てつりう美術随想録

美術に寄せる思いを随想で綴ります。「てつりう」は「テツ流」、ぼく自身の感受性に忠実に。

遅きに失した梅ごよみ(1)

2008年03月27日 | 写真記


 3月の終わりごろになったら、これまで何か所かで撮影してきた今年の梅の写真をまとめて載せてみたい。そんなことを考えていたのだが、うかうかしていたら春の陽気はいよいよ進み、京都でも桜の開花宣言が飛び出してしまった。

 遅咲きの梅は、今がまだ見ごろという場所もあるだろうし、小野小町ゆかりの随心院のように、梅にまつわるイベントがまだ残っているところもあるかもしれない。しかし駅の構内などに掲示されている開花状況の案内は、すっかり桜のものにさしかえられている。街じゅうがクリスマスムード一色に染められていても、12月25日を過ぎればたちまち正月仕様に衣替えをするように、季節の移り変わりは容赦なく先へ先へと進んでいく。

 大阪天満宮のことや、万博記念公園の梅の話は、すでに1か月以上も前にここに書いていて、もはや梅を話題にするには手遅れだ、という後ろめたさもないではない。しかし桜の満開には(近畿地方の場合)もう少し間がある。過ぎた季節をちょっと振り返ってみる意味で、少しばかり梅談義にお付き合いいただければ幸いである。

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 トップの写真は、2月21日に撮影した大阪城公園の梅林だ。大阪の人にとってはスタンダードな梅の名所で、ぼくもこれまで何回来たかわからないぐらいだが、京都に移り住んでからは、さすがにあまり来なくなった。

 この日はとても天気がよく、夜勤帰りに居ても立ってもいられなくなり、久々にちょっと寄り道をするつもりで大阪城に立ち寄ったのだ。といっても前の日には大阪天満宮を徘徊したばかりで(「春の息吹を探して」)、毎日あちこちをほっつき歩いているように思われても仕方がないが、実は寸暇を惜しんでの、余裕のほとんどない花めぐりである。


〔森ノ宮駅近くの噴水。朝日を受けて虹がきらめく〕


〔松の幹にはまだ「こも巻き」が巻かれている。季節は冬である〕


〔堀の水に反射する太陽がまばゆい〕


〔坂を下って梅林へと向かう〕

 梅の花はまだ開花したばかりで、早朝ということもあって人はまばらだ。だが、最盛期の尋常でない人出を知っている者にとっては、まことにありがたい。ここの梅林はこんなに広かったのか、と改めて思う。

 誰に遠慮することもなく三脚を立て、ご自慢の高級そうなカメラで撮影に余念がない人の姿がちらほら。ぼくもそのなかに混じって何枚か撮ってみたが、梅の花は小ぶりなせいか焦点が合わず、けっこう難しかった。


〔鮮やかな紅梅〕


〔白梅ごしに天守閣をのぞむ〕


〔近くの豊國(ほうこく)神社の境内に咲いていた梅。可憐なピンク色だ〕


〔鳥居の前に立つ太閤像は、昨年完成した。作者はこのブログにもよく登場する中村晋也である〕

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 大阪つながりで、もうひとつ。3月8日、「日展」を観るために立ち寄った天王寺公園で撮影した梅である。ここは特に梅林があるわけではないが、慶沢園(けいたくえん)と呼ばれる庭園のあちこちに梅が点在していた。植物にうといぼくは、咲いてはじめて「ここにも梅があったのか」と気づいたような次第だ。


〔白梅と、大阪市立美術館。浮世絵のような奇抜な構図をねらって撮影〕


〔美しく咲きそろった紅梅〕


〔慶沢園は「植治」こと小川治兵衛による作庭である〕


〔美術館の屋根は鳩たちの憩いの場と化していた〕

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 次回もまた、懲りずに梅の話をつづけたい。

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