ざっくばらん(パニックびとのつぶやき)

詩・将棋・病気・芸能・スポーツ・社会・短編小説などいろいろ気まぐれに。2009年「僕とパニック障害の20年戦争出版」

分厚い雲

2023-05-30 12:02:09 | 

どうしてこんなに雨降りなのか

どんよりしているのか

されど希望がないこともない

太陽の間接照明で日中は健在なのだから

 

日本特有の気候のみを指しているのではない

ロシアとウクライナは形となって現れてしまったが

まだ抽象的なものを含めて

地球は重たい空気を吸い

地球の情報を集めるのが得意な人々も

分厚い雲を見上げている

 

後戻りは出来ない

生まれる前に戻れないのは人々の共通だ

あるかないかも分からない

雲の切れ目を探しあて

その漏れた光を独り占めせず

他の人々と共有できるなら

それは英知と呼ぶにふさわしい

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藤井、叡王防衛 そして藤井荘へ

2023-05-29 12:31:52 | Weblog

昨日、藤井聡太叡王が挑戦者の菅井竜也八段を2度の千日手指し直しの末、下しました。これで3勝1敗となり叡王3連覇を果たしました。

 

それにしても両対局者にとって長い一日でした。同一局面が4回繰り返される千日手になると先手、後手を入れかえて指し直しとなります。千日手が2回続いたので、3局目にしてようやく決着がつきました。

 

勝負の分かれ目は2局目で、互いに穴熊に組みながら、柔軟性に優れ、また相穴熊の経験値に勝る菅井八段が中盤ではややリードを奪いました。ボクシングで言えば、菅井さんの足を使った巧みな攻撃に藤井さんがやや振り回される展開になりましたが、終盤で藤井さんがクリンチし千日手指し直しに持ち込めたことが、最終的に勝利をものに出来た大きな要因です。 

決着局でAIも気づいていなかった、飛車を切り、相手玉を即詰みに討ち取ったのはいかにも藤井さんらしい。

 

藤井竜王にとってはタイトル戦では初めての対抗形(藤井は居飛車、菅井は飛車を左に移動させる振り飛車)で苦しみながら叡王を防衛できたことは貴重な経験になりました。

菅井さんは昔気質の勝負師で、藤井さんのデビュー当時からやや厳しい言葉を浴びせていました。終局直後、記者に藤井竜王の印象を尋ねられると、やや考えた末に「将棋に真っ直ぐな人」と答えました。最高の誉め言葉ではないでしょうか。

 

藤井竜王は六冠を保持し、5月31日からの名人戦第5局に最年少名人、史上2人目の七冠をかけて渡辺明名人に挑みます。

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駒花(終)

2023-05-27 16:47:52 | 小説

少しずつ、秋は深まりつつある。空は、青く澄み渡っていた。私の目の前には、海が広がっている。人気のない美しい海。10年近く前、一人暮らしを始める私に、先生が以前買ってくれたワンピース。今日、初めて身に纏っている。やっぱり、少し恥ずかしい。私は童心に帰り、サンダルを脱ぎ捨てて、砂浜の感触を確かめる。そして、思い切り両腕を天に向け伸ばす。このまま、空に吸い込まれてしまいそうだった。夏のひりひりするような熱さはないが、穏やかな温もりがある。もう、重たい荷物を降ろしたい。

私、今日は先生に会いに来ました。結果は知ってるでしょ。やり切ったよ。悔いはありません。

「さおりは天才だ」「24時間、将棋を考えろ」。思い浮かべると恥ずかしく、懐かしい。

「先生、もう菜緒には勝てない。でも私には将棋しかない」

私は呟いた。

「確かに菜緒ちゃんは強い。さおりにないものを持っている。しかし、さおりも菜緒ちゃんにないものを持っている。大丈夫。これから俺はさおりの中で一緒に将棋を指す」

 

先生の声が右隣から聴こえた。横を見ると先生は優しい顔をしていた。砂浜に私の涙がぽとぽと落ちた。




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2017年5月に掲載した短編小説「駒花」の結末を大幅に変更したため再掲載しました。

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揺れる想い(ZARD)

