メランコリア

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ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

『めくらぶどうと虹』宮沢賢治

2013-02-10 12:07:42 | 
『めくらぶどうと虹』(福武書店)
宮沢賢治/作 近藤弘明/絵

▼あらすじ
かすかな日照り雨が降ったあとにかかる虹。
たったひと言でも言葉を交わせたら死んでしまってもいいとまで思いつめているめくらぶどう。
「どうか私のうやまいを受けとって下さい」というめくらぶどうに対し、
「うやまいを受けることは、あなたもおなじです」と命の平等、比べることの愚かしさを説く虹。

 

「ええ、そうです。ほんとうはどんなものでも変わらないものはないのです。
 ごらんなさい。向こうのそらはまっさおでしょう。まるでいい孔雀石のようです」

 

「すべてまことのひかりのなかに、いっしょにすむ人は、いつでもいっしょに行くのです」

【詩人・生野幸吉さんのまえがきメモ】
イエスの山上の垂訓(マタイ伝第5章)の中の野の百合のたとえをひいて、
さだめないもの、はかないものが、かぎりない命に変わる「まことのちから」を説きながらも、
そこには仏教の衆生済度や悉皆成仏といった思想が、さらに大きな、やさしい救いのひろがりを、
虹の輪のようにひろげていると思います。

衆生済度=仏道によって、生きているものすべてを迷いの中から救済し、悟りを得させること。
悉皆成仏=万物すべてが仏になること。

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