メランコリア

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『マンガ ギリシア神話7 トロイの木馬』(中央公論新社)

2016-11-12 10:25:37 | マンガ&アニメ
『マンガ ギリシア神話7 トロイの木馬』(中央公論新社)
里中満智子/著

※2002.1~のノートよりメモを抜粋しました。
「マンガ感想メモリスト2」カテゴリーに追加しました。


あらすじ(ネタバレ注意

海の女神テティスの子は、永遠の命を得るため、冥界の河につけられるが、踵だけつけ忘れたため急所となる「アキレウス」
テティスの婚儀に招かれなかった争いの神エリスが
「世界一美しい女へ」と書かれたリンゴを投げ入れて、ヘラ、アフロディテ、アテナは争う

トロイア国王プリアモスの息子パリスは「国を滅ぼす」という神託から捨てられ羊飼いとなったが
ゼウスにリンゴの答えを任され「人間界一の美女」を妻にできるとの条件でアフロディテを選び
トロイアに戻り、美女を探してトロイアに行き、国王メネラオスの妻ヘレネを奪って帰国

パリスの姉カサンドラは、アポロンから予言の力を与えられ、愛が冷めたところが見えたため
アポロンを拒み「誰からも信じられない」予言者となる

ヘレネの窮地は男みんなが加勢する
「みんなのものだから」という誓いのため

ギリシア軍総出でトロイアへ
女装で逃れて長寿を全うしようとしたアキレウスは、知恵者「オデュッセウス」に見抜かれて参戦し、名を残す選択をする

神への生け贄の鹿を「アルテミスには負けん」と言った総大将アガメムノンは怒りをかって、
娘イピゲネイアを捧げるはめに

捨て身のアキレウスは、次々と活躍、不死身と言われるが、
娘を人質にとられた神官の願いを聞いたアポロンの流行らせた疫病払いに
アガメムノンは「女を返すがアキレウスの女をくれ」と言い
皆が賛同したことに怒ったアキレウスは戦意を失う

劣勢となったギリシア軍
パトロクロスは、アキレウスの武具を借り、トロイア長子で大将のヘクトルに殺され、
嘆いたアキレウスはヘクトルを殺し、アマゾネスの女大将も殺し、城内へ
パリスの矢が踵を射て死ぬ

トロイア陥落の神託は、アキレウスの子とピロクテテスの参戦、城門梁を崩し、神像パラディオンを奪うこと
ピロクテテスはパリスを殺し、ヘレネはオデュッセウスに神像を渡し、
オデュッセウスの作戦で木馬は梁を壊して城内に入り
勝利に酔ったトロイア軍を一気に滅ぼした

神々の思惑もからみ、9年も続いた戦争も終わり、帰途にも10年かかり、沈んだ船もある
唯一トロイア軍の生き残りアイアネス一行は、新しい国ローマ(!)を興す

アガメムノンは帰国するが、恨んだ妻はアガメムノンのいとこと共に夫と戦利品カサンドラを殺して新王になる
娘エレクトラは、兄オレステスを逃がし、農夫に嫁がされ、成人した兄とともに、母と義父を殺して新王になる
母を嫌い、父を慕ったことから「エレクトラ・コンプレックス」の語源

親殺しの罪の是非が神々の間でも審議され、無実となる
罪滅ぼしにスキュティアのアルテミス像を取り戻しに行ったオレステスらは
アルテミスに命を救われた姉イピゲネイアと再会する



巻末の『ギリシア神話』は、家父長制がもたらした「ジェンダー」(組織化された社会的・文化的性差)に深く関わっているというのが興味深い
(ヘレネが大戦争の発端、人に不幸をもたらしたパンドラ、“カロン・カコン(美しい災い)”と呼ばれた)

「家父長制」
男が政治、経済等の公的領域において主導権を握る
女性から経済的自立手段を奪う代わりに、家庭・家族という私的領域を与えて
経済的依存・性の管理、暴力により統制する制度

父系を確実にするため、女性のセクシュアリティの管理が最重要となる



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