メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

notes and movies(1992.9~ part3)

2012-11-04 12:17:35 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
part2からのつづき。
若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『レッスンC』(1978)
監督:アンドレ・ファルワジ 出演:ナスターシャ・キンスキー ほか
性に興味をもつ男女が繰り広げるドタバタ騒動ものの青春グラフィティなのは分かるけど、
女の子たちが売春じみたことを率先してワアワアやろうとする気持ちは理解しがたいなあ。
スイスの学校だけあってアメリカ人、フランス人、イタリア人等々
そこら中の国から生徒が集まっているところが変わってる。

キンスキーは一風変わった作品ばかり顔を出すけど、10代とは思えない美貌で
B級映画にはもったいないくらいキレイなベッドシーンまである。
駅で「絶対また会いましょうね」と別れるシーンは、映画じゃ度々見るけど、
永遠に果たされない約束って感じで象徴的。


『アンナ』(1987)
監督:ユレク・ボガエヴィッチ 出演:サリー・カークランド ほか
アメリカ映画であって、アメリカ映画らしくない雰囲気は監督のせいかしら?
クリスチーナが手紙でヌードル(妙な名前)に
「神経症になるのはアメリカじゃ珍しくないの」とアッサリ言っているのが印象的。
チェコ娘は、すっかり訛りのとれた流暢な英語で語るけど、
若さの衰えだけで女優生命を絶たれちゃうなんて、華やかな舞台の裏じゃ、
いつもこんなボロボロ、バラバラなな生活があるのね。


『マイ・フェア・レディ』(1964)
監督:ジョージ・キューカー 出演:オードリー・ヘプバーン ほか
やっぱり長く人々に愛される名作は、誰が観ても、いつの時代も変わらない楽しさと感動がある。
当時のハリウッドじゃどこもかしこもミュージカル!
その中でも190分の長編で、これほど衣装の華やかな映画はないだろう。

でも、記録を見てみると、この年のアカデミー賞で作品賞、監督賞、そして主演男優賞はとっているけど、
肝心の主演女優賞は『メアリー・ポピンズ』のジュリー・アンドリュースが受賞しているのは趣き深いものがある。
だってジュリーはこの「マイ・フェア・レディ」のミュージカル舞台で認められた女優だったから。
彼女がこのイライザ役を演ったらどうなんだろうと考えるけど、
ミュージカル映画で歌わなかったにせよ、オードリーの演技は結構イイし、
一番宝石のように輝いていた時代の可憐な姿が永遠にフィルムに残っているのはやっぱり素晴らしい。
でも正直あんなに男尊女卑な男も珍しい。階級制度と共にイギリスにはまだ根強く残っている考え方なのね。
それがラスト「スリッパはどこだ?」ていうセリフに表れている。


『トーチング・トリロジー』(1988)
監督:ポール・ボガート 出演:ハーヴェイ・ファイアスタイン、マシュー・ブロデリック、アン・バンクロフト ほか
アーノルド役のハーヴェイの自作自演とは驚いた。半自伝的作品だろうか。
どことなく湿っぽいイメージのあるゲイの世界をオープンに、自然で心温まるヒューマンタッチで描いている。
常に偏見と好奇の眼にさらされる彼らだが、男女でもこれほど愛情深く愛し、思いやれることは多くない。

ラストのテロップに「この作品をエイズと闘うすべての人に捧げる」とあるのは重要なメッセージ。
エイズという大きな脅威にゲイが一方的な槍玉にあげられているのは現実で、
大きな社会問題にまでなっているけれども、形は違っても人が人を愛することが脅威になり得るだろうか?

ハーヴェイの超ハスキーな声、深みのある演技はもちろん、
息子がゲイであることに必死に対処しようとする頑固な母親役をバンクロフトがキャリアを見せている。
カーウィンの憎めないバイセクシュアルぶりもイイし、同性にも好かれるんじゃないかと思う
美青年ブロデリックの若く誠実な演技も見どころ。


『フォクシー・レディ』(1980)
監督:エイドリアン・ライン 出演:ジョディ・フォスター ほか
やっと観れたジョディの初期作品。
4人の女友だちが16歳でいろいろ考え、悩んでゆく姿を描いたもので、
ジョディの魅力とシッカリした演技が充分味わえる一作。

『セントエルモスファイア』もあるけど、あの時のデミ・ムーア演じる女性よりもっと深刻な問題。
例えば親子の意思疎通がはかれずいざこざの絶えない家庭や、10代からのドラッグやアルコール等々、
問題を抱えてもどうにもできない少女たちのやりきれなさ、
早く一人前になって親元から独立したいとはやる気持ちも誰もが経験する過程かもしれない。

今作に出てくる大人たちは皆ほとんどイカレている。
親の都合に合わせて型にはめられる子どもたち。
今あらゆる場所で起こる異常犯罪の原因も、そんな根底から生まれた結果かもしれない。
冒頭、健気で平穏な眠りについているジョディの足から顔へとカメラがはってゆくところは
ふくらはぎの小さなホクロまで見えてロリータっぽくて素敵。


