271828の滑り台Log

271828は自然対数の底に由来。時々ギリシャ・ブラジル♪

葛藤(クズとフジ)

2010-09-09 12:34:24 | 幾何学
葛藤と言う言葉は葛(クズ)と藤(フジ)から出来ていますが、私達がこの言葉を遣う時は植物をイメージすることはありません。私の使っている電子辞書には以下のように説明されています。

かっとう【葛藤】
1 かずらと、ふじ。また、広く、蔓草(つるくさ)などの類をいう。
2 仏語。煩悩をたとえていう語。
3 仏語。禅宗で文字にこだわって語句にとらわれることのたとえ。また、意味の錯雑して解きがたい文字、言句、公案、あるいは単に問答工夫の意にも用いる。
4 (―する)人と人との間などで、互いに争い、さからいあい、また、憎みあうこと。争い。もつれ。悶着。「嫁姑の葛藤」
5 (―する)二つ以上の対立する欲求が同時に働いて、そのいずれを選ぶか迷う状態。また、精神内部で、違った方向の力と力が衝突しあっている状態。抗争。相剋。

1から3はほとんど死語で、4または5の意味で私達は使っているはずです。念のために漢和辞典も参照しました。すると紙の辞書の引き方に苦労します。漢字が書けないだけでなく、漢和辞典にも戸惑ってしまうのです。ようやく「葛」の字に辿り着き、字源を読みます。

これらの事典の説明より、板倉聖宣さんの説明が要点を得ていると思いますが、いかがでしょうか?

葛と藤は巻き方が逆なので、この二つが絡み合うとまったくのごちゃごちゃになります。そこで「解きがたく、ごたごたと、もつれたもの」のことを「葛藤(からみあい)」というようになったのです。

江戸時代以前に信じられていた陰陽五行説によれば、藤=右巻き=陽=木、葛=左巻き=陰=草という「イメージの連鎖」があったようです。しかし植物のツルの左右の巻き方については諸説あって、見解が統一されていないようです。

植物のツルには前から興味があり、藤も葛も自宅の周りに生えているので現物を見に行くことにしました。公園の藤棚では自分自身に絡まっている藤のつるを撮影することが出来ました。ロープの撚り方では「S撚り」です。

葛は今も花盛りで、ずっと前から咲いているようですし、花を咲かせながらどんどん実も太らせています。これがこの植物の強さなんだと納得します。しかしツルを観察するのはちょっと大変です。

やっとフェンスに絡まったクズのツルを見つけました。「Z撚り」ですね。
私は「Z撚り」を「右巻き」、「S撚り」を「左巻き」と呼びたい気持ちです。というのはWolframのMathworldでも以下のように「捩率」を定義しているからです。

Torsion


The rate of change of the osculating plane of a space curve. The torsion tau is positive for a right-handed curve, and negative for a left-handed curve.

捩率は空間曲線における接触平面の変化率であって、この値の正負によって右巻き=right-handed curveと左巻き=left-handed curveを区別するのがスッキリしています。ネジにおける左右も同じはずです。

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4 コメント

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ほお~ (みー)
2010-09-10 17:20:49
こんにちは

ほお~知りませんでした!巻き方が違うとは!
とても驚きました。

以前雑誌で読みましたが、その昔、葛はグランドカバー用として、ガーデニングが盛んなイギリスやフランスに輸入されたこともあったようですが、今はその旺盛な繁殖力のおかげで?世界の厄介者と成り下がったそうです。
何だか荒れた庭や林、公園の乗り物に絡まってて暑苦しい感じで私はキライです・・・。

しかし、角度を変えて見ると、結構面白いですね♪勉強になりました。


有用な植物 (271828)
2010-09-11 06:28:21
みーさん おはよう

葛が茂った状態は美しいとは言えませんが、葉や茎は牛の飼料、花は蜜源、根は葛切りの材料です。黒蜜をかけたクズキリは大好きです。風邪薬の葛根湯もありました。
沙漠の緑化や土留めにも使えます。使い方なんでしょうね。

そう、今日は9.11です!8691
右巻き左巻きはややこしい (rikunora)
2010-09-14 09:48:32
この記事がきっかけになって、蔓草や雑草をよく見るようになりました。
あと、右巻き、左巻きが、こんなにややこしいことになっているとは、初めて知りました。
正に絡み合っていますね。
左巻 (271828)
2010-09-15 04:36:51
rikunoraさん おはよう

左右というのは相対的な概念なのでどうしても曖昧さが付きまといます。
植物に関する知識は多くないのですが、私も蔓も巻き方という視点で観察をしています。

ところで左巻と書いて「さまき」と読ませる姓をご存知ですか?法政大学の左巻健男さんは面白い本を沢山書いていますね。

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