大野威研究室ブログ

おもにアメリカの自動車産業、雇用問題、労働問題、労使関係、経済状況について、最近気になったことを不定期で書いています。

米大のTA、労働者の権利失う

2019年09月22日 | 経済

 アメリカでは多くの院生がTA(ティーチング・アシスタント)として教育を支えている。

 ウォールストリートジャーナルによれば2019年9月20日(金)、NLRB(全国労働関係局:日本の中央労働委員会に相当)はこれまでの判断をくつがえしTAを労働者として認めないという決定をおこなった(3対1)。

 NLRBの定員は5名で、大統領が任命(上院の承認が必要)。このため政権がかわるたびNLRBの多数派がかわり、それとともにNLRBの判断もころころとかわってきた。

 TAについていえば、NLRBは長年TAを労働者として認めてこなかったが、クリントン政権の誕生により2000年に判断を転換しTAを労働者と認定するようになった。

 しかし、ブッシュ(子)政権でNLRBTAを労働者ではないと判断転換。

 オバマ政権下の2016年、NLRBはふたたびTAを労働者と認定。

 今回、トランプ政権下でNLRBはまたまた判断を転換しTAを労働者ではないと判断転換した。

 私はかつて1年以上かけてアメリカのTA(大学院生)の経済状況、就職状況、労働組合結成の動きなどを調査し論文にまとめたことがある。

 インターネット上では公開されていないが、興味のある方がいたらご参照いただけたら幸いである。

 

大野威, 2008年, 「アメリカにおける大学の変化とTAの組織化:TA組織化の背景と経緯」, 『労働社会学研究』, 9号 pp. 1-33



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