271828の滑り台Log

271828は自然対数の底に由来。時々ギリシャ・ブラジル♪

同じ本を2冊持っている(その13)『ファインマンさん、力学を語る』

2013-01-20 09:37:05 | 読書
昨年の暮れに『ファインマンさん、力学を語る』を取り上げました。久しぶりに読み返すと大変面白く、訳者(砂川重信さん)の「読者へのメッセージ」によれば、原著"Feynman's Lost Lecture"にはCDが添付されファインマンさんの「機関銃の弾丸のような」講義が聴けるらしい。私が岩波版の訳書を購入した頃(1996年?)はこの講義を聞いてやろうという気にはなれなかったのですが、ちょっと興味が沸いてアマゾンを覗いてみました。安いソフトカバー+CDで\1,551でした。私はアマゾンのプライム会員なので送料もかかりません。早速注文すると年を越えて数日前に手許に届きました!
本書は『ファインマン物理学』がカルテクで講義された後(1964年)に新入生向けに講義されましたが、録音テープとメモが暫く編者のレイトンの仕事場で眠っていたのをグッドスティーンさんが発掘し、大変な苦労をして蘇らせました。内容は副題"The Motion of Planes and the Sun"から分かるようにニュートンの『自然哲学の数学的諸原理』のファインマン流解釈です。彼は「彼自身の楽しみのために、初等平面幾何学より程度の高い数学を用いないで、ケプラーの楕円の法則を証明しようと企てたのです。」
ファインマンさんの講義の前に編者のやや冗長ではありますが丁寧な解説があり、今では馴染みの薄い2次曲線の説明は極めて明快です。このファインマン流の説明を読んでCinderella.2を使って楕円を描き、アニメーションを作るのに5分もあれば充分でした。いずれ「いとしのCinderella」シリーズで取り上げたいとおもいます。

原著が手に入って邦訳と比較すると、岩波版の不味さに気がつきました。英語版では図と同じページに説明があり、読者は思考を妨げられる事がありません。それに対して邦訳では見開き2ページに図が集められているのです。読者はその都度違うページを参照しなければならないのです。訳者の砂川さんの責任ではなく、編集者のセンスが悪いと言うべきでしょう。根本的には物理の本を縦書きにしたことが間違いなのです。横書きの文学作品でも芥川賞を取れる時代ですよね。

CDでは音声だけですが、1964年にファインマンさんがコーネル大学で行った講義は動画で見ることが出来ます。


岩波現代文庫にある『物理法則はいかにして発見されたか』を手許に置いてご覧下さい。

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