ざっくばらん(パニックびとのつぶやき)

詩・将棋・病気・芸能・スポーツ・社会・短編小説などいろいろ気まぐれに。2009年「僕とパニック障害の20年戦争出版」

40年後も聖子、明菜

2023-04-28 11:48:36 | Weblog

こないだ、テレ朝で昭和歌謡を懐かしむ番組が午後7時~9時までの2時間放送されていました。ゴールデンタイムで2時間ですから、ある程度の数字は取れると判断したのでしょう。誰が松田聖子や中森明菜の全盛期に40年後も彼女たち中心の番組がゴールデンで流れると予想していたでしょうか。少子高齢化が止まらない日本の現状を表していると言えます。

 

とはいえ、少しずつ時代は進んでいて、こうした番組で定番だった山口百恵が外されていました。これには時代の変化に加えて、社会の変化があります。

百恵さんは結婚して引退し、家庭に入る生き方を選び、人々から称賛されました。一方の松田聖子は結婚して子供ができた後も精力的に仕事を続け、批判的に受け止められました。

それが現在では逆転した形です。女性の社会進出が強く求められる時代になり、普通の女性が山口百恵的な選択をすれば、むしろ批判される立場になったのです。

 

番組は全部見た訳ではないのですが、松田聖子の1位は「赤いスイートピー」、中森明菜の1位は「飾りじゃないのよ涙は」でした。明菜さんの1位は少し意外でした。

 

個人的にランキング外の曲を1つずつ挙げると、聖子さんは「ボーイの季節」、明菜さんは「トワイライト-夕暮れ便り-」を選んでおきます。

「ボーイの季節」はリアルタイムでは記憶にないです。この頃は結婚も決まって、テレビ出演も少なくなっていたからでしょう。90年代のアルバムで知りました。作詞作曲は尾崎亜美。美しいバラードで、聖子さんの伸びのある高音が心地良い名曲です。

「トワイライト」は作詞・来生えつこ、作曲・来生たかお。このコンビのバラードでは「セカンド・ラブ」という初期の名曲があり、トワイライトは忘れられがちなのですが、まだ10代ながら歌唱力に定評のあった明菜さんが、丁寧に切々と歌い上げています。僕自身にとっても、初めて友人とレコードを買いにいった頃で印象に残ります。

 

松田聖子と中森明菜。何もかもが対照的だったからこそ、同時代に歌姫が奇跡的に並び立つことが出来ました。

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右か左か

2023-04-27 12:04:26 | Weblog

旅人は迷っていた

「右に行くべきか、左に行くべきか」と

彼は足を止め、腕を組む

 

少し前に二人の男の話を聞いた

髭面の男は「青年よ、右に曲がれ」と

眼鏡の男は「青年よ、左に曲がれ」と

大まかには二人の話は同じだ

髭も眼鏡も自らが主張する方向は快適で

逆方向はいばらの道だと説いた

こういう類いの話は大抵あてにならず

彼は真っ直ぐ進もうとした

しかし、近づいてみるとそこは行き止まりで

右か左かを選ぶしかない

心は何度か揺れて、彼は右を選んだ

 

しばらく歩くと道は上り坂になり

雨が降りだした

そのうち向かい風が強くなった

「あの髭面の奴」

彼は顔をしかめて呟いた

「左を選んでいれば今頃は」

思いがよぎった時、雨はさらに激しさを増した

 

逆風の坂道を登り続け、体力も限界に達した

雨に撃たれた服はボロボロで泥だらけだ

「少し年老いたような気がする」

彼はその場にへたり込んだ

伸ばし放題の髪や髭は白くなっていた

 

雨は止み、空が少し明るくなった

旅人は細めていた目を大きく見開いた

「これまでにこんなに美しい虹を見たことはない」

大の字の彼はしばらく眺め、目を閉じた

「これでよかったのかもしれない」

彼の口元は微笑んでさえいた

 

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Drawing(Mr.Children)

2023-04-25 12:44:25 | Weblog

遠い遠い子供の頃夢で見た景色が

一瞬フラッシュバックしたんだ

笑いながら僕の頬にキスをする少女が

君とオーバーラップして

淡い光の曇り空にフワフワな時を刻んでいく

この素晴らしい煩わしい気持ちを

真空パックしておけないものかな

絵に描いたとしても

時と共に何かが色褪せてしまうでしょう

永遠はいつでも形のない儚い幻影

君と共に僕の元に

そしていつも僕のノートに

 

