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この日本語、英語でなんていうの?その奥に深い文化の違いが見えてきませんか。

会社を設立する時は・・・?

2019年02月17日 | 言葉
ある会社がずいぶん古くに設立されたことを説明しようと思って、こんな風に言いました。
P company was established in 1965.
これで問題はないのですが、ネイティブに言わせると、ちょっとestablishという動詞だと軽い感じがするそうです。
こういう場合は、foundedと言った方がしっくり来るのだとか。
establishとfoundは、和英で引くと、いずれも「設立する」から導き出される単語で、ほとんど同じような感覚で使っていました。
ところが、ネイティブの感覚でいうと、foundの方がなんとなく、重みというか、歴史を感じるのだとか。

その違いはどこにあるのだろう。
さっそく語源などを探ってみると、その謎がなんとなく分かりました。

foundは、もともとラテン語のfundusが語源で、baseとかbottomを意味する言葉です。
基礎や土台を意味するfoundationと同じ語源です。
一方、establishのもともとは、ラテン語のstabilireで、意味はmake firm、つまり固めるという意味です。
これは、安定した、という意味のstableと同じ語源になります。

日本語では「設立する」と同じ訳語になりがちですが、foundとestablishは、語源から考えると言葉の持つイメージがだいぶ異なるということです。
foundは、地下深くに柱を打ち込み、しっかりと土台を作る、というイメージです。
ですから、学校や会社など物理的な建物が伴うものの設立にぴったりと来る単語です。
しかも、その奥に精神的な基礎を作るというニュアンスも含まれるようです。
establishは、ばらばらだったり、不確定だったものを、一つの形あるものに固めていく、というイメージです。
foundほどの深みを伴わなくても使えるし、歴史的な重みもさほど感じないようです。

例えば、
The school was established in 2015.
のestablishedは、foundedにも置き換えられますが、
The treaty was established in 2015.
の場合は、foundedには置き換えられません。
契約や条約などは、地下に基礎を打ち込み土台を作る、といったイメージがないからでしょう。

また、
Keio University was founded by Yukichi Fukuzawa.
の場合は、foundedがしっくりくる。一方
Keio Shiki high school was established in Saitama prefecture.
の場合は、establishでも、またfoundedでも違和感はないそうです。
精神的基盤も含めて大元の「慶応義塾」というものを福沢諭吉作った、という場合は、establishでは歴史の重みが出ないのだそうです。

何とも微妙な違いではありますが、どんな単語にも独自の意味や語源と、他の単語との意味の違いがあるものです。



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