げた」彼氏の無責任極まりない態度です この映画のアンヌのように女性ばかりが深刻に悩み、辛い決断をしなければならないという現状。おかしくないか

女性の”告白”を受けて、記事は次のように書いています

「国は昨年9月、内密出産の手順をまとめたガイドラインを公表し、身元を明かして出産するよう説得しても同意が得られない場合、仮名とわかる形で診療録(カルテ)を作成しても違法ではない、などと示しているが、法整備や出自情報の公的な管理などには踏み込まなかった」「国内で内密出産に取り組むのは慈恵病院だけだ。出産前後にかかる費用は病院が負担している 東京都内で実施を検討する動きはあるが、自治体側に慎重な声もあり、実現のめどはたっていない

慈恵病院の室長の元には「中絶するお金がない」「家族を頼れない」といった相談が日々寄せられているといいます 本当に困っている人を助けるのが国の仕事ではないか 内密出産に詳しい千葉経済大短期大学部の柏木恭典教授は「内密出産を法制化することで女性のセーフティネットとして定着させ、全国に取り組みを広げることが大事だ」と訴えているとのことですが、まったくその通りだと思います 少子化が進む日本においてはなおさらだと思います

 

     

コメント
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