メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

notes and movies(1994.8~ part5)

2013-01-25 13:35:20 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
part4からのつづきで、ペンギンノートのラスト。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『インディア・ソング』(1974)
原作・監督:マルグリット・デュラス 出演:デルフィーヌ・セイリグ ほか
話題になったあの『ラ・マン』の映画とあって期待したが
詩的な映像、女性2人のナレーションともいえぬ会話か思い出話をしているような
セリフはなく、変わった手法がたっぷり2時間、これを映画館で観客に観せるのは大胆。
一応なにかの賞をもらって芸術的評価は高いらしい。

「困難でもないし、楽でもない。なにもない、インドには」
「なにもできないということですか」
「そう、でもそれを言ってしまえば実もフタもない」
'70年代のインドの自然風景は美しい。動く風景写真といった感じ。
歴史的なことが分からないのが残念。東洋的な物腰の女性の美しい歌声が耳に残る。
「花の匂いがする」「それは疫病です」「彼らは突然はじけるように死ぬんですって」


『メル・ブルックスの新サイコ』(1977)

監督・出演:メル・ブルックス 出演:マダリーン・カーン、クロリス・リーテマン ほか
パロディ映画を撮らせたら超一流、メル・ブルックス監督が主演も兼ねて
サイコホラーの巨匠ヒッチコックに捧げたこの1本。原題は「高所恐怖症」。
ヒッチコック作品のパロを総結集させた今作も大爆笑間違いなし。元ネタを当てるのも楽しい。

カメラを寄せすぎて窓を割ったり、引きすぎて壁を突き破ったり、芸が細かいのがブルックス流
今回一番腹を抱えて笑ったのは『鳥』のパロ。公園にいるリチャードを襲う鳥、、ならぬ鳩のフン。
どこまでも追ってきてフンまみれになる単純な発想が笑える。


『エレメント・オブ・クライム』(1984)
監督:ラルス・フォン・トリアー 出演:マイケル・エルフィック ほか
全体がオレンジ色で終始しているせいか、ずっとジメジメした熱い湿気、
どこもかしこもウンザリするほど薄ら汚く見える。安ホテルも、家も、舟も、人も・・・狂気が漂っている。
『羊たちの沈黙』でも惨殺を繰り返す異常犯に対して心理を読むために犯人なりきるというシーンがあったが、
ずっと覚めない悪夢でも見ているよう。皆抑揚のない喋り方、とにかく湿っぽくて、こんなに陰気な映画が他にあるだろうか?

(すごい批判


『マッキントッシュの男』(1973)

監督:ジョン・ヒューストン 出演:ポール・ニューマン、ドミニク・サンダ ほか
スパイ映画もなかなかいい。ポール主演で前回もヒッチコックの『引き裂かれたカーテン』を観たけど、
脱出、逃亡、観ているととっさの事態に役立つような知恵がつきそう。
でも、カーアクションあり、2階から飛び降りたり、必死に走ったり、並外れた体力がないとね
予想もつかないだしぬけなアイデアがポイント。
ドミニク・サンダの影と知性、クールな美貌はスパイ工作員にはピッタリ。
せっかくのポールとの共演なのに色っぽいシーンがないのはちょっと残念。
タイトなパンツスーツでキメた彼女が出ると作品がキュっと引き締まる。


『ブラザー・フロム・アナザー・プラネット』(1984)
監督:ジョン・セイルズ 出演:ジョー・モートン ほか
面白い!どこかの別惑星からきた異性人が、なんと黒人の姿を借りてハーレムにやって来た!て設定。
カルチャー・ショックもの。イノセントで言葉が話せず、とっても平和的なブラックのE.T.。こんな宇宙人ならいつでも大歓迎。
町の区画が黒と白ではっきり分かれているのはやっぱり不思議。
同じ人種同士だと何も言わなくても“兄弟”と呼び合って、すぐ仲間扱いしてくれるところや
自分たちの歴史やルーツに誇りをもっていることなど、独特な文化ながら温かみも感じる。
N.Y.のダウンタウンといえばドラッグ、娼婦、ストリートキッズやらでもっとも騒がしくてヤバいところ。
そこには立派に生きている人々がいて、普段の生活がある。
今作ではそんな大都市に住む人々の日常の顔がのぞけるっていう魅力もある。
主人公のジョー・モートンのトボケて愛嬌たっぷりなキャラがイイ。ラストはソウルミュージックでキマり


『二十日鼠と人間』(1992)

監督・出演:ゲイリー・シニーズ 出演:ジョン・マルコビッチ ほか
原作:ジョン・スタインベック
'30年代アメリカのもうひとつの生活。その日暮らし同様の安月給で過酷な条件下で働く下級労働者たち。
地主白人労働者黒人労働者の圧迫、被圧迫者の身分がハッキリと分けれられている。
登場人物らは皆なんらかの孤独を抱えている。ジョージとレニーは結局どういう関係だったのか?
男の友情というだけでは片付けきれないものがある。老人が可愛がっていた老犬への気持ちと同じなのだろうか?
自ら監督と主演をしているシニーズのピリっと張り詰めたシリアスな演技は、今作への深い想い入れをうかがわせる。
マルコビッチはさすがの演技派。レニーのイソセンス、不気味な力強さ、赤ん坊のような大男、複雑で重いキャラクターを見事に表現。
今作のよさは原作の素晴らしさ。不朽の名作と呼ばれるだけの原作をぜひ読んでみたい。


