http://biz-journal.jp/2018/01/post_22060.html 抜粋
牛肉の格付けは、A~Cのアルファベットが「歩留り等級」を表し、枝肉の重量に対してどれくらいの肉が取れるかを意味する。つまり、「A」に格付けられたといっても、それは「より可食部が多い」ということでしかない。
一方、1~5の数字は「肉質等級」を表し、おもに「サシ」と呼ばれる霜降りの度合いや「肉の色つや」「肉のしまりときめ細やかさ」などで評価される。霜降り度合いはBMS(ビーフ・マーブリング・スタンダード)という判定基準により査定され、12段階に分類。そのうち上位の8~12段階のなかで質の良いものが5として格付けされる。
そして、A5の格付けが与えられれば、より高く売ることが可能となる。そこで、生産業者はより脂の乗った牛肉を生産するために尽力してきたわけだ。
「ただ、その追求が行き過ぎてしまい、今のA5肉は20年前とは比べものにならないほどの霜降り度合いになっています。霜降りを追求するために飼育方法や餌の中身も大きく変わっているようで、業界内でも『今のA5はおいしくないものが多い』とささやかれる状況になっているんです」(同)
「個人的には、脂の割合が30~35%の肉のほうがおいしいと思っています。今の霜降り肉は脂が50%、場合によっては70%になっているので、うまみ成分が少ないのは間違いありません。それに、24カ月の短期飼育で仕上がった若いオス牛の脂は融点が高いため、鍋に入れると溶けるが、食べると胃の中でまた固まり始める。これが、もたれる原因なんです」(同)
「たとえば、日本では子を産んだ経産牛は『廃用牛』などと呼ばれ、挽き肉材になるのが一般的です。でも、経産牛を数カ月肥育して肥らせた牛は味わいが濃く、肉もやわらかくなっておいしい。フランスでは、経産牛のほうが未経産牛よりもおいしいとされるくらいです」(同)