メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

notes and movies(1994.8~ part4)

2013-01-25 13:35:21 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
part3からのつづき。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『ハメット』(1983)
製作:フランシス・フォード・コッポラ 監督:ヴィム・ヴェンダース
出演:フレデリック・フォレスト、ピーター・ボイル ほか
終始、完璧ハード・ボイルドの世界。酒、煙草、舞台は主に夜、酒場、埠頭・・・不健康な要素たっぷり。
チャイナタウンでのハード・ボイルドは'74年にロマン・ポランスキーが『チャイナタウン』で撮った。
三つ揃いのスーツにそろいの帽子、革靴ってゆうダンディズム。必ず男を貶める悪女が現れる。
隠れんぼをして遊ぶ子ども、居場所を教えるなと目くばせを交わすシーンはとてもイイ。
ヴェンダースよりコッポラ色のほうが濃い。


『カウボーイ・コップ』(1991)
監督:マーク・ティンカー 出演:デニス・フランツ ほか
『ヒル・ストリート・ブルース』のフランツが主演の一人とあってチェックしただけ。
N.Y.の新人騎馬警官のドタバタ騒ぎを描いたなんてことない娯楽作。
この監督は低予算で一体何がいいたくてこれを撮ったのか?
権威の象徴の騎馬警官らを馬鹿にするためか、N.Y.もまんざら悪くない所だと思わせたいのか?
H.S.B.ではワルもビビらす鬼警官役のデニスは、すっかり警官役のイメージが定着してしまった。
H.S.B.のほうがずっとキマってるんだけど。


『雨のなかの女』(1969)
監督:フランシス・フォード・コッポラ 出演:シャーリー・ナイト、ジェイムズ・カーン、ロバート・デュバル ほか


「雨でできている人たちがいるんだ。泣くと溶けて消えてしまう」
「会ったことは?」「ある。一度だけ」

どうしようもないくらい暗く悲しいけど、ストーリーがイイ作品。
カーンのなんともいえない役所には心が痛む。
それぞれ自分では手に負えない問題を抱える人たち。
私たちは純粋さ、素直さ、真実を追いかけながら、実際目の前にそれがあると
そのストレートさにどうしていいのか分からなくなるのかもしれない。
レイン・ピープルとは一体どんな人たちなのだろう?
深い傷と悲しみの中にも美しく透明な詩情があふれている。まるでそぼふる雨みたいに。

「女は美しく、男はカッコいい。でも見た目は普通の人と同じだ。だけど雨で作られているんだ」


『SILENT MOVIE』(1976)

監督・出演:メル・ブルックス 出演:マーティー・フェルドマン、ドム・デイルズ、バート・レイノルズ、ジェイムズ・カーン、
アン・バンクロフト、ライザ・ミネリ、ポール・ニューマン、マルセル・マルソー ほか
当たり外れ、浮き沈みの激しいコメディ映画業界に君臨するメル・ブルックスのナンセンス・ドタバタコメディ映画
変わらぬ人気の秘密は監督自ら笑かしてくれること、老若男女、誰にでも一目で分かる笑いのメジャー性にある。
無声映画が絶滅して長いハリウッドに、メジャー中のメジャーな大スターを選りすぐり、
サイレントのナンセンス・コメディーを撮れるのは、彼以外に誰がいるだろうか?

サイレントの特性を生かして、皮肉ともとれるけど、ブルックスの芸達者ぶり、
分かりすぎるほど分かりやすいストーリーと設定、笑いの数々、
ハリウッド映画のパロディを撮り続ける異端児、彼みたいな人がいたほうが断然楽しい


『TOUGH GUYS DON'T DANCE』(1987)
監督:ノーマン・マイラーズ 出演:ライアン・オニール、イザベラ・ロッセリーニ ほか
心底腐りきった金持ち連中によるコカインと200万ドルの大金を巡っての愛憎劇。
気のいい好青年のイメージのオニールが、終始目にクマのある冴えない男役。
「金髪女は皆、魔女だ」てゆうハリウッド映画にピッタリな悪女もの。
あんまり登場人物が多くて混乱してくる。
出る人出る人、皆歯をくいしばるように喋るオーバーアクティングで、私たちは極悪人ですって連中ばかり。
なんか変だけど、海沿いの別荘に住むヒマな上流階級の中には、こんな風に腐りきっている人がいるのかも。
200万ドルで買った豪華な邸宅もいかにも空虚に見えた。


『ヤング・フランケンシュタイン』(1974)
 
監督:メル・ブルックス 出演:ジーン・ワイルダー、ピーター・ボイル、マーティ・フェルドマン ほか
恐怖映画の古典的作品をモノクロで、お定まりの設定も踏まえて思い切りパロったのが今作。
メッシュが入った超ビッグなパーマの博士の婚約者は、まぎれもない『フランケンシュタインの花嫁』のパロ。
フランケンは図体もデカいが精力も絶倫て設定も笑える。

コメディとはいえ、その姿から人々に恐れられ嫌われる人造人間フランケンは、
やっぱりどこか哀愁に満ちていて、その純粋さゆえに憎みがたいキャラクター。
博士に仕込まれたタップダンスまで披露しちゃうなんて愛らしいモンスターじゃないか。
せむし男マーティの怪演は不気味でイイ。背中のコブがいつのまにか逆側に移動しちゃってるギャグはサイコー!爆
コメディだけど、人の愛を訴えかける原作の格調高いクラシックな雰囲気をそのまま残していて
ブルックスは心底映画を愛しているんだろう

(メル・ブルックス大好き!