作詞作曲は桜井和寿。ドラマ「幸福の王子」主題歌。

ミスチルといえば数々の大ヒット曲がありますが、この「Drawing」は「幸福の王子」の主題歌として強く印象に残ります。主要キャストは本木雅弘・菅野美穂・渡部篤郎。綾瀬はるかも新進女優として出演していました。

 

救いのない悲しい物語なのですが、エンディングにDrawingが流れると、ドラマの余韻を引きずりながら、儚い希望を思い抱かせてくれるような曲でした。もう20年も経つんですね。

 

「遠い遠い子供の頃夢で見た景色が、一瞬フラッシュバックしたんだ。笑いながら僕の頬にキスをする少女が、君とオーバーラップして」

桜井さん、ロマンチストです。

 

「絵に描いたとしても、時と共に何かが色褪せてしまうでしょう」

絵そのものが色褪せてしまうだけてなく、もっと内側のものが色褪せる気がします。

 

「永遠はいつでも形のない儚い幻影」

永遠は存在しても人には寿命があって、その埋まりようもない真実を「形のない儚い幻影」と表現しているように思います。

そして「君と共に僕の元に、そしていつも僕のノートに」と綺麗に綴じられています。これは名曲だと思います。

 

ドラマの話に戻ると、これだけのキャストを再び集めるのは困難です。綾瀬さんも国民的女優になりましたし。この時はまだ想像出来なかった。

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叡王戦第2局 藤井が菅井に敗れタイに

2023-04-24 11:44:10 | Weblog

藤井聡太叡王の先勝で幕を開けた叡王戦第2局は、挑戦者の菅井竜也八段が藤井叡王を115手で下し、1勝1敗のタイとしました。

 

菅井八段は振り飛車党ナンバーワンの実力者。藤井叡王にとってタイトル戦では初めての居飛車対振り飛車(飛車を真ん中から左に動かす)の対抗形になります。

 

そして叡王戦は藤井叡王にとって八つのタイトル戦の中でも最も鬼門と思われます。

持ち時間が4時間と少なく、他にも4時間のタイトル戦はあるのですが、ストップウォッチ方式で1分以内に指せば時間は減りません。しかし、叡王戦はチェスクロック方式で、10秒考えれば10秒持ち時間が減ります。よってタイトル戦としては最も持ち時間が少ないのです。長考派の藤井叡王にとっては苦手なタイトル戦と思われます。

 

昨日も、まだ中盤の難所で時間を使いきり1分将棋に。その後は菅井八段が着実に差を広げ、快勝しました。早い段階で機敏に仕掛け、藤井叡王に穴熊を完全に組ませる余裕を与えなかった菅井八段の抜群の将棋センスが光った一局でした。

 

いいところなく敗れた藤井叡王。やはり時間を残せるかどうかが、防衛できるかのカギになります。叡王戦は五番勝負なので、1勝1敗から改めて三番勝負となります。

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新緑

2023-04-20 11:28:35 | Weblog

あなたが空を飛べるなら

翼を広げ、羽ばたいてください

それが固まり動かなくなる前に

 

あなたが丈夫な傘を持っているなら

それを強く握りしめていてください

雨上がりに行方不明になるものだから

 

あなたに才能があるならば

取り扱いに気をつけた方がいい

それはすぐにでも、新しい緑に移りたがるものだから

 

あなたがまだ1万日も生きていないなら

その若さを大切にしてください

うたた寝をしているうちに消えるものだから

 

 

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美しい鰭(スピッツ)

2023-04-17 11:47:02 | Weblog

波音で消されちゃった

はっきりと聞かせろって

わざとらしい海原

 

100回以上の失敗は

ダーウィンさんも感涙の

ユニークな進化の礎

 

あの日のことは忘れないよ

しずくの小惑星の真ん中で

流れるまんま流されたら

抗おうか美しい鰭で

壊れる夜もあったけれど

自分でいられるように

 

作詞・作曲は草野マサムネ。スピッツの新曲です。人気アニメの劇場版の主題歌なので、当然、草野さんも作品に合わせ作っているはずです。しかし、ここではそれを切り離して歌詞を見ていきます。

