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「カネよりも大切なものは無い!」に反論できるか?

2016-12-03 05:44:17 | 経済

(担当S)

 
■結論から先に言うと「できます」
 
[写真]紙切れになったマルク紙幣
 皆さんおはようございます。ブログ担当の担当Sです。
 ブログの記事を書くのに使っているMac Book Airが絶不調で、ブログの更新もままなりません。
 ブログに写真を貼り付けるだけの単純な作業が何故か上手くいかなくて、10分くらい右往左往してました。
 担当Sは個人所有でWinのノートPCも持ってるので、ブログはそっちで書こうかと検討中です。
 さて、どうでもいい私ごとほっといて、今日はズバリ「お金」をテーマに話を進めていきたいと思います。
 1~2週間くらい前に某ニ○ニコ動画を見ていた時なんですけど、画面上に表示されるニューステロップの欄に今回のブログの表題と、ほぼ同様のブログ記事が表示されていました。
 気になってブログの内容を確認すると「カネより大切なモノはない!カネより大切モノがあるなんて綺麗事だ!」みたいな事が書いてあって、ちょっとガッカリした記憶があります。
 ガッカリしたと言うのは、そのブログ主の価値観に対してじゃなくて記事自体が面白味に欠けたからです。まぁ、一種の炎上商法でしょうね。
 もちろん、こんな過激な事を書いていたら沢山の人に反論されます。この記事には非常に沢山のコメントがついていましたが、その殆どがブログ主の価値観を批判ないし攻撃するものでした。
 担当Sが覚えている範囲で、どんな反論がされていたかを書き出すと
 「自分にとってはお金よりも子供の方が大事」
 「あなたは、つまらない人生を歩んできたんですね。わかります」
 「俺にとっては趣味が一番大事。カネなんか二の次」
 「ふ~ん。君に友達がいないのは良くわかったよ」
 と、言う感じで自分にとってお金よりも大切なものを書くか、あるいはストレートにブログ主を攻撃するかのいずれかに終始していました。
 いきなり「カネより大切なもの無い!違うと思うのなら反論してみろ!」と言われて、的確な反論が出来る人は極少数だと思います。
 人は誰でも個人的に、お金より大切にしているモノを必ず持っています。それは家族だったり友人だったり恋人だったり、あるいは車や時計などのグッズ類、自分が熱中している趣味だったりと、人によって違いはありますが、何かあるはずです。
 しかし「カネより大切なもの無い!」という暴論に対して各個人が、自分がお金より大切にしているモノを紹介しても、それは有効な反論になりません。
 じゃぁ、お金より大切なモノが無いかと言うとそうじゃありません。実はお金よりも、もっと大切なものがこの世の中には存在しているのです。
 その事を詳しく説明する前に、まず上の写真をご覧ください。
 上の写真は戦前のドイツ(ワイマール政府)で撮られたものです。少女らしき人物が紙束を積み上げている様子が映ってますが、紙束の全てが当時、ドイツで流通していたパピエル・マルク紙幣です。
 「おぉ、ごっつ~大金やないかぁ~!」と思ったそこのあなた。なんだか様子が変だとは思いませんか?
 こんな大金を子供に数えさせているなんて不自然ですよね。実はこの少女が積み上げているマルク紙幣には、お金としての価値が殆どありません。
 殆ど価値がありませんと言ってもゼロではないですから、この紙幣を使って何かモノを買ったりできるのですが、当時の記録によると喫茶店でコーヒー1杯飲むのに、トランクいっぱいにギュウギュウに詰めなければいけない程の大量のマルク紙幣が必要だったそうです。しかもコーヒー1杯飲む間にコーヒーの値段が二倍に跳ね上がっていており、支払いの時に腰を抜かすほどビックリしたと言う話も残ってます。
 