『赤い薔薇ソースの伝説』(1992)
監督:アルフォンソ・アラウ 出演:ルミ・カバソス ほか
外国のある地方では今でも“妊娠中や生理中の女性がヨーグルト(チーズだっけ?)を作ると酸っぱくなる”
などという迷信がまことしやかに代々伝わっている。
これは料理に始まり料理に終わる、家と完全に同一化している女たちの物語り。
現実と幻想、生きている人も死人もともに存在するなんとも温かみが残る感動作。
涙を流して作った料理にはみんな絶望的になったり、その気持ちははるか遠くの他人にまで響き伝わってしまうなんてファンタジック。
愛着がモノに伝わり、それを読む超能力者もいるわけだし、まんざら神話ともいえまい。

そして、これは母親と娘の愛憎劇、自立など難しい関係も描いたメキシコ風『シンデレラ』のようでもある。
「家のしきたり」「道徳」をことさら頭ごなしにわめいた母の家族、娘たちが皆どんな辛い運命をたどることになったか。
世界中でいまだ若い女性を縛りつけ、花開いてゆく、自由に伸びてゆく芽をことごとく摘み取り、
ただ家の中、台所を這い回り、親や子どもの世話に毎日必死に明け暮れて年老いてゆくだけの
理不尽な「社会のおきて」なるものが現代にも信じがたいほどに生き残っている。
母のようにはなるまいと決まりを破ってゆく若い女性、ルールを作った男たちへの強烈メッセージを持っている。


『モノリス』(1993)
監督:ジョン・イヤーズ 出演:ビル・パクストン ほか
モノリス=(建築:彫刻用等の大きな)一本石、一枚岩、一本石の碑(柱など
「ヒドゥン」の大ヒットでこの手の“人間にのり移る宇宙生命体”の話が増えている感じ。
理解に苦しむ変な奴は、もしかするとのり移られた人間のほうなのかも。
ゴジラみたく目から火を噴く武器をもつ宇宙人を軍事に利用するため、
国家最高機密扱いで進める「ブルー・ブック計画」は実際存在するだろうか?

なぜか『エイリアン』系統から離れられないジョン・ハート
今作ではスーツがビシっと決まった調査局のボス役。非人間的でモノリス計画にすっかりハマっている。
何を演らせてもハマっちゃう彼の見どころがいまひとつ少なかったのが物足りない。
SFと刑事アクションを合体させて、政治的メッセージをもちながらコメディでもある。
で、よくありがちなコンビを組んだ男女の刑事がデキちゃうロマンスもありかと思えば、
微妙なところでおあずけ、即興でアタック、クールに冴えてる女デカ、フリンには同性としてスカっとした気分になる。
ラストの軽めのロックはSF向きじゃないけどイイ。


『ボディガード』(1992)
監督:ミック・ジャクソン 出演:ケビン・コスナー、ホイットニー・ヒューストン ほか
これぞハリウッドのロマンス映画。これぞヒット作って感じ
2大スターの起用、テーマ曲も大ヒット、これは文句なく儲かったことだろう
映画初出演のヒューストンだが、本業の役とあって、華やかな表舞台と、そこを降りて、
一人息子を愛し、ボディガードを愛してしまう一人の女性の微妙な女心を見事に演じている。
歌はもちろん、ルックスも完璧、富も名声も揃って、女優も出来る。
つくづくアメリカの大きさ、層の厚さ、そこから生み出される一流のパフォーマンスには頭が下がる。
悲恋や悲劇のほうがずっとあとまで思い出に残るんだよね。


『フォーリング・ダウン』(1993)
監督:ジョエル・シュマッカー 出演:マイケル・ダグラス ほか
スキンヘッドの殺人武器マニアに扮したフレデリック・フォレスト!このスタイルは一生忘れられないぞ!(忘れてしまった
平凡なサラリーマンのフェンスは、アメリカの怒りを代弁し、たまりにたまったストレスが一気に爆発して、
日常にある偽善を次々と暴き、破壊してゆく。すべては「家族のもとへ帰る」そのためだけに。
しかし肝心の家族は悲しいことに夫から逃げてゆく。狂っているのは彼なのか? 社会なのか?
アメリカン・ビジネスマンの不幸をしょってサイコ男に終始一貫したダグラスと、
娘を亡くし、やっかいな妻、冷たい同僚ももろともせず刑事業、人間を愛するベテラン保安官役を
ロバート・デュバルが懐深く演じている。この2大名優の顔合わせだけでも観る価値大。


『SALMONBERRIES』(1991)
監督:パーシーア・ドロン
自分のルーツ探しの『愛情物語』風の旅と、ベルリンの壁崩壊、ドイツ人の複雑な心境がからんだ見応えある1本。
アラスカの広大な雪原、吹き荒れる凍てついた風、エスキモーの厳しく静かに息づく生活を舞台にしているのが魅力。
前回は全く逆のテキサスの熱と砂ばかりの地での『バグダッドカフェ』を監督したドロン作。
今回もk.d.langが♪BAREFOOT を歌う。雰囲気が♪I'm calling you にちょっと似ている。
フェリーニにニーノ・ロータ、ベルトルッチに坂本龍一、それぞれ自分のイメージにピッタリくるお気に入りの音楽担当がいるのかも

ヴェム・ヴェンダースとデヴィッド・リンチのかけ合わせのよう。
ロード・ムーヴィーでもあり、不可思議な幻想シーンもある。
話に引きこむのはやはりカッツ役の、どう見ても男の子風の女の子、実際は男優が演じているのかも?!
でももし本当に女なら、男の子風の振る舞い方、細かく微妙な演技にはついつい引きこまれてしまう。
カッツがどう生きてきたのかという過去はあまり語られずに秘密が保たれているゆえに
なぜかひきつけられるロスウィータの気持ちも分かる気がする。

♪裸足で雪の上を歩いていこう もしあなたがドアを開けてくれるなら


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