トジハジ日記

日記代わり、家族への発信用として利用させていただいてます。内容はいろいろですが登山が趣味で、公開は山行記録がメイン。

2023.10.18 紅葉の朝日岳から谷川岳へ (馬蹄形縦走)

2023-11-06 16:29:52 | 日記

白毛門付近から望む谷川岳。一ノ倉沢の岩壁に目が行ってしまう。右手奥は苗場山方面。さらに奥は妙高方面。

編集中

人気コースの谷川岳馬蹄形コースは紅葉ベストのタイミングと快晴に恵まれ至福の大展望縦走だった。随分と昔のことになるが谷川岳は一度だけ一の倉沢の衝立岩正面壁を登攀してから通過したことがある。当時日本最難関と評された岩壁を怖いもの知らずの若さに任せてお盆の真夏に登り、今で言うところの熱中症で完登後、フラフラになりながら日没後の稜線を歩いた記憶が今でも鮮明に残っている。この頃は谷川岳頂上であるオキの耳、トマの耳など全く興味もなく、ただ暗闇の中をまさに通過しただけだった。この谷川岳へ岳人100ルートの一つである馬蹄形コースでいつかは再訪したいと思っていた。ちなみに日本XX名山なるものを達成した人は星の数ほどいて、評価に値しないが、岳人100ルートに上げられたコースを踏破するにはあらゆる能力が必要であり、まだ誰も達成していなないだろう。その中の一つが比較的容易なこの馬蹄形縦走だ。今回は約半年振りに心強い若手Y君が付き合ってくれた。

1日目、4時30分、まだ暗いなかをヘッデンをつけて白毛門登山口をスタート。まずはスタートから3時間の急登が待っている。夜が明けてくるといつの倉沢と幽の沢の岩壁が正面に見え始め、特に一の倉沢には幾度となく目がいってしまう。白毛門に7時30分到着。予定通り3時間で登りきると360度近い展望が開け始め、実に気持ちの良い稜線漫歩に変わってきた。紅葉もベストのタイミングだったのようで鮮やかで気分がワクワクしてくる。まずは日本300名山の一つ朝日岳に9時50分到着。こちらの山には全く疎いのでゆっくり休憩しながら自信のない山座同定をしていると後から単独の人が来て360度で展開する山々の名前を教えてくれた。赤城山、榛名山群、妙義山、浅間山方面、妙高、火打、雪を冠った白馬岳、南アルプス、八ヶ岳、燧ケ岳、至仏山、巻機山、苗場、佐武流、鳥甲、武尊山などなど。朝日岳の頂上一帯は広々とした草原、湿原地帯で池塘も点在しのどかな雰囲気のところだ。いつまでものんびりとしたいところだが、今日泊まる予定の蓬ヒュツテは遥か遠くなので、そうもしておれない。単独の人がここから引き返していったのにあわせ重いこしをあげる。ここから先に急登はなく常時、360度の展望がきく稜線歩きなのでうきうき気分だ。進むにつれて見る山々の角度が変わり見飽きることもない。途中、巻機山に続く分岐点を通過。巻機山までは随分と遠そうだが秘境ルートで山歩きの醍醐味が味わえるだろう。清水峠では水が勢いよく出ていたのでゆっくり、たっぷりと水分とエネルギー補給をした。この水場が枯れることがなければスタート時は1.5Lの水で足りるだろう。馬蹄形縦走の稜線はテント泊禁止なのだが、清水峠は避難小屋もあり、平坦地が広く、ここでテント泊する人は多いとおもう。ここから少しの間、急斜面を登りしばらく歩くと本日最後のピークである七つ小屋山に到着。ここからは今日ぐるりと歩いてきた白毛門、笠ヶ岳、朝日岳の堂々とした山塊が正面に聳えて見える。宿泊予定の蓬ヒュッテに15時頃到着。そのまま10分ほど峠を下って水をたっぷり補給し戻った。今日の宿泊者は10名。皆のザックが小さいのに驚いた。一番驚いたのは持参した水が1.5L以下の人ばかり(我々は3L)。峠から水くみに下るのが嫌で管理人に無理やり水を分けさせる人もいたし、とても馬蹄形縦走できそうもない経験のない人もいて、YMAPなどのアプリ地図を見ながら歩けば迷う心配がないので気軽ににどこへでも入り込んでいく人が増えた気がする。我々と逆に時計回りの谷川岳方面から来る人は蓬ヒュツテまでなら比較的短時間で来れるから、ここまで来て考える人もいるそうだ。谷川岳ロープウエイを使用して苦しい登りをカットしてまで馬蹄形縦走にこだわる人もいた。風雪にたえてきた小屋は小さく古くて、一晩寝るだけの規模の小屋だった(料金は安い)。料理もインスタントで質素。しかし、昔の小屋はこんなんだった。今の山ビジネスにとりこまれた贅沢な山小屋よりよほど味がある。今日は幕営許可を小屋管理人にもらい3パーティーが来た。幕営禁止を知りながらビバーク理由で許可がもらえることを知っている確信犯的登山者に管理人も苦笑していた。だがこれもyamapアプリなど山アプリ使用者間での情報によるものだ。yamapなども不適切な情報は制限する仕組みを作らないと自然破壊に協力していることになる。シュラフ持参マスト。

