言葉って面白い!

この日本語、英語でなんていうの?その奥に深い文化の違いが見えてきませんか。

隠された美、とは?

2006年04月29日 | 日本人
ある日、イギリス人の友人が聞いてきました。

「日本ではポール・スミスが非常にポピュラーだが、彼の日本での成功には何か秘密があるのかな?」

かつてポール・スミスのインタビューを見たことがあった私は、こう答えました。

ポール・スミスのデザインの特徴は、裏地に凝ったデザインやカラフルな色を使うことだ。
それが日本人の美学に合うのだと思う。
そもそもポール・スミス自身が日本の文化に影響を受けたと聞いたことがある。
日本の王朝の装束の十二単(じゅうにひとえ)などは、幾重にも重ねて着るが、下の方はせっかくの色がちょっとしか表に見えてこない。
それでも手を抜かずに美しい色のものを使う。
隠れたところに美を求める日本的な美学に、ポール・スミス自身が影響を受け、そこから生まれたデザインを日本人がまた好むのも自然だ。
…と。

友人は、「なるほど」とうなづきながら、それを英語で次のように言い表しました。

That's "hidden beauty".
(それは「隠された美」だね)

一般的に、日本人は全てをあからさまに見せたり表現したりするよりも、どこか隠された部分があって、あえて全てを見せないものの方に、より強い美と魅力を感じる傾向にあると思います。

例えば、能の表現はそうでしょう。
顔を隠し、動きも直接的な感情表現を抑えることで、より深遠な世界を表すことができます。

茶の露地についても似たようなことがいえるかもしれません。
露地は必ずまっすぐでなく、曲がりくねりながら奥へ進んでいきます。
露地全体が俯瞰できることはなく、曲がった先にどのような景色が待っているのかを楽しみにしながら進んでいくように演出されています。

全て hidden beauty といえるかもしれません。

見る者の想像力を期待しながら表現する。
日本人はそういう傾向が強いのでしょうね。

こちらもどうぞ
http://blog.goo.ne.jp/syusakuhikaru/e/21eb08ffa6059746c138c073433e5c95
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