メランコリア

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『告白』(2010)

2013-02-10 12:11:32 | 映画
『告白』(2010)
原作:湊かなえ 監督:中島哲也
出演:松たか子、岡田将生、木村佳乃、芦田愛菜、山口馬木也、高橋努、新井浩文 ほか

先日見たドラマ『贖罪』と同じ原作者の映画ってことで興味をもって観てしまった。
「R15指定」になったのもよく分かる。観ているこっちまで精神崩壊しそうなほど追い詰められた。
精神的に限界状態になるって分かっていても、つい観たくなってしまうのは、
原作者の確かな文章力、説得力、その背景にある現代の真っ黒い闇があるから。
こんな小説を書く女性って一体どんな方だろうと思ったら、ごく普通な感じでさらにビックリ/驚→here
(いや、別に変な人を想像していたわけじゃないけれども
他にもまだ同じかなりダークなテイストの著書が映像化されているのも気になってきた。
彼女のシリーズを観て、ストレス耐性が上がらないかな・・・


trailer


▼story
原作は、第一章「聖職者」、第二章「殉教者」、第三章「慈愛者」、第四章「求道者」、
第五章「信奉者」、第六章「伝道者」と分かれているが、
映画ではそれぞれ主体となる登場人物らの「告白」として6章に分かれている。

市立中学校1年の終業式の日、担任・森口悠子は教師を辞職することを伝え、その理由を話し始める。
シングルマザーの悠子は、「結婚しなかった理由は、夫の桜宮正義がエイズを発症し、子どものために決断した」と言う。
愛娘の愛美は、悠子が職員会議のある水曜だけは、学校の保健室で預かってもらっていたが、
ある日、プールで死んでいるのを発見。「事故として片付けられたが、犯人はこのクラスの中にいます
その2人をA、Bと称し、「警察には言わないが、2人が飲んだ牛乳に夫の血を混ぜた」と言い、教室内は騒然となる。。


最初の告白の場面での松たか子は、まるで般若の面のようだ。憤怒をもつ鬼女の様相。
彼女は実際のところ復讐に自らの手を汚しただろうかは不明のままで、
心理的プレッシャーで容赦なく断罪してゆく様は『贖罪』と同様。

母のキャリアの犠牲になって歪んだ少年、
過保護な母のもとで育った少年、
マスコミで騒がれた殺人者を崇拝する少女、
事件の真相を知らず、ただ自己満足のために熱く指導する若い教師、
HIVへの誤ったイメージと、殺人犯への安易な復讐心から陰湿なイジメを繰り返す生徒たち。

湊かなえさんの作品に惹かれる理由が、ここいら辺にあるような気がする。
大人のプライド、歪みが、子どもへと伝承されてゆく永遠のループ。
それは、今、自分が内観している事柄とも深くリンクしているからでもある。

この陰惨な事件の表向きだけを見ると、現代のキレる子どもたち、イジメが流行る学校などを描いているようだけれども、
親の躾や教育のあり方、ひいては社会的背景など、もっと根深く広がる問題がある。
幼い頃から他者との競争に次ぐ競争、自由な時間と感情を奪われ、真の信頼関係を結べないまま育ってゆく子どもたち。
無意識に子どもへ伝染させてゆく繰り返しに大人や教育者が早く気づき、負の連鎖を止める手段はないものか。


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