2023-05-26 12:29:40 | Weblog

揺れる想い体じゅう感じて

君と歩き続けたい in your dream

 

夏が忍び足で近づくよ

きらめく波が砂浜潤して

こだわってたまわりをすべて捨てて

今あなたに決めたの

こんな自分に合う人はもう

いないと半分あきらめてた

 

揺れる想い体じゅう感じて

このままずっとそばにいたい

青く澄んだあの空のような

君と歩き続けたい in your dream

 

作詞は坂井泉水。作曲・織田哲郎とのゴールデンコンビ。

坂井さんの前に織田哲郎さんに触れておきます。同世代に小室哲哉という光輝く存在があったため、織田さんは影に隠れがちですが、小室さんと双璧と言えるほどの平成のヒットメーカーです。曲作りの天才だと思いますが、当の織田さんが「俺は天才なんかじゃないよ」というタイプの方なので、世間もそれを信じてしまう。

自らの才能を大きく見せようとする人と、能ある鷹は爪を隠す人に別れますが、織田さんは明らかに後者です。ZARDの曲だけみても「揺れる想い」「負けないで」「マイフレンド」など代表曲は織田さんが手掛けたものです。

 

「揺れる想い」は1993年5月発売。今からちょうど30年前に日本中で流れていた曲です。ポカリスエットのCMが印象的ですね。

 

坂井さんの歌詞は恋愛にまつわるものがほとんどで、この曲の「青く澄んだあの空のような、君と歩き続けたい in my dream」に象徴されるように、夢を追う男性が好きなのでしょう。

 

歌詞へのこだわりは強く、歌手になる前のレースクイーン時代の同僚によれば、ノートにぎっしりと詩を書き溜めていたそうです。

「この歌詞に曲をつけてもらって自分が歌う」という夢を思い描いていたのでしょう。そして何年か先に坂井泉水という歌姫が誕生しました。

坂井さんは本当に綺麗な人でしたが、容姿のみでなく、声のルックスが抜群でした。それに丹念に書かれた歌詞、織田哲郎との出会いがZARDを大きな存在にしたのでしょう。

 

坂井さんが美人薄命であったことは残念ですが、ZARDの曲は今もはっきりと生き続けています。

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名人戦第4局 藤井が渡辺を下し、名人に王手

2023-05-23 12:55:30 | Weblog

昨日まで行われていた名人戦第4局は挑戦者の藤井聡太竜王が渡辺明名人をわずか69手で下しました。

 

将棋人口は500万から600万人程で日本の人口から見ると5%程度なので、大多数の方にも分かりやすく内容を伝えられればと思います。

相撲に例えてみましょう。後手番の渡辺名人が積極的に攻めていきました。鋭い立ち合いから突っ張って、良い形に持ち込もうとします。

対する藤井竜王も上手く下からあてがって後退しません。受けを苦にしないことも藤井竜王の強さです。強靭な足腰の持ち主ですね。

渡辺名人は居玉(玉が初形のまま)で攻めていったのですが、中盤の競り合いの末、攻撃を受け止められてしまうと、居玉は攻められやすいです。それが祟って渡辺名人に粘りがきかず、藤井竜王が上手を取って前進し始めると、土俵際の手前で投了しました。藤井竜王の見事な受けの技術が光った将棋になりました。

 

藤井竜王は子供の頃の作文で将棋の横綱になりたいと夢を描いていました。すでに藤井さんは年5場所以上優勝する強い横綱ですが、この幼い作文の横綱は明らかに名人を指しています。さすがの藤井聡太といえども、次の一局は平常心で戦えるかは分かりません。

 

対する渡辺名人は将棋人生の土俵際に追い詰められた気持ちなのかもしれません。渡辺さんは20才の若さで竜王となって以来、これまでずっとタイトルを保持してきました。羽生善治九段にしても竜王を獲得した翌年に谷川浩司十七世名人に敗れ無冠に転落しています。渡辺名人はそこにプライドを持っており、「渡辺九段」という初めての響きに耐え難いものがあると推測します。そして対藤井戦4勝19敗。誰が相手でも少なくとも互角には戦えた渡辺名人にとっても初めての経験です。このまま第5局であっさり決着が着けば、引退の二文字が頭をよぎっても不思議ではありません。