 

「波音で消されちゃった~わざとらしい海原」

わざとらしい海原という表現から人為的に邪魔させたと捉えます。主人公にとっては大切なことを聞き取れなかった。

 

「100回以上の失敗は~」

ここでダーウィンさんという偉人が登場です。多くの失敗から本人も想像もつかない進化があったのでしょう。

 

「あの日のことは忘れないよ、しずくの小惑星の真ん中で」

強い決意を感じます。あとは雫と小惑星をどう解釈するかですね。草野さんはリリースしたら「想像にお任せします」というスタイルなので、100人いたら100通りの受け取り方があるのだと思います。僕は雫は涙、小惑星は心をイメージします。

 

「流れるまんま流されたら」何に流されたのか?社会や権力、多数派といったものが浮かびます。それに対して「抗おうか美しい鰭で」

美しい鰭でバランスを取りながら大きな力に流されない決意。

「壊れる夜もあったけれど、自分でいられるように」

どうでもいいやと自暴自棄になった時もあった。しかし、それは自分を殺すこと。だからこそ抗う。美しい鰭で。自分でいられるように。「美しい」と歌う草野さんのファルセットも美しい。

 

草野さんは自分の歌唱力に対してネガティブな発言が多いのですが、曲に忠実に声を合わせていくタイプで、いわゆる歌い上げたり、音程を崩したりはしません。そこは人によって好き好きが別れるところです。

ただ、草野さんの全体的には高音で透き通っていて、少し霞がかった声には青春の面影があり、僕は好きです。「自分より上手く曲を表現できる人がいたら、ボーカルを譲ってもいい」などと言わず(笑)、スピッツファンとしては声が出る限り、歌い続けてもらいたいです。

 

 

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歩み

2023-04-14 12:30:18 | Weblog

何か思い残したことがあるかのように

ここ数日、細々と降り続けた春雨は朝に止み

柔らかく暖かな光が降り注ぐ

 

人々の速度も様々だ

雨の痕跡の残る歩道を

長身の若い男が強く推進する 

彼に追い抜かれた女子高生は

スマホを手に遅々として進まない

ジャージ姿に運動靴の年配者は大きく腕を振り

背を丸めてカートを押す老婆とすれ違った

 

僕も随分と歩いてきた

無理にでも足を前に進めて

時にへたり込み仰いだ空の青さ

 

長く歩むほど

遠ざかる景色は美しく

長く生きるほど

人生の短さを知る

 

夕焼けは明と暗の橋渡しをこなしつつ

あてもなく街を照らしていた

 

 

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わたがし(back number)

2023-04-10 12:33:36 | Weblog

水色に花びらの浴衣がこの世で一番

似合うのはたぶん君だと思う

よく誘えた 泣きそうだ

夏祭り最後の日 わたがしを口で溶かす君は

わたがしになりたい僕に言う 楽しいねって

 

僕はうなずくだけで気の利いた言葉も出てきやしない

君の隣歩くことに慣れてない自分が恥ずかしくて

 

思いがあふれたらどうやって

どんなきっかけタイミングで

手を繋いだらいいんだろう

どう見ても柔らかい君の手を

どんな強さでつかんで

どんな顔で見つめれはいいの

 

作詞、作曲は清水依与吏。サザンが海でスピッツが空ならばバックナンバーは土、この歌詞からも土の匂いがする。

冒頭の「水色に花びらの浴衣がこの世で一番~よく誘えた泣きそうだ」。物凄く勇気を振り絞った事が伝わってきます。

 

「わたがしを口で溶かす君は」。「わたがし」というタイトルをつけた時点で、この歌詞はすでに半分成功しているのだと思います。若く美しい女性は男性、女性にも憧れの対象になりえますが、その時間は決して長くない。口に入れると同時に溶けてなくなってしまうわたがしと重なります。

 

「僕はうなずくだけで気の利いた言葉も出てきやしない」以降は女性慣れしていないある意味、格好よくない男性を描いているのですが、最後の「どう見ても柔らかい君の手をどんな強さでつかんで、どんな顔で見つめればいいの」。

