もぐ菜のみっしり茶匣(はこ)院

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黒執事S.R.S. 白薔薇の花束 その執事、奪還(5)

2010-05-28 09:20:37 | 腐女子の御伴
※この小説はアニメ黒執事を基に、二次創作として執筆しております。
一個人の解釈なので、原作やアニメ制作会社、出版社とは一切関係ありません。
その点をご理解いただき、お読み下さる様お願いいたします。





*シエルとエリザベスだけは成人して大人になってますが、他のキャラは以前の年齢のままですので宜しくお願い致しますm(__)m




挙式(きょしき)は始まり、神父が祝詞(しゅくじ)を述べる。エリザベスは沸き上がる怒りを堪(こら)えながら、囚(とら)われたポーラを思う。



「新郎と新婦は前に、こちらの婚姻(こんい)証に名前を。」


(助けて、シエル!!)


「どうした?? エリザベス?? 顔色が悪い。」

クリフトが心配げにエリザベスの顔を覗く。

「なんでも、ないわ。」

怒りと哀しみで震える声を押しころし、エリザベスは答えた。

挙式(きょしき)用の白い円形の台に、婚姻(こんい)証とペンが置かれていた。エリザベスはゆっくりと歩き、ペンに手を触れ様としたその瞬間に教会の扉が開かれた。





■黒執事S.R.S. 白薔薇の花束 その執事、奪還(だっかん) (5)





教会内部の群衆はどよめき、扉を開けた人物を見ようと一斉(いっせい)に見た!!



エリザベスも振り返ると、自分と歳の変わらない青年が立ち────────── 見覚えのある優しい微笑を。


「シエル??」

白のワイシャツを着て首元に黒の細いリボンを飾りシルバーグレイの上質な生地で、仕立られた上下のスーツを身に纏(まと)い純白のコートを羽織(はお)って居る。


その姿は幼い時に見たファントムハイヴ家の先代の、シエルの父親の幻影と青年が重なり合う。


「リジー。」

数年ぶりに愛称を呼ばれる、リジーと呼んでいたのはシエルだけだった。そう、呼んで欲しいとねだった。


「遅いよ───────── 」


シエルは祭壇(さいだん)へと真っすぐに敷(し)かれた紅(あか)い絨毯(じゅうたん)の道をゆっくりと進み歩く。

エリザベスは泣き出し、シエルをただ見つめた。

「彼はロンドン炎上の時に、亡くなったはずだ。まさかエリザベスの為に、冥界(めいかい)から復活して来たのか??」

「僕が死んだっと?? 何処(どこ)に遺体(いたい)はあるのか??なら、証拠(しょうこ)を出して見せてみろ。」

「シエル、私はずっと貴方(あなた)を信じてた。」

そう言いながらもエリザベスは、瞳を曇らせ俯き大粒の泪(なみだ)をぽろぽろと流す。

「せっかく逢えたのに、リジー、可愛いレディーがこれでは意味がない。リジー、顔をあげてもっと見つめさせて。」

シエルはエリザベスを両腕で優しく包み込み様に、抱きしめ身体に宿(やど)るお互いの熱を確かめ合う。

「これで、僕だっとやっと分かったはずだな。」

「うん、シエル。」

「なら、ここに居る必要はない。」

どやどやと群衆(ぐんしゅ)を掻き分けて、クリフトの使用人達がシエルとエリザベスを取り囲む。そう、エリザベスとポーラを無理矢理に連れ去った主犯各の男とその男達だった。

黒のタキシード姿のクリフトのその後ろには、何度か顔を合わせた事のあるクリフトの両親とエリザベスの両親。

「エリザベス、心配したよ。ポーラさんに連れ去られたと、聞いてびっくりしたんだ。僕の家の使用人達が君を見つけて保護したと聞いた。体調が悪く挙式(きょしき)当日まで寝てたと、大丈夫かなと思った。」

「何を言うのよ!!ポーラを返して!!」

「ポーラさんが、幾ら君の侍女と言えどもやった事は犯罪だ。挙式(きょしき)が、終わったらスコットランドヤードに引き渡す。」

「私のタウンハウスに侵入し、私とポーラを力づくで連れ去ったクリフト貴方(あなた)の使用人達が犯罪者よ!!」

エリザベスの母親は黒のワンピースを身に纏(まと)い気高く凜(りん)としている。シエルに話しかける。

「お久しぶりですね。シエル。」

「お元気そうで、何よりです。」

「私は貴方(あなた)が帰って、来るとは思ってもませんでした。」

「フランシス叔母(おば)様、後ほどお会いしましょう。」

「えぇ。この非礼を詫びましょう。エリザベス、シエルと共にここから立ち去りなさい。私の眼が節穴(ふしあな)でした。新郎の家の者達が、この様な茶番劇を仕組んだとは。愚か者!!」

「お前達、なんて事をした。僕と両親を騙したな!!」

「金さえ頂ければおさらばだったのに!!お嬢様あんた俺との約束は忘れたか??お嬢様あんたの侍女は──────── 」

「シエル!! ポーラがポーラが!!」

「ポーラは僕の、マナーハウスに保護した。ポーラは無傷だ。」

「ほんとうに、シエルなの??」

「坊ちゃん。」

燕尾服に黒のコートを羽織(はお)ったセバスチャンが素早く、クリフトの使用人達に小型のダガーを急所を外し投げ命中させた。




そして…‥ シエルとセバスチャンも驚く人物が現れた!!





黒執事S.R.S. 白薔薇の花束 (6)

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