メランコリア

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ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

notes and movies(1998.11~ part2)

2013-10-29 14:21:37 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
part1からのつづき。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『バックトラック』(1989)

監督・出演:デニス・ホッパー 出演:ジョディ・フォスター、チャーリー・シーン、ボブ・ディラン ほか
これが『ハートに火をつけて』の本家。ホッパー自身による編集のもの。
どうしてこのまま通らなかったのかフシギなくらい完璧なストーリー、演出、脚本。
今作は完璧ホッパーのジョディへの熱いラヴコールって感じ。2人のホットな共演が盛り上げてる。
『レオン』にせよ、ヒットマンは決して正義のヒーローじゃないのに映画にするとカッコイイ。
マイロみたいに魅力的で頼りになって、繊細なパパさんなら、アンがうらやましい。

「俺と生きるか、死ぬか、選択はそっちにある」「生きたいわ」

ジョディのヌードシーン、黒い下着をつけさせるシーンが刺激的。
中年の口下手な殺し屋が初めて知った愛の悦びと苦悩をホッパーが見事に演じている。
ディランがチェーンソーで木を削るアーティストになりきってるほんの1~2分のシーンは貴重!
ホッパーがホーンを吹くシーンは本物? なかなかサマになってる。
歳を重ねるごとに渋くて味のある、やわらか頭で反体制的な部分も残したイイ俳優。


『スペース・トラッカー』(1996)
監督:スチュアート・ゴードン 出演:デニス・ホッパー、チャールズ・ダンス ほか
D.ホッパーのSFもイケる。60歳超えるオヤジとは思えないフェロモン出してる風貌に軽い身動き、オフ・ビートなノリ。
『フィフス・エレメント』に匹敵する未来の宇宙トラック、ファッション、衣食住の工夫あれこれに、
エイリアンフォルムな500%戦闘マシーン、ちょっとカンフーも入ってる。
久々C.ダンスが手作り機械人間で負けじとブッ飛んでる
Aのヘアスタイルから、緑シルバーのブラ、Bのビニル製のファッションにも注目。チューブ型朝食もおもしろい。


『シャロウ・グレイヴ』(1994)
監督:ダニー・ボイル 出演:ケリー・フォックス、クリストファ・エクレストン ほか
けっこうエグい映画だったな。前に知人から借りた本と内容、設定が似てるから心理劇が中心だと期待したけど、
やっぱ素人が大金を前にしてやれることはこの程度だ。
この3人の友情は最初から下衆でインチキ臭かったから少しは救われた。
イアン・マクレガーは今をときめくイギリスの若手スター。
どっかで観たと思ったけど長髪でアイドルっぽくて変わるもんだね!

こんなことなら平凡な生活でも大手振って歩けてた日々のなんと幸せだったことか!
世の中の強盗予備軍に見せてあげたいこの結末。いやいや、金のトラブルで友情も愛情も何もかも失う危険性は
誰にでも、いつ起こってもフシギじゃないこと。せいぜい気をつけなくちゃ。


『男はつらいよ』(1994)
監督:山田洋次 出演:渥美清、後藤久美子 ほか
先日の飛行機内でなぜか放映していた。それぞれのキャラ、おなじみのルーツが分かる貴重な1本で、ついひきこまれて観てしまった。
昨日は名物タコ社長こと太宰久雄さんが他界。若い頃の出演陣を見ていると、
自分の親の青春時代、経済成長真っ只中の時代が見えてきて面白い。
今、口上言いながらバナナの叩き売りってゆうのもなくなってきたね。
どこまでも清純派な倍賞千恵子に、若かった前田吟が懐かしい。


『血を吸うカメラ』(1960)
監督:マイケル・パウエル 出演:カール・ボエム ほか

「窃視症だ。患者には想像力がある。病的な衝動で注視することだ」

『CUBE』と一緒に放映予告していた今作。単なるB級じゃなさそう。
怖いだろ~~~っていう音楽や撮り方が'60代だけど、猟奇殺人が性的衝動からくる、
幼児体験に基づくという心理学的見地で撮った『羊たちの沈黙』ほかの先駆けかも。
シリアルキラーは普通の目立たない若い男に多いという。
主人公マークのやや女性的な美しさが演技とともに魅きつける。

シリアルキラーが悪党でも片付けてくれればいいいのに美女ばかり狙い、
それが映画にすると絵になるという図式がハッキリした。
まだマークは自己反省的で自分で自分を研究台にして自殺してくれたから良心的。
実際はあり地獄みたく幼児から大人まで無差別に殺して平気で世の中に隠れているんだからそれこそ恐怖だ。


