言葉って面白い!

この日本語、英語でなんていうの?その奥に深い文化の違いが見えてきませんか。

俳句文化の背景には「拍」がある

2021年05月09日 | 日本語教育について

英語の文章をナレーターに読んでもらった時のことです。

少し文章が長すぎると思ったので、内容をカットしようかと思ったら、ナレーターの方が「大丈夫大丈夫」と言います。

読んでもらったら、あら不思議、ぴったりの時間に収まりました。

「日本語と違って、英語は早く読んでも意味は通じるから」とそのナレーターは言いました。

確かに、日本語の文章を朗読する場合、長すぎる文章を急いで読むと、聞き取りにくくなってしまいます。

日本語には、「等時性」という特徴があります。

仮名1音が、だいたい同じ時間を使って話される特性です。

だから、俳句や短歌もかな一文字ずつを単位にしてあるリズムを作っていきます。

歌の歌詞も、多くの場合音符一つに仮名1文字を当てます。英語だと、そうではないんですね。

この仮名一文字で示される発音上の単位を、言語学上は、拍またはモーラと言います。

一つの拍は、多くの場合子音(s,t,rなど)一つと母音(a,i,oなど)一つで作られます。

英語だとstreetは一つの音節とカウントされますが、日本語のカタカナに書き換えると「ストリート」と五つの拍に変化されます。英語と日本語は、拍の取り方、リズムの取り方が根本から違うのです。

ちなみに、日本語の拍は、大きく自立拍と特殊拍(モーラ拍)に分かれます。

自立拍は単独で発音可能なもので、仮名一文字で表す直音(ア、ケ、トなど)と小さな「ャ、ュ、ョ」を添えた拗音(キャ、ミュ、ジョ、など)があり、さらに濁音(ガ、ジ、ボなど)、半濁音(パ、プなど)、清音(サ、イ、カなど)といった分類もあります。

これに対して、語頭や単独では発音できない特殊拍(モーラ拍)には、拗音(ッ)、撥音(ン)、長音(-)があります。

確かに「タッチ」「サンダル」「コーヒー」という単語はあるし発音もできますが、「ッチ」「ンダル」「-ヒー」という単語があっても発音できませんよね。

この特殊拍は、単独で発音できなくても立派に一拍と数えられます。

俳句などでも「サンダルに」とあれば五音と数えますよね。

この拍(モーラ)から生まれる等時性が日本語の大きな特徴であり、和歌や俳句もこの特徴を生かした文化と言えるでしょう。

 

 

 

 

 

 

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留学生30万人計画 ~海外からの留学生の受け入れ~

2021年04月27日 | 日本語教育について

バブル期以降、日本への留学を希望する人が増え、国の政策も相まって留学生の数は年々増え続けています。

文科省の資料によれば、国別でみると、中国12.1万人、ベトナム6.2万人、ネパール2.4万人。以下、韓国、台湾、インドネシア、スリランカと続きます。

合わせて27.9万人。ただしこれは2020年の数字で、コロナの影響を受けた後です。2019年には、31.2万人と、30万人を超えていました。

実は平成20年に、国は2020年までに留学生の数を30万人に増やす、という計画を発表していました。

そこでは次の5項目を方策としていました。

  (1)日本留学への誘い~日本留学の動機づけとワンストップサービスの展開~
  (2)入試・入学・入国の入り口の改善~日本留学の円滑化~
  (3)大学等のグローバル化の推進~魅力ある大学づくり~
  (4)受入れ環境づくり~安心して勉学に専念できる環境への取組~
  (5)卒業・修了後の社会の受入れの推進~社会のグローバル化~

つまり日本のPRから、入り口、入った後の教育、留学中の居住環境、さらに卒業後の社会への受け入れまで、全てのフェーズで留学しやすい環境づくりをしようというものです。

留学生30万人計画の骨子(文科省ページ)

その政策の効果があって、またこの間の日本のアニメや漫画などの文化の隆盛の効果もあり、目標より早く達成できたというわけです。

留学生の大半がアジアから、というのは、今のアジアの国々からの日本の見られ方を反映しているのでしょう。

日本からの海外への留学先の上位が、アメリカ、オーストラリア、カナダ、となっているのとは好対照です。

また日本からの留学生が10万人程度なのに対して、海外からの受け入れは30万人。

必ずしも留学生の数だけが国際化の指標ではありませんが、もう少し日本から海外を目指す若者が増えてもよいのかなという気もします。

 

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