【 Photo by Kenji Oouchi 】
ライムライトを観ておこうと思った
ずっとバイブルのように
何百回も見つづけ続けた映画を
死ぬかも･･･と思った訳じゃない
最後かも･･･と思った訳でもない
助けて･･･とすがった訳でもない
ただ
今の自分ってどう？と
聞いてみたかった
あのメロディ
カルヴェロの汗
どこかであふれる涙
モノクロームの中に
いろいろな色が
現れ キラメキ どこかへ消えていく
この頃 少し
感動しなくなったボクの
今年の春が
あっという間に
色が失せ
誰かのものになった今
モノクロームの中のから
あふれ出した運命が
今日もひとり夜をむかえた
ボクによりそってくる
恋
人生
死
どうしようもない弱さ
そして不安
それでも
何かが 誰かが
そばにいてくれると
感じる日がある
今日がその日かもしれない
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【 Photo by Keiko Aoki 】
スーパーな夜
瞳が見ている
動く夜の雲を見ている
肌が感じている
揺れる心を感じている
息を吹きこむ
思いが膨らんでいく
いつもはないと不安な言葉が
この光の下ではいらない
愛することと
愛されることが満ちた時
この静けさは
母の意味を教えてくれる
スーパーな月
もうひとりの自分が見ている
つぶった瞼の奥で見ている
魂が感じている
夜空へ延びる影が震えている
息が強くなっていく
目覚めたがっている
いつもは何も問わないのに
この光の下では生きる意味を考える
今の自分と
もうひとりの自分を逢わせたい
この胸騒ぎは
父の夢を教えてくれる
スーパーな夜に
スーパーな月の下で
このからだと
このこころは
月明かりを取り込んで
少し輝く
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【 Photo by Shun Kudo 】
ケータイで
春の欠片を集めた
はじめの数枚は
春の誇らしげなポーズが
並んでて
つぎの何枚かは
重くのしかかる
みんなの期待で
花々が歪みながら笑ってて
さいごの一枚は
スクリーンで奮闘する
忘れ去られたスターのように
散ってもまだ
プライドだけはなくさない
硬い哀愁が横たわってた
どれも
華やかな春の姿だけど
どれもが
少し哀しい春の欠片
その欠片をぜんぶ集めても
ひとつだけたりないものがある
それは
ずっと満たされない「何か」
その
満たされない「何か」が
満開の櫻が感じた
自分を見つめる
観客の少なさだったら
それが今年の目次になるだろう
わたしの「何か」
あなたの「何か」
ぼくの「何か」
「何か」でいっぱいになった空は
澄んでいるのに汚れてて
その下で生きる人々は
笑顔なのにその心は澱んでる
春はもうじき終わるのに
ぼくはまだ答えを探せていない
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【 Photo by Shun Kudo 】
悪口と
愚痴と
絶望しか
出てこないから
口をふさぎ
普通の
ごく普通の
人でいるために
耳をふさぎ
ふりあげた手を
心から振りほどき
手をおろしても
消えることはない
瞳は
空を見ている
輝きを見ている
あかりを探している
花が散ったあとに
葉が出てきたら
サッと光がさしてきて
散った花が
踏みしめられ
汚れたあとに
一筋の道を描いていく
喜ばしくて涙したこと
怒りでふるえ叫んだこと
哀しくて一人になったこと
楽しくてしかたないこと
そのすべてが重なってわたしができて
そのすべてが集まって明日が生まれる
それを輝きというなら
わたしは まだ 明日を 信じる
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