■インンフレになったらお金は紙くず。コレ世界の常識
 (注意:この章はちょっと長いので、先を急いでいる方は読み飛ばしてもらって結構です)。
 戦前のドイツで一体何が起こったのでしょうか?それを理解するにはまず、インフレ(インフレーションの略)という経済現象を理解しなければなりません。これからインフレについて、順を追って説明していきたいと思います。
 突然ですが皆さんは海外に旅行に行ったことはあるでしょうか?海外と言ってもハワイとかヨーロッパとか台湾とか、そういう経済的に安定している国や地域じゃなくて、ちょっと経済的に不安定な国にです。
 経済的に不安定な国に行くと気がつくのですが、そういう国の国民は自国の通貨を全く信じていません。日本の様な経済が非常に安定している国にいるとなかなか気が付かないのですが外国、特に経済的に不安定な国ではインフレが頻繁に起こります。
 インフレとはお金の価値が目減りして、モノの値段が非常に高くなる現象の事です。
 日本でも消費税の増税なんかがあると、昔は100円で買えた缶ジュースが120円になったりする事とかがありますが、経済的に不安定な国は消費税の増税などとは関係なく、どんどん物価が上がっていきます。
 例えばテレビ一つを取っても先週は5万円くらいの売値だったのに、今、テレビの値段を見たら15万円になっていた、なんて事が当然のように起こります。
 どうしてこんな事が起こるのかと言うと、そういう経済が不安定な国の政府は、外国から借金をしている場合が多いのですけど、返済に行き詰まると自国の紙幣を刷って刷って刷りまくって何とかしようとするからです。
 国と国同士がお金の貸し借りをする場合はドルで行われる事が多いのですけど、借金の返済に行き詰まった国の政府は、国民や民間の銀行が所有しているドル紙幣を、どんな手段を使ってでも、とにかく掻き集めようとします。
 そうする為には、その国が発行している紙幣と国民や民間の銀行が所有しているドル紙幣を交換すればいいわけですけど、そういう国の政府に限ってお金をそんなに持ってません。
 じゃぁ、どうするのかと言うと、先にも少し説明しましたけれど、自国の紙幣を刷って刷って刷りまくって、その擦りまくった紙幣を使って国民や民間の銀号が所有しているドル紙幣を買い上げるわけです。
 これの何がいけないのかと言うと、その国の食料や衣類、家電や車の取引の量は増えても減ってもいないのに、いきなりお金の量だけが激増するわけですから、モノ(食料や衣類、家電や車の事です)の値打ちに対してお金の値打ちが相対的に下がってしまいます。
 お金の価値が相対的に下がってしまったら、必然的にモノの値段が上がります。これがいわゆるインフレと呼ばれている現象です。
 実際のインフレは複合的な要因が複雑に絡みあってますから、こんなに単純ではありませんし、インフレが起こる原因も一つではありません。
 ちょっと説明が分かり辛かったと思うので日本の場合に置き換えて説明すると、日本政府がアメリカに借金を返せなくなったからと言う理由で「明日から日銀の輪転機を使ってピン札を大量に発行するでぇ~!お前ら下僕どもが持っているドル札は政府が強制的に買い上げるから、そのつもりでおれよ。反抗した奴は厳罰やで。ええなぁ!」と国民に対して無茶振りしているのと何も変わりません。
 今の日本はアメリカから殆ど借金をしていないので、こう言う事態が実際に起こる可能性はほぼゼロですけど、自国の政府がお金を大量発行することが、いかに異常な事態なのかは、何となく理解してもらえたと思います。
 インフレは何処の国でも多かれ少なかれ起こってますけど、経済に打撃を与えるような悪性のインフレは99.99%、経済が不安な国で起こってます。教育水準が高く工業力も高い先進国でそう事が起こる可能性はほぼゼロです。
 しかし、先進国では起こる可能性がほぼゼロなはずの悪性インフレを経験した国がヨーロッパにあります。それが前の章で触れた戦前のドイツ(ワイマール政府)です。
 ドイツのマルク紙幣が紙くず同然になったのは、第一次世界大戦と深いつながりがあります。
 第一次大戦で連合国に負けたドイツは敗戦国になりました。ドイツは連合国から天文学的な賠償金を課せられ、その額はなんと驚くことに1320億金マルク(今の日本円で200兆円相当)でした。
 戦争で負けて国力が衰えたドイツは当然、こんな額の賠償金をすぐには払えません。しかも敗戦で植民地や(ドイツ国内の)鉄の産地も戦勝国に没収されていたので、経済がボロボロ。なんとか賠償金を払おうとはするのですが、支払いが滞ることもしばしばありました。これに怒ったフランスが、なんと軍隊を出動させてドイツ屈指の工業地帯であるルール工業地帯を占領してしまいます。
 そのお陰でドイツの工業生産能力は一気に落ちました。こうなるとモノ不足のインフレが起こります。この章の初めでは、お金の刷りすぎによるインフレを紹介しましたが、モノが不足してもインフレは起こります。
 例を挙げると、震災の時、食べるものや着るものが不足して困っている被災者の足元を見て「弁当1個5000円」なんて事をする悪徳業者が何処の国や時代にもいますけど、戦前のドイツでは、それと同様のことが国家単位で起こっていたのです。
 しかしそれだけで冒頭の写真のようなインフレは起きません。ドイツのワイマール政府は何を血迷ったのか、そんな状況下でマルク紙幣の大量発行を始めます。原因は幾つかあるようですけど結局、謎とされています。
 これで一挙にインフレに火がつきました。それがどれだけ凄かったのかと言うと、1兆マルク札と言う冗談みたいな額の紙幣を発行するまでに至ります。
 日本でも大阪の小学生とかが「100万円札で払うわ」とか冗談で言ったりしますけど、それと同じような事を当時のドイツはしていたという訳です。
 こういう事が起こるとドイツ国民の誰もが自国の通貨を信用しなくなります。
 ある人は薪を買うよりもマルク紙幣を燃やした方が安上がりだと言うことで、本当にお札を燃やして暖をとったそうです。
 またある兄弟は、兄は大酒飲みの放蕩息子で弟は実直な倹約家だったのですが、倹約家だった弟はインフレで預金の殆どを失いましたが、大酒飲みだった兄は自分が家の庭に捨てた空き瓶を掘り返して売り、実直な弟よりもいい生活をしていたそうです。
 こう言う壊滅的なインフレが起こると「カネよりも大切なモノは無い!」と言っても説得力がありません。時と場所を選んで発言しないと下手したらぶん殴られかねません。
 
