メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

notes and movies(1994.10~ part1)

2013-02-08 11:20:53 | notes and movies
過去のノートにある映画感想メモシリーズ。
今回は草色のノートからご紹介。

  

photo1:映画雑誌に載ってたクリストファー・ウォーケンの切り抜き
photo2:宮沢賢治記念館に行った時の旅行記。
photo3:そして、なんといってもモンティ・パイソンとの運命的な出会い
この『空飛ぶサーカス』を借りて何百回も観た(とくに大好きなエリック・アイドルの箇所
しまいにはスケッチをすべて記録したり/驚
今では「モンティ・パイソン大全」に全部書いてあるけどね
そして、これ以降しばらくはコメディ映画ブームが巻き起こった(あくまで自分の中でw

若かりし頃のメモなので、不適切な表現、勘違い等はお詫び申し上げます/謝罪
なお、あらすじはなるべく省略しています。


『告白』(1981)
監督:ウール・グロスバード 出演:ローバート・デニーロ、ロバート・デュヴァル、チャールズ・ダーニング ほか
生々しいバラバラ死体の犯人を捜すうちに建設業にまで関わっている教会と聖職者らのビジネス化した偽善を描き、
全く反対の立場にいる兄弟の、複雑だが奥の深い血のつながりを淡々と描いた作品。
デニーロとデュヴァルが兄弟役で共演しているのが見どころ。たとえ2人で何も言わずに顔を合わせて座っているだけでも、
人生の重みや深み、情なんかが漂って完璧絵になるのは、2人とも遅咲きの充分なキャリアと自信が備わっているからだろう。

立派な教会には人が集まる。宗教団体は寄付、つまりお金で動いているという事実をまざまざと見せられた。
あらゆる絢爛豪華な宗教の祭事、型にこだわる儀式の費用の一部は、聖職者のポケットに入るように成り立っている。
所詮は人が作り上げた組織。天上の真理とは本質的にまったく別物だということだ。
司祭まで女性を買っているなんて。神に仕える者は、禁欲を守らなければならないなんてルールを最初から作らなきゃよかったんだよ。


『ジュラシック・パーク』(1993)
監督:スティーブン・スピルバーグ 出演:サム・ニール、ローラ・ダーン ほか
恐竜ブームを再燃させた作品の超ヒット作がこれほど早くビデオ化され自宅で楽しめるとは。
ウチのちっちゃい画面で観るのは情けないかぎり。劇場で観たら3D映像並の立体感覚の興奮で
背筋もゾクゾク、飛びあがりながらのディズニー風サバイバルゲームに参加できただろう。
動物パニック映画でもあって、相手は何千万年も前の、利口でチームワーク抜群の肉食恐竜とあれば手強さは並じゃない。
食欲もすごくて人間を執拗に追いまわし、ドアを開けたり、窓から覗いたり?!
ま、そこはサメを凶暴化させて全世界を震え上がらせた『ジョーズ』の監督。CGで現実に蘇ったとしか思えない合成映像で、
私たちの中に眠っていたロマンと好奇心を目覚めさせてくれた。

サム、ローラ、ジェフ・ゴールドブラムという癖のある実力派俳優の起用も大正解。
そして欠かせないのが小さな観客を代表する男の子と女の子。
次々ととんでもない目に遭いながら、動物や自然の生命力を愛し、勇気と好奇心で対抗する彼らも主役級。
夢の実現と金儲けのために自然の生命力と危険性を無視して、愛する者まで失いそうになる老人を通じて、
自然の脅威、命の尊さ等、スピルバーグらしいメッセージをもっている。
でも、結局はお金。映画関連グッズは売れただろうし、テーマパークのアトラクションにもなるし、
トータルの興行利益たるや想像を絶するものだろう。


『逃亡者』(1993)
監督:アンドリュー・デイビス 出演:ハリソン・フォード、トミー・リー・ジョーンズ ほか
タイトルもズバリ、妻殺しの容疑で有罪、死刑宣告を受けた医師が連邦警察の追っ手を交わしながら真犯人を探し出す
2時間たっぷりの逃亡劇を迫力ある展開で描いた、キャストもビッグなヒット作。
ジョーンズのデータが全然ないのが残念。スリムな身体にタイトなジーンズ、真っ赤なマフラーでキメた刑事なんて珍しい。
土臭いフォードとは対照的に、都会的な彼の雰囲気は悪役向きだけど、敏腕刑事役もなかなかイケる。
追うほうも追われるほうも頭がキレるのが作品のポイント。これから逃亡を企てる人には勉強になるかも!?
医師リチャードが人々から好かれ、絶対的な信頼を得る善人という設定がポイント。
大画面のスクリーンで観たらさぞかし大迫力だろうなっていうシーンの連続。


