ざっくばらん(パニックびとのつぶやき)

詩・将棋・病気・芸能・スポーツ・社会・短編小説などいろいろ気まぐれに。2009年「僕とパニック障害の20年戦争出版」

美術室の女神

2017-02-04 21:57:44 | Weblog
放課後の美術室
二人はいつもの椅子に座り、語らない会話が始まる
僕は大人へと色づいていく君を、白いキャンバスに埋めていく

気がつけばもう春の足音が遠くから
桜の花が咲く頃に僕らの制服は散ることになる

この3年の間にどれだけの人が死んだのだろう
病気や事故や自殺や飢餓や紛争や強制労働で
にもかかわらず、僕たちにとっては穏やかな成熟のための時間だった
僕は描くことで、君は凝視されることで

好きと言えなかった
君は美しくなりすぎた
その輝きに僕は怖気づいた
描けば描くほど、伝えたい言葉は遠ざかっていく
だから僕の君への表現の場はここにしかなかった

さよなら
斜陽降る美術室に佇む女神

コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 演じて、やがて幕は下りる | トップ | A LIFE 、女優陣を 語ってみる »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