■じゃぁ、お金よりも大切なモノって何なの?
 人はそれぞれ自分の中で、お金よりも大切にしているモノがあると思います。前の前の章でも述べましたけど、それは家族や友人、恋人だったり、あるいは車や時計などのグッズ類だったり、はたまた熱中している趣味だったり、人によって様々です。
 そういう価値観も大切だと担当Sは思います。
 しかし、そういう価値観とかの問題ではなくて、お金よりも大切なラスボス的な存在が実は現実の世界に存在します。それは「信用」です
 前章でお話しした(前章を読み飛ばした方は、長ったらしい文章ですが、一度読むことをお勧めします)インフレのお話しも実は「信用」の低下から発生している問題なのです。
 一万円札にどうして一万円の値打ちがあるかなんて、当たり前すぎて普通は考えないでしょうが、その一万円の値打ちは実は、日本と言う国に対する信用から生まれているのです。
 例えば担当Sが自分で紙に「一万円の担当S券」と書いて何か買おうとしても、気が触れたか頭がおかしくなったかと思われるのが関の山です。
 しかし同じ紙に日本銀行が輪転機を使って「一万円 日本銀行券」と刷ったら、それはたちどころに現実の世界でも通用する生きたお金になります。
 よくよく冷静になって考えてみれば一万円札が高額紙幣とはいえ、物理的には単なる紙切れにしか過ぎません。それに一万円の値打ちを与えているのは日本銀行に対する「信用」であり、日本銀行の親分である日本政府に対する「信用」です。
 日本の国が「あなたが今持っている一万円札は、明日も明後日も明々後日も同じ一万円の価値がありますし、それをお店に持っていけば一万円と言う範囲内でどんなモノとも交換できますよ」と言うことを保証してくれているから、一万円札は一万円札として通用するのです。
 前章でお話ししたような経済が不安定な国だと、この常識が通用しません。酷い時には、お金の価値を担保するはずの政府が「明日から一万円札は使えなくなりますよ。但し銀行預金は別。現金で一万円札を持ってる人は今すぐ最寄りの銀行に預けてね」なんて感じのお触れを、何の前触れもなく出したりします。
 こういう国ではお金の価値そのものが怪しいので、お金を手に入れたら取り敢えず何かモノに変えようとします。それは食料や衣料のような生活必需品かもしれませんし、テレビや洗濯機のような家電製品かもしれませ。
 今、自分が握っているお金に一万円の価値があったとしても明日は1000円くらいの値打ちに下がっているかもしれず、そういう事が多々あるからです。
 しかしお金の価値が下がったとしてもテレビは明日もテレビのままですし、洗濯機も同様に洗濯機のままです。
 経済が不安定な国で少しでも経済成長が始まると、爆発的な消費ブームが訪れるのはこの為です。
 そういう国に比べたら、日本はお金の価値が下がることを心配しなくていいので、恵まれていると言えるかもしれません。
 
 今回は話が少し固苦しくなってしまいました。
 次回こそはオカルトネタに挑戦したいと思います。
 担当Sでした!
 
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