『DO THE RIGHT THING』(1989)
監督・脚本・主演:スパイク・リー 出演:ダニー・アイエロ ほか
「人種差別に暴力で闘うのは愚かなことだ。暴力は破滅に至るらせん状の下り階段で、
 “目には目を”の思想はすべてを盲人に導く。暴力は敵の理解を求めず、敵を辱める。
 暴力は愛ではなく、憎しみを糧とし、対話でなく独白しか存在しない社会を生み出す。
 そして暴力は自らを滅ぼし、生き残ったものの心には憎しみを、
 暴力をふるったものには残虐性を植えつける」(マーティン・ルーサー・キング

「アメリカには善人も多いが悪人も多い。権力を手中に握り、我々の進む道を阻んでいるのは悪いやつらで、
 この状況を打破するために闘うのは我々の権利である。
 私は暴力を擁護する者ではないが、自己防衛のための暴力を否定する者でもない。
 自己防衛のための暴力は暴力ではなく、知性と呼ぶべきである」(マルコム・X

ともに人種差別について語っているが、それに対する姿勢は全く違っているこの2人が、笑って1枚の写真に納まっているのはなんとも奇妙。
♪Fight to Power (for freedom) とシャウトするヒットナンバーのラップにのせて放ったリーの話題作。
白人、黒人、韓国人、ユダヤ人、イタリア人、プエルトリコ人、、、
どうして生まれた国、生まれた時間なんかによって、人間に上下や優劣の差が生まれるのだろうか?

ブルックリンの下町の日常をとらえたコメディから、ハードな差別問題に引きこむあたりは上手い。
よりリアルに見せるアップテンポな撮り方は新しいし、黒人独特のビートやセンスに溢れている。
「W.ヒューストン、M.ジャクソンetc.・・・我々が日々耐えていけるのは君らのお陰だ」「彼らは黒人を超えた黒人なんだ」
「左手が憎しみ、いつもトラブルを起こす。次第に強くなっていくが、右手の愛はいつも勝つ。人生は愛と憎しみなんだ」
ジョン・サヴェージが1カット出ているのもチェック/驚
日本も今年は最高41℃なんてゆうひどい猛暑。これを観ると、朝から汗びっしょりの日々の記憶が蘇るけど、
あの暑さは今はどこへやら。ブルックリンにも寒い冬が訪れることだろう。
チーズがたっぷりのったピザが食べたくなったなあ!


『キャンディマン』(1992)

監督:バーナード・ローズ 出演:ヴァージニア・マドセン ほか
たしかに『羊たちの沈黙』に通じるものある、血生臭いホラーなんだけど、
サイコでロマンティックな雰囲気さえ漂う。上品なスプラッタとでも言おうか。
初期作品の初々しいヒロインから、モンローばりの完璧セクシー・ビューティまで、マドセンの魅力もたっぷり堪能できる。
その名前の甘い響きとは全く反対な恐怖と生贄を糧とする伝説のキャンディマンが
なんともクラシックでゴージャスで哀愁漂う魅力的な黒人なのがポイント。
思い出すのは、学生の時、私たちもやっぱりこんな噂話をよくしていたこと。「口裂け女」もそうだし。
話しながらもどこかで深層心理が生み出す恐怖のひとつで実在しないんだと思っているけど、
映画ではジェイソンやフレディまで、次々と心の奥に巣食う恐怖をスクリーンで体現させてゆく。
久々に背筋がゾクっとくるあとをひきそうなホラー映画。


『パーフェクト・ワールド』(1993)
監督:クリント・イーストウッド 出演:ケビン・コスナー、ローラ・ダーン ほか
同じ逃亡劇でもイーストウッドが撮れば叙情的。「俺は善人じゃないが、根っからの悪人でもない」
今作には、暴力をふるう親と、無力に従う子どもが描かれている。
子どもの教育にはちょっと向かないワルだけど、親子関係には特別な信念を貫くブッチ。
クリスマスや誕生日を祝っちゃいけないなんてくだらないルールに絶対服従させられる子どもと宗教の問題もある。
彼らにとって親はやはり必要で、どんな親だとしても愛情を求めていることを忘れてはならない。
「20世紀のタイムマシンだ。俺がキャプテン、お前はナビゲーター。これから向かうのは未来。
 後ろに過ぎ去ったのは過去。タイムワープしたきゃアクセルを踏めばいい。止まったここが現在。現在をたっぷり楽しもう」


『ジャングル・フィーバー』(1991)
監督:スパイク・リー 音楽:スティービー・ワンダー
出演:ウェズリー・スナイプス ほか
トボけたキャラで自作に登場する才能あふれるリー監督。
今作は、黒人と白人のロマンスをウディ・アレン風にじっくり描いた感動的なヒューマンドラマ。
「白人男は、昔、小屋に黒人女をかくまい、好きなのを選んで遊んだ。それで生まれたのがハーフや1/4、1/8の黒人たちだ。
 白人妻はそれに誇りをもって耐え、夜になると黒人男に抱かれる夢を見た」
どれだけ差別がはびこっていようと、愛する気持ちは変えられない。
なのに、肌の色、過去の恨みつらみ、偏見で気持ちを抑えたり、影でこそこそ欲望を満たすなんて、なんて妙な話だろう。