『X-FILES MAX』
出演:デイヴィッド・ドゥカヴニー、ジリアン・アンダーソン ほか
淀川さんの解説がないのが寂しい。これは劇場版か? TVの長編か?
以前のキャラMAXの後日談で、特異のUFO+政府隠蔽ネタ。
今作はとても機内映画としては公開できない。先日サイパンでのエアポケット恐怖を知っているゆえ、
リアルな飛行機墜落シーンには身につまされる。
湖底にチラッと見えるエイリアン死体は愛嬌。

これだけいろいろ実体験していながら何も証明できないのは辛いだろう。
UFO墜落地の湖にもぐるっていうシーンもあり。
モルダーからスカリーへの誕プレはアポロ11のキーホルダー。
「これをくれた意味が分かったわ」とたくさん教育番組っぽいまとめのセリフの後、
モルダーがあっさり「カッコいいから送ったんだ」ってジョークは数少ないヒットの1つ。


『フランキー・ザ・フライ』(1996)
監督:ピーター・マークル 出演:デニス・ホッパー、ダリル・ハンナ ほか
観てるようで観てなかったD.ホッパーシリーズ。C.ウォーケン、A.パチーノらと同様、
彼もマフィアボス役で通せるのに、ボスにこづかれる下っ端もこなせちゃうのがホッパーのお得さ。
『スプラッシュ』等で清純派だったハンナがかなり汚れ役。
ホッパー自身かなり麻薬とアルコールでヤバかった時期もあったというだけに
「腕に打ってたら死に向かうだけだ」ってセリフは真に迫っている。音楽もなかなかイイ。


『パリス・トラウト』(1991)

監督:スティーブン・ギレンホール 出演:デニス・ホッパー、バーバラ・ハーシー、エド・ハリス ほか
「埋葬は忘却よりもた易い」こんなに重いドラマだとは思わなかった。3人の熟練俳優による極上のドラマ。
パリスがどうしてここまで狂気に走ったのか、母との関係に原因がありそうだが、容易に幼児体験説に走らず、
分からないままなのがかえって惹きつけ、言いようのない恐怖感を与える。
ここではホッパーはM.シーンばりのシリアス演技で圧倒的。こんな表情も持ってるんだ。

「3人はいつまでも近くにいる。暗い夢の中にも」

セリフが所々詩的で難解。一件落着式じゃないのもアメリカ映画らしくない。
パリスが黒人でもヒトを殺すのを罪と思っちゃいない感覚に驚かされる。
それだけ根強い差別を暴こうという狙いか? 思わぬ掘り出し物の逸品。


『東京画』(1985)
監督:ヴィム・ヴェンダース 出演:笠智衆、厚田雄春 ほか
昭和初期の東京を舞台にサイレントからトーキーまで一貫して家族の肖像を撮り続け、昭和63年に亡くなった小津安二郎監督に惚れこみ、
その後の東京に興味をもって撮ったというロードムーヴィの巨匠ヴェンダースの旅の記録。
過去のものを客観的に見るのはとても不思議な気分。

「巡礼ではなく興味があった」
「戦後に生まれたこのゲーム(パチンコ)で、人々は忘れたいことを忘れ、集団の中でより孤独となる」
笠智衆「30半ばで60代まで演じたのもすべて監督のいいなりだった」
助手「大きなものを失った。他のヒトと仕事をしてみたがうまくいかなかった。神さまみたいに尊敬していた」
「映画は現実から少しずつズレて、私たちはそれに慣れてしまったから、
 突然画面の中の子どもの仕草等の中に現実の姿を見つけると困惑する」

田舎や都内でも郊外ならまだ日本家屋に昔ながらののどかな家族の一面を見ることも可能だろうが、
街の中で昭和20年代そのままの姿を探すのは当然ムリ。
ヴェンダースは小津作品の中に静かでリアルな感動があることに敬意を表しても、
今の変わってしまった東京に対して失望や嫌悪を示しているわけじゃない。
完璧主義の小津のエピソードを聞き、今の東京で小津の眼から見た東京を想像し、
50ミリカメラでのぞいて追体験し、そこから映画のエッセンスを学びとろうとしたのかもしれない。
彼が「後にも先にも小津を超えるものはない」とまでいわせた小津作品。機会があったら観てみたい。


■ロジャー・コーマンSFサスペンス傑作集『暗闇がやってくる』(1988)
監督:ポール・メイヤスバーグ 出演:デビッド・バーニー ほか
ちょっとアルマゲドンが入ったSF。コスチュームプレイと現代も混ざった舞台劇っぽい雰囲気。
「不安から発明がはじまり、人々は進歩していったのだ」
恐れて狂信者に走らず、世紀末には団結して立ち向かおうってテーマかしら?
あまりに中途半端で絶望的に終わってしまって、世紀末に対する備えで学べることが少ないのにちょっとガッカリ。


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