 

次の第5局は将棋史に残る一局になるかもしれません。藤井がこのまま押しきるか、渡辺が踏みとどまるか。お互い悔いの残らない将棋を指してくれればと思います。

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ルッキズムは終わらない

2023-05-18 11:41:48 | 

季節外れの暑さに人々は戸惑いを隠せない

人気の少ない屋外

それでもマスクの主張は続く

高齢ならまだしも、若者までが

 

彼女は冷房を効かせながら

インスタグラムを見る 

目に写る同世代の女性

人工的美人なるものに彼女は視線を逸らす

タレントでもモデルでも女子アナでもない

だからこそ彼女は耐えられない

加工しているのは重々承知

分かってはいても、光の眩しさに

それを取り巻く煌めきに負けてしまうのだ

 

彼女は明日も人工的美人のインスタを見るだろう

今日よりも卑屈な心で

整った顔立ちとは裏腹に

 

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中村天風「運命を拓く」を読んでみた

2023-05-16 12:07:37 | Weblog

エンゼルスの大谷翔平選手ですが、今日は投手として登坂し、打者としても特大の9号ホームランを放ちました。開幕から1ヵ月半、まずは順調なスタートと言えます。その大谷選手の愛読書「運命を拓く」を読んでみました。

 

「運命を拓く」は中村天風氏の死後、会員向けの講演をまとめたものです。

天風氏の根本的な考え方は「万物の霊長たる人間の心は宇宙本体と結びついている」ということです。よって、その心掛け次第で人生が好転したり暗転したりするという。そして好転するには常に心を積極的に保つことで、生き方が悪いと病気になり、運命も悪くするそうです。

この辺りに関しては個人的には解せないところです。では若くして病気になり亡くなった方は生き方が悪かったのか?それこそ運命的なものではないのかと。しかし天風氏は「病気や運命が悪い時こそ、今までの生き方を変えるチャンスと思え」と言う。自ら結核にかかり、その時にヨーガの聖人と出会い「自分は大宇宙の力と結びついている強い存在」と悟りを開いた経験が彼に限りない自信を与えました。

 

また、宇宙の造物主(宇宙霊)の心は心・善・美で、真は誠、善は愛情、美は調和のことであり、愛情と言っても恋愛や自己愛ではなく、もっと広い意味での人類愛的なものを指しています。だから、自分に良いことが起こるために神や仏にすがることを天風氏は嫌っています。

ただ、「心で考えていることがそのまま形となって現れる」というのは頷けるところもあります。私もそうした経験がありますから。

 

とにかく天風老師(この講演時、推定90歳位)はエネルギーの塊のような人です。本を読んで納得のいく話、いかない話、両面ありましたが、この本は一度限りで読み捨ててはいけない類いの本だということは分かります。何度も読み返して、深く理解しなければ身に付かないタイプのものです。

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名人戦第3局 渡辺、反撃

2023-05-15 11:48:17 | Weblog

昨日の名人戦第3局は渡辺明名人が藤井聡太竜王を下し、1勝2敗としました。

 

際どい終盤戦になりましたが、最終盤では渡辺勝勢に。3三の地点に角を打てば藤井玉は助からず、打った角が守りにも効いていて渡辺玉の詰みはなくなります。

それほど難しい手とは思えず、決断の良い渡辺名人なら10分、勝利に直結する手なので慎重になったとしても、30分あれば充分なはずでしたが、実際には1時間30分の長考になりました。

 

終局後のインタビューで「決断がつかなかった」と心の迷いを正直に口にしました。

それは何故かと言えば、これまで藤井竜王の強さをまざまざと見せつけられて、相手を過度に恐れてしまったためでしょう。3勝18敗。この対局前までの対戦成績です。ここまでの力の差はないはずですが、これまでの渡辺名人の将棋人生で初めて太刀打ち出来ない相手が怪物・藤井聡太でした。

 

しかし、とにかく勝てたという事実は大きい。昨日負けていたら事実上終わりでしたが、これで1勝2敗。面白くなりました。

藤井びいきの私でさえ、少し苦しんで名人になった方が将来を考えればいいのではないかという思いがありました。第4局以降も名人戦にふさわしい熱戦を期待しています。 

 

