言葉って面白い!

この日本語、英語でなんていうの?その奥に深い文化の違いが見えてきませんか。

コミットする精神

2009年04月30日 | 言葉
数日前、アメリカ大統領のオバマが演説し、環境問題について触れていました。
ブッシュ政権下で遅れていた環境対策に対して、アメリカが積極的に取り組む方針を打ち出していました。

その中で、アメリカの決意を表すのに使っていたのが、commitという動詞です。
日本語でも「コミットする」などと使いますが、日本語に訳しにくい単語の一つです。
辞書を引くと実に様々な訳語が出ています。
ゆだねる、約束する、決意する、動きのとれない立場に陥る、自分の考えを明らかにする、託す、誓う・・・。
一見バラバラな意味の訳語を見ると、commitの本当の意味は何だろうと訝しい気になります。

アメリカ人やイギリス人に聞いてみると、これらは決して複雑な言葉ではなく、一つに収れんできる概念なんだそうです。
ひとことではいえないが・・・と前置きしながら、彼らはこう言います。
「元に戻ることのできないかたい決意のこと」

約束と訳す時でも、ちょっとした夕食の約束といった軽い約束ではなく、責任と決意を持った約束です。
破ることはあり得ない。
一度commitしたら元に戻れない、というわけです。

なぜ日本にちょうどよい訳語がないかというと、恐らく日本人にそういう概念がないからです。
決して日本人が約束を軽んじているとは思いませんが、日本人は一度約束しても、双方合意のもとであれば変更することをよしとします。
絶対的な決意や約束などなく、社会的な人間関係が変われば当然内容も変わるというわけです。
英語のcommitはそうしたことを是としない感覚です。
一度決めたら周囲の状況が変わっても元には戻れない。

それは少なからず、西洋が一神教文化だということに関連している気がします。
絶対的な価値を信じられるメンタリティを持っているからこそ、その絶対的な存在にたがうことはできない。
別に神に誓うことをcommitというわけではありませんが、この言葉の感覚を容易に受け入れられる裏には、神の存在があるのでしょう。









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