2日目
昨夜はいつものことだがあまり寝れなかったが、今日も好天が約束されているので稜線漫歩が楽しみでしかたがない。ラテをつけて出発。時計周りで馬蹄形コースで朝日岳方面へ向かう人たちも既に出発していた。今日の楽しみの一番は稜線から見下ろす一ノ倉沢の絶壁群を見ること。先回登った時は暗闇で且つ、フラフラだあったので何も見ずに黙々と歩いただけだったのでおおいに悔いが残っていた。まずは武能岳、茂倉岳を目指す。武能岳の頂上近くでラテが不要になってきた。笹ケ原の中の気持ちの良い登りが続く。時々、すっかり馴染みになった山々の展望を楽しみながらのぼること約2時間少々で芝倉岳に到着。ここでゆっくり休むと快調なリズムが狂うので目の前にあるピークの一ノ倉岳で休むことにして自分だけ先行する。一の倉岳に7時35分到着。衝立岩を登って飛び出した稜線がこの一ノ倉避難小屋のあるところだった。当時の記憶がよみがえってきて懐かしい。残念ながら避難小屋の中は乱れ、扉も開けっ放しだった。いよいよここから本日のハイライトであるノゾキという一ノ倉沢の全貌が見える箇所を通過して谷川岳へ向かう。慎重に下りながら身震いするほどのド迫力の頂上に突き上げる滝沢スラブが迫ってくる。一般の人はここを人が登るとということはとても考えもしないのでただの切れ落ちた崖程度にしか感じないだろうが、積雪期の壮絶な記録に精通している自分にはまさに畏敬の念で見上げる岩壁だ。ノゾキでは一ノ倉沢の迫力はあまり感じられなかったが、白く光ったテールリッジが美しかった。衝立岩登攀後に通過した烏帽子岩もよく見えた。双耳峰の谷川岳最高地点のオキノ耳に8時42分到着。標柱にタッチしてすぐにトマノの耳に向かう。3分ほどでトマノ耳に到着し、しばらくの間休みながら、今まで歩いてきたコースの山々を振り返りながら目に焼き付けた。ここからは人々で騒がしい天神コースを避け西黒尾根を下降。一度、過去にこのルートを下っているがこれほど鎖場が続いていたという記憶が全くないのは怖さ知らずの若き日と臆病になった今の自分との違いなのだろう。下垂足で傷み続けている母指球の痛みが耐えられなくなってきたころ、西黒尾根登山口に到着(11時30分)。2日間の至福の半時計回り馬蹄形縦走が終わった。


写真、コースタイムなど後日掲載

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