『愛人 ラ・マン』(1992)
 
監督:ジャン=ジャック・アノー 出演:ジェーン・マーチ、レオン・カーフェイ ほか
純粋にボーイ・ミーツ・ガールのシンプルな素材なのに、
インドシナというエスニックな舞台、32歳の中国人男性と17歳のフランス人の少女という
差別的関係にあるのとは逆の貧富の差の激しい男女の組み合わせ、
そしてなにより作者が三人称で語る少女自身であるというセンセーショナルさ。

「わたしは18歳で老けてしまった」
というセリフの宣伝文句に、もっとエロティックなものを想像していたけれども、
かなり直接的な性描写なのに、なぜかとても自然で真実味のあるドラマを
当時、その場で透明人間となって傍観しているような感じがしていた。

著者によく似た新人マーチの体当たり的演技も新鮮だが、
あらゆる難関を乗り越えて、深い愛を教えたショロン役にカーフェイを起用したのはとてもイイ。
“働かないでも、愛だけに生きる男”なんて興味深い。

作者はこの黄色い大地と、黄色く流れる川のある町で起きた家族とのことや
別れてしまった愛人の話を未練たっぷりに話しているというより、
むしろ、私たちそれぞれの人を愛する形を問いているのではないだろうか?
でも、実際の物語りはもっとずっとドラマティックだったろうな。

(この時のカーフェイにヤラれて、主演作を漁った記憶がある


『アダムス・ファミリー』(1991)
監督:バリー・ソネンフェルド 出演:ラウル・ジュリア ほか
『バットマン』ほか人気コミックの映画化がゾクゾクと出来ている中で
ホラーコメディコミックの映画化なんて面白い。
クリストファ・ロイドの芸達者な演技力には恐れ入る。
例の大げさでどこか操り人形的な動きは彼独特のキャラクター。
それに首のない肩上がりで不気味な海坊主メイクだから本当に楽しいキャラだなあ!

アダムス一家はモンスターじゃないから、苦痛が好きと言えども、
どこか人間味があるところがアメリカンユーモアなんだろうね。
しかし、ハンドくんには驚いた 手だけの演技。さぞ手元が荒れたことだろう。
次にも出演依頼が殺到してるかもねw
アダムズ家の惨事に家族の絆の素晴らしさを教えられる。


『アリス』(1990)
監督:ウディ・アレン 出演:ミア・ファロー、ウィリアム・ハート ほか
舞台はN.Y.。主演はミア・ファロー、最後はハートウォーミングで観客の心を包み込む、アレン、アレン、アレン!
彼のハイセンスな物語と映像は、疲れて荒んだ現代人の心と姿を映す鏡、
そしてそれらを癒してくれる秘薬かもしれない。
アレン自身は出演していないが、シビル・シェパードなども出演していて多彩。
毎度、アレンならではの作品を作り続けていることに改めて感心させられる。
アリスのファッションや豪奢な生活を送るテート邸のインテリアも一見の価値あり。


『デスティニー 愛は果てしなく』(1988)
監督:グレゴリー・ナバ、アンナ・トーマス 出演:ティモシー・ハットン、ウィリアム・ハート ほか
ずーっと観たいと思ってたのが叶って、久々にハットン作品が堪能できた。
戦争によって引き裂かれる恋人ものといっても、
ヴェトナム戦争映画のような悲惨さではなく親子の愛憎をテーマにしている。

でも、同じ自分の子を平等に愛せないってことが本当にあり得るのかしら?
いくらダメな子でも理屈なしに愛せるのが親子の愛だと思うけど。
愛されないで育った子の歪んだ異常心理をウィリアム・ハートが実に不気味に演じている(彼の十八番かも
サンディエゴの自然の美しさも見事に映し出されている。

『普通の人々』での初出演で初オスカーをとった天性の俳優ハットン。
年齢的にも脂の乗り切っている彼の魅力と才能を十二分に活用できる監督や作品が少ないのが残念。
主役級の役が多いのに興行的にはヒットしてないために、まだまだマイナーだから
もっともっと多くの人にこの若く貴重な俳優を知ってもらいたいなあ。


『ボヴァリー夫人』(1991)
監督:クロード・シャブロル 出演:イザベル・ユペール ほか
コマ落としの紙芝居のようにエマの半生を駆け足で描いてゆく。
なんだか『風と共に去りぬ』のフランス版のように思えたけど、
エマの場合、相手を本気で愛していたところが、単に金のために結婚していたスカーレットと違うかな。
よく考えないで結婚したのがそもそも問題の発端みたい。
尽くし抜いて最後まで最愛の妻からは愛どころか同情と憐憫しか得られなかった夫は哀れとしかいいようがない。
当時の衣装等も見どころの一つ。ユペールの古風な美しさといい、アンティークな映像美が楽しめる。
一つだけ、子どもを人形のように扱っているのが気になる。昔は育児など重要じゃなかったのかしら?


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