言葉って面白い!

この日本語、英語でなんていうの?その奥に深い文化の違いが見えてきませんか。

クレームをつける

2012年11月16日 | 日本人
ネイティブの知り合いがこんなことを言っていました。
日本人は、complainというべきところに「クレーム」という単語を使うが、ちょっと変だ、と。
claimとcomplainは、まったく違う言葉だというのです。

日本ではクレームというと不平不満を相手に伝えるネガティブなニュアンスが含まれています。
「客がクレームをつけてきてさあ…大変だったよ」
などと、招かれざる不平不満が出てきた場合に使います。
広辞苑にも、「損害賠償。異議。苦情。文句」などと出ています。

しかし英語では必ずしもネガティブなニュアンスの言葉ではありません。
英英辞典では次のように説明されています。

① to say that sth is true although it has not been proved and other people may not believeit
② to ask for money from the government or a company because you have a right to it

当然の権利を「主張する」ということであり、きわめて中立的な言葉です。

面白い現象だと思いました。
仮に「正当な」ものであっても、何となく日本人は「クレーム」をつけられるといい気はしないのです。

もともと仏教国であり、江戸時代以来は儒教の影響を強く受けた日本では「我慢の美徳」がありました。
多少の不平不満があっても、社会の中ではそれを主張しない方がスムーズな人間関係が築かれ、我慢強い人間はよい人間であり、何でも自分の主張を通そうとするのは自分勝手と見られました。
現代の企業社会では、そんなことを言っていたら会社の損失につながるので、ずいぶん薄らいだとは思いますが、それでも外国の感覚に比べれば、まだこの美徳は根強く生きていると思います。

「クレーム」という言葉が日本ではネガティブなニュアンスを強く持つようになった背景には、日本人が長年かけて醸成してきた「美徳」が背景にあるのではないでしょうか。
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