「愛は勝つ、なんてディズニー映画の話だ」現実はロマンス映画のようにカンタンじゃない。
リーは黒人が白人をとやかく言う“逆差別”にも触れている。そして仲間同士のあけっぴろげの話し合いを通して、
もっと肌や生まれなど関係なく自由に愛し合えないのか?という問いも投げかけている。
「2年間ひと言も口をきかずに大喧嘩していた時も背中を流す務めだけはおこたらなかった。それが本当の結婚というものだ」
カトリックの性に関する掟を破らない者なんているだろうか、牧師も含めて。
この問題はとてつもなく深刻で複雑すぎて逃げ道はどこにも見えない気がする。


『ボディ・スナッチャーズ』(1993)
監督:アベル・フェラーラ 出演:ガブリエル・アンウォー、メグ・ティリー ほか
「どこへ逃げようと、どこへ隠れようと、あなたと同じ種族はもう残ってはいない」
3度目の映画化。よっぽどアメリカでウケたみたい。
私の好きな眉村さんのSF小説の世界みたい。薄気味悪さが後味に残る。
エイリアンに身体も魂ものっとられるSF映画は多いけど、人々の未知なる宇宙の知的生命体のイメージは
いつもグチャグチャと湿っぽい、得体の分からない姿なのね
今回は特別、なにやら長いパスタみたいな触手で人の体内の養分を吸い取って、
DNAデータを読み取るのか、殻の中に全く同じ姿を再生するっていう寄生系。

「仲間になれば怒りも葛藤も感じない」それが本当なら結構な話だ。さっさと仲間になっちゃったほうがラクかも。
個人を尊重しすぎるあまり問題を抱えているアメリカでは、「個々よりは種族のほうが重要だ」となると
個人の意識はなくなって、死と同じなわけだから、どのみち大量虐殺と変わりない。
この考えを強制的に押しつけるのは賛成できない。
個よりも団体の連結を優先させる、感情を隠した日本人の進出も、アメリカ人にとってはエイリアンと同じに見えるのかも。
そんな潜在的不安感が作品から感じられる。

アンウォーの初々しい演技もいいけど、いつも何かにとりつかれていそうなメグの新作ということで注目。
フワフワとした彼女の雰囲気はどう見ても異生物にのっとられている感じ
でもボーっとしているフリだけで、仲間と見分けがつかなくなる異性人連中もちょっと間が抜けているところがありw


『バックドラフト』(1991)

監督:ロン・ハワード 出演:カート・ラッセル、ウィリアム・ボールドウィン ほか
偉大な監督、スタッフ、キャストが揃えば完璧な映画がうまれるという例のひとつ。
今日も夜昼となく火と戦い、自らの命を賭けて他の命を救う、
普段はあまり気にもかけない消防士さんたちだけど、こんな仕事もあるんだなあ!
『スパルタカス』並のカッコいい音楽がいやがおうにも盛り上げて、
ラストシーンのボールドウィンは煙草のCMかと思うほどニヒルにキメたアップ。
2時間たっぷり、兄弟と炎の戦士の大作ドラマを観たなって満足感が残る。

ストーリーもしかり、もっと驚くのは、生きているとしか思えない火のしたたかな動きの映像
スルスルと部屋の奥に隠れたと思ったら、いきなり背後からBOOON!!と人を吹っ飛ばす。
「火を読むんだ。火は憎しみ、だがそれを消すには愛が必要なんだ」

議員の秘書役にはジェニファー・ジェイソン・リーも出演。
カートの熱の入った演技は文句なく脱帽。自分で自分を追い込んで責任の重さに気を許せる相手が妻しかおらず、
その妻ともうまくいかない、この微妙で取り返しのつかないすれ違いがなんとも悲しい。
炎と戦い、炎にとりつかれた消防士さん。できるならずっと他人ごとであって欲しい。


『ベルエポック』(1992)
監督:フェルナンド・トルエバ 出演:ペネロペ・クルス ほか
日活系な作品だけど単なるピンク映画じゃない人生の機微さえ感じる。
スペインのおおらかさの中で繰り広げられる1人の若い脱走兵の青春と4人姉妹。
そして気のいい老父の恋愛と人情物語。
料理は上手いし、お酒は飲まない、若くてハンサムな男は、スペインのロバート・ダウニー・Jr.って感じ。
監督の自伝的要素も入っているのだろうか? 子どもが巣立っていく親の気持ちってこんななのかしら?


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