ところで藤井竜王の対局姿勢に変化がみられました。最終盤になると、体の上下動が大きくなり、相手にも落胆ぶりが伝わってしまうのですが、昨日は最後まで体を動かさず将棋に集中していました。もしかしたら、それが渡辺名人の大長考を呼び込んだ可能性があります。将棋の完成度は年齢より遥かに成熟しているのですが、勝負師としては年相応で成長過程にあるのだと思います。昨日は彼の心の成長を見たようで嬉しくもありました。

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エリートとホームレス

2023-05-12 16:39:48 | Weblog

エリートサラリーマンと化した彼は

通勤途中の公園で声を掛けられた。

「食い物くれよ」と

 

声の主は白髪まじりの汚れた顔

伸び放題の顎髭 

服や靴も黒ずんでいる。

エリートはそこを通りすぎると

「ホームレスか、どうしようもねえ」と

小さく吐き捨てる

 

1カ月ほど経ったある日

ホームレスはすっかり定番の食い物ねだり

エリートはうんざりした顔を浮かべ

足を速めた。

その背中にエリートの名前をぶつけられた

彼は足を止め、振り向いた。

 

「なぜ俺の名を知っている?」

ホームレスは名を名乗り

「俺を覚えていないか?」

エリートの目と耳と記憶が繋がった。

「お前、高校の時の」 

「やっと思い出したか」

ホームレスは呆れた口調だ。

「それにしてもお前、どうしたんだよ。俺よりも良い大学に入ってその様か」

 

「お前、汚れちまったなあ」

ホームレスは寂しそうに呟いた。

「えっ、俺が?まあ30年も経てば、多少変わるのは仕方ない」

エリートは軽く頬を撫でた。

「違う。外見じゃない。人間がだ」

「ホームレスのお前に何が分かるんだ」

エリートの顔が赤みを帯びた。

「高校の時、お前が教えてくれたんだよ。俺が友人の悪口を言うたびに、人には事情があるって」

 

エリートは何も言葉を返さなかった。

そしてホームレスの顔を見た。

彼の目はどこまでも深く洞察し

どこまでも遠くを射抜いていた。

エリートは「お前と話している時間はない」と言い残し、足早に立ち去った。

 

 

 

 

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青春(ザ・ハイロウズ)

2023-05-11 11:57:30 | Weblog

冬に覚えた歌を忘れた

ストーブの中 残った石油

ツララのように尖って光る

やがて溶けてく激情のカス

 

音楽室のピアノでブギー

ジェリー・リースタイル

骨身をさらけ出したその後で

散文的に笑う

 

心のないやさしさは

敗北に似てる

混沌と混乱と狂熱が

俺と一緒に行く

 

作詞・作曲は真島昌利。ブルーハーツの熱狂から10年程あとの曲。

冒頭の「冬に覚えた歌を忘れた~やがて溶けてく激情のカス」

この部分で青春の形を表現しているように感じます。

「ツララのように尖って光る。やがて溶けてく激情のカス」

ここ、ブルーハーツっぽいですね。

 

甲本ヒロトはある人たちから見れば、カスであり、ドブネズミだったかもしれない。 

ただ当時10代だった僕から見ると甲本さんはカリスマでした。トリッキーなスタイルでいてメッセージは強く伝わりました。

甲本さんの輝かせ方を最も知り尽くしているのが真島さんで、この曲もその流れで作られている気がします。

 

「音楽室のピアノでブギー。ジェリー・リースタイル。骨身をさらけ出したその後で散文的に笑う」

ブルーハーツにしてもハイロウズにしても意味を理解するより、感じることの方が大事なのだと思います。

ただ「散文的に笑う」というのはネガティブで心から笑っていない。

 

「心のないやさしさは敗北に似てる」

そんな気がします。僕は負けっぱなしです。

 

「混沌と混乱と狂熱が俺と一緒に行く」

これもある青春の形を見事に表現しているように思います。これを甲本さんが歌って届ける訳ですから、格好良くはなりますね。

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