ここまでいくと、オセロがパタパタ裏返るように、痛々しいまでの女性に対する一途な思いが伝わり、見事な歌詞に仕上がっています。

 

「わたがし」の曲調も含めた印象は、村下孝蔵の世界観を思い起こします。バックナンバーはロックバンドでそこは違うのですが。村下さんのファンで、バックナンバーをよく知らない方には「わたがし」をおすすめします。

 

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藤井、名人戦デビューを白星で飾る

2023-04-07 11:45:02 | Weblog

夢で見たあの場所に立つ日まで。ついに藤井聡太は名人戦の大舞台に立った。相手は渡辺明名人。これまでのタイトル戦では藤井が渡辺を圧倒してきた。

しかし、名人戦は別格である。渡辺もこれまでとは違う戦いを見せるはずだ。藤井には谷川浩司十七世名人が持つ最年少名人の記録もかかる。 

 

立ち上がりは見慣れた景色だった。互いに飛車先を突き、先手の渡辺が角道を開けた。角換わり(角を交換する戦型)になると誰もが思った。

しかし、渡辺は歩を上げて角道を閉じ、力戦調の重たい将棋になった。角換わりとは一転、スローペースになり、43手目を渡辺が封じ、1日目が終わった。AI的にも互角。本格的な戦いはこれからの局面。違いがあるとすれば渡辺玉が2マス左へ動いたのに対し、藤井玉は一歩も動いていない。いわゆる居玉。藤井は終盤、渡辺が銀を打ち込み、王手をかけた局面で初めて玉を動かした。2日目の夜である。「居玉は避けよ」は将棋の常識だが、藤井の将棋は比較的、居玉が多い。よほどバランス感覚が優れているのだろう。

 

難解な局面が終盤まで続いたが、最後は藤井が曲芸のような手順で抜け出し、渡辺を投了に追い込んだ。決して渡辺が弱い訳ではない。他の相手であれば、おそらく勝っていただろう。藤井が強すぎるのだ。

 

まだ初戦が終わっただけなのだが、次の第2局は渡辺にとっては正念場だ。藤井が勝てば2連勝となり、名人奪取の確率は8割を超えるだろう。しかし、渡辺がこのままあっさり引き下がるとも思えない。勝負強さは天下一品だ。

藤井が大名人への一歩を踏み出すのか、それとも渡辺が永世名人への望みをつなぐか。結論はまだ先である。

 

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テレビが取り上げない自殺問題

2023-04-04 11:50:08 | Weblog

マスコミ、主にテレビですが、個人的には半信半疑です。「マスゴミ」という言葉を耳にしますが、全体としてそうは思いません。ただ部分的に一理あるぐらいですかね。

テレビ、特に民放の場合は視聴率が生命線なので、視聴者の興味のあるものを優先的に流す傾向があります。

 

自殺についても同じです。子供の自殺が9月1日に多いというのはよく知られています。コロナ渦で女性の自殺が増えたことも取り上げられます。しかし、マスコミは伝えませんが、自殺に関してはもっと規模の大きな問題があります。中高年男性の自殺です。

 

自殺者数が最も多いのは40代、50代の男性です。そして、人数の多い曜日もあります。月曜日です。時間もあります。午前4時から午前8時。こう見るとかなり推測しやすくなります。

自殺の原因は病気や経済的な事情など様々でしょうが、上記の具体的なデータを言語化すれば、会社に行くのが死ぬほど嫌だったということになります。その予備軍は膨大な数になるでしょう。

こないだ取り上げたベーシックインカム、45才定年制にも関連のある問題です。中年男性は一家の大黒柱で、会社を辞めたくても、家族を養う、ローンが残っているから辞められない。要は板挟みになっている訳です。

 

このような人を少しでも多く救う為には、会社を辞められる社会を創ることです。転職をしやすくする。子供は社会全体で育てていく。

あとは女性の正社員化も重要です。20代の頃は正社員だった女性が、子供が小学校に上がる頃に社会復帰する時にはパートのおばさんになっている。こうした古い社会が色濃く残っています。

 

昨日、入社式の会社も多かったことでしょう。大手企業は大卒の22、3才が大半です。あの場に30代以降の男性、女性が当たり前にいる社会を創り上げることが求められます。

毎年、自殺者数は2万人を超えます。決して小さな問題ではありません。

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