『大地震』(1974)

監督:マーク・ロブソン 出演:チャールストン・ヘストン、エバ・ガードナー、ジョージ・ケネディ ほか
'70年代パニック映画ブームの1つ、ロスで起きたマグニチュード7の大地震によるパニックを描いた超大作。
パニック映画のお定まりは、最初の1時間ほどは、これから起ころうとする災害のことなど露知らずの人々の日常シーン、
そして後半の1時間は、ひたすら大混乱と必死に生き延びようとする人々の助け合い、エゴのぶつかり合いのサバイバルシーン

東京湾近郊は、かつての関東大震災が再び起こるという不安を抱えている。
問題は、今作でもあるように「地震観測所は何のためにあるのか?」せっかく予測しても1~2日前。
それも、市民のパニックによる事故を予想するとうっかり報せることも出来ない。
これは自然と文明社会との対決でもある。高層ビルその他都市中心部の被害を見れば分かる
「いい街だったのに」というだけでは済まされない。

恐怖とともに、混乱の中で起きるもろもろのトラブルやパニックを防げたかもしれない要因、警告を
教訓としてもっと観客に訴えるシーンがあるべきじゃないかな?
自然災害を止める手立てはないにせよ、被害を最小限にして一人でも多く生き残れる方法はあるはずだから。
映画としての娯楽性を出すのも難しい。他の『ポセイドン・アドベンチャー』等と比べると少々弱い。
それにしても女性は、パニックの中でもレイプの危険にまで怯えなくちゃならないなんて、なんとも形容しがたい気持ち。


『エル・トポ』(1967)

監督:アレハンドロ・ホドロフスキー 出演:アレクサンドロ・ジェドロウスキー、ロバート・ジョン ほか
GUNS GUNS GUNS
銃さえあればどんなに気が弱い奴でも一発バン!とやれば人が殺せる、なんでも思いのまま。
今作の芸術性など問題じゃない。世界中で大量虐殺、戦争、殺人をしている連中全員に見せてやりたい。
これだけしつこく見せなきゃ話の分からない野蛮人が多いから。
「フェリーニが西部劇を撮ったらこうなるだろう」て 彼は絶対こんな暴力映画は撮らないよ。

「モグラは太陽を求めて土を掘る。そしてやっと地上に出、太陽を見た時全盲になるんだ・・・」

これだけ殺人と暴力が絶えない狂った世界で「生きる理由」って一体何だろう?


『マインド・スナッチャー 狂気の人体実験』(1972)
監督:バーナード・ジラード 出演:クリストファー・ウォーケン、ジョス・アクランド ほか

「1954年。カナダ人学者が脳の中に快感と痛みをつかさどる箇所を発見。
 それ以来、世界中の病院や研究所でウサギ、サル、そして人間の脳に電線がとりつけられた」

ストーリーは重いけど、ウォーケンの無名時代のマイナー作品に出会えるのはなんという奇跡。
若いのなんの!この当時から狂気が静かに漂う雰囲気と演技力は説得力がある。
最近はもっぱら悪の権化、マフィアや銃のイメージだけど、この路線のほうがイイのになあ。
彼の存在感と、とらえがたく透明な妖しい美しさは、博士だろうが軍人だろうが吸い込まれるだろう。

実話に基づいているとは驚いた。医学や軍の研究では動物実験によって大量の命がむごい状況で殺されている。
「君は孤独で不幸だ」「誰でもそうだ。しかしそれも自分の一部だ。
 自分の息子にも実験して幸せにしてやったらよかったのさ」
「実験の失敗が外に漏れたら、現代医学の狂気の沙汰と大騒ぎになるだろう」
まったくその通り。実験するならまずそれを命令した連中から先に試してみればいい。
次々と出る新薬の効果は確かに大きい。
でもその影にある膨大な動物や人命の犠牲はとても正視できない問題だ。


『クレオパトラ』(1963)
 
監督:ジョセフ・L・マンキーウィッツ 出演:エリザベス・テイラー、リチャード・バートン ほか
かつてのハリウッド・スペクタクル超大作の1つ。
エジプトの神秘を代表する絶世の美女の半生、その美貌と野心、そして誰より母国を愛し守ろうとした
彼女の姿をいくらか神話的、ドラマティックに描いている。
どことなくイメージが重なり合う大女優ベスが演じ、そしてバートンとの不倫からの結婚等で話題になったらしい。
高額なギャラは実にバートンの40倍!
何万人というエキストラを使って、活気に満ちた人々の様子を再現し、
これが紀元前40年も昔の話とは信じがたいほど。戦争の武器は石や火など基本的なものだったけど。

所々場面の切り替えが早くて追いつけないところもあったけど、とにかくロマンティック。
身も心も燃えつくすような愛とは!?
「苦しいのだ、私を自由にしてくれ。夜は私の元に来てくれるか?そうすればこの闇も安らかなものとなろう」
「愛に仕えてはならない」
さすがに実際愛し合ってた共演とあって説得力がある。
でも、スフィンクスと同じくらい美しく神秘に包まれたクレオパトラという女性は一体どんな人だったのだろうか?


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