大野威研究室ブログ

おもにアメリカの自動車産業、雇用問題、労働問題、労使関係、経済状況について、最近気になったことを不定期で書いています。

ココ債を誰が買っているのか?

2016年02月22日 | 日記

 先週、ココ債を発行しているドイツ銀行がデフォルトに陥るのではないかという心配から世界同時株安が進行した。とりあえずその不安は払しょくされたようだが、疑問が残った。ココ債を誰が買っているのか?という疑問だ。2016年2月20日のWSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)でその手がかりを得ることができた。その内容は以下のとおり。

 欧州では、リーマンショック後、銀行救済のため多くの国費が投入されたことが強く批判され、ふたたび不測の事態が生じても国費を投入しなくてもいいよう、銀行に資本増強が強く求められるようになった。そのための仕組みのひとつがココ債である。
 この債権は、銀行の自己資本比率が一定水準以下になったら銀行の株式に強制的に転換され、元本が保証されなくなるというもの。危機の際は、ココ債の保有者(債権者)を犠牲にして、国費投入をせずに銀行を守ろうというもの。こうしたリスクがあるためココ債は高利回りで、なかには利回りが8%を超えるものもあるという。
 最近まではココ債のリスクはあまり心配されず、高利回りで多くの投資家を引き付けてきた。WSJによれば、2012年以降、900億ユーロ(約12兆円:1ユーロ=130円で計算)のココ債が発行されてきた。問題のドイツ銀行は2014年5月に35億ユーロ(4500億円)のココ債を発行したが、引き合いが強く、さらに25億ユーロ(3000億円)のココ債を追加発行したとされている。
 WSJによれば先週、ココ債は額面の9割で売買されていたということだが、ココ債の保有者は誰なのか?7-8割はPacific Investment Management Co.(ピムコ)や BlackRockといった資産運用会社に保有されているという。またプライベートバンクなどを介して、アジアの投資家などに売られているものもあるという。
 WSJはアジアの投資家という以上のことは言っていないが、インターネットで少し調べると、日本のたくさんの証券会社や銀行がココ債ファンドを売っていることがわかる。

 ココ債の最終保有者の具体像はいまだによくわからないが、日本の金融機関や個人投資家もココ債に無縁ではないことはわかった。

 しかし次から次へ問題となる高リスク金融商品が出てくるものだ。とてもこれで打ち止めと思えないのが怖い。

  潮が引いたとき、はじめて誰が裸で泳いでいたかわかる、というバフェット氏の言葉の意味がようやくわかった。



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