SHIKIBUさんのブログ 別館

iPhoneアプリ開発者のSHIKIBUさんが、歴史・文化・オカルトその他の雑学をいろいろ呟きます

続・「カネよりも大切なものは無い!」に反論できるか?

2016-12-03 06:47:42 | 経済
(担当S)
 
■前回の結論を翻す気はありませんが…
 以前に書いたブログ、『「カネよりも大切なものは無い!」に反論できるか?』を読み返していたら、我ながら結構ツッコミどころ満載やなぁと、ちょっと冷や汗、脂汗が出てきました(反省)。
 「信用」がお金よりも大切だ、と言う結論は変わりませんが、『「カネよりも大切なものは無い!」に反論できるか?』で書いたことは、そう結論付けるには少々、説得力に欠ける部分があったと思います。
 担当Sが説得力に欠けると思うに至った最大の要因は、貴金属・宝石類について一切、言及していなかった点です。
 人類の長い歴史の間で、貴金属・宝石類は、おカネの代わりか、あるいは、おカネそのものとして使われてきました。
 通貨危機などによって現在の紙幣や硬貨が紙クズ・鉄クズ(鉄の硬貨はありませんけど…)になったとしても、貴金属・宝石類は価値が比較的、安定しているので、場合によっては、おカネの代わりに使う事もできます。
 「じゃぁ、カネより大切なものは、貴金属や宝石じゃないのか?」と言う当然、生まれる疑問に対して、前回の『「カネよりも大切なものは無い!」に反論できるか?』では、何一つ、回答を与えていませんでした。
 そこで今回は、その疑問に対して、担当Sなりに自問自答していこうかと思います。
 
 
■金(ゴールド)について

 そもそも一昔前までは「金(ゴールド)=おカネ」と言う認識や価値観が、古今東西、一般的でした。

 昔の金貨や大判・小判を見ても分かる通り、おカネを値打ちのある金属で作るのは、長い間、当然の事として行われてきました。

 金貨に次ぐ値打ちのあるおカネとして、銀貨、銅貨がありましたが、これは銀や銅そのものに値打ちがあったので、おカネとして利用していたのです。
 紙幣が一般的に流通するようになったのは、近代以降です。その紙幣も、誕生してから1972年(※この年に金本位制が廃止される)までの数百年は、「金(ゴールド)との引換券」と言う意味合いが強いものでした(※時代により「銀(シルバー)との引換券」の時期もありました)。
 例えば、明治時代の拾圓(10円)紙幣には「此券引換ニ金貨拾圓相渡可申候也」と書かれています。
 これを現代風に訳すと「この紙幣は(銀行とかに持って来てくれれば)10円金貨と引換できますよ」と言う意味になります。
 つまり、この時代のおカネについての価値観は、「金(ゴールド) > 紙幣」だったんですね。
 今でも、カナダのメイプールリーフ金貨などは法定通貨(※平たく言うと普通の通貨の事)として一応、カナダ政府から認められています。
 しかし額面(※その硬貨が何ドル硬貨かと言うこと)の最高額が50ドルと、金貨そのものの値打ちよりも遥かに低い金額に設定されているので、法定通貨として使うのは、かなり無理があります。
 金(ゴールド)は、おカネのとしての主役の座を追われてから久しいですが、一度、おカネの座から追われてしまうと、金(ゴールド)をおカネの代わりに使うのは容易ではありません。
 ここからは、少しだけ頭を柔らかくして話を聞いて欲しいのですが、例えばこの日本で、先ほど紹介したメイプールリーフ金貨を、近くの商店へ持って行って、買い物をする場合の事を考えてみて下さい。
 まず、当然といえば当然ですが、99%のお店は、全く相手にもしてくれないでしょう。
 残りの話の解る1%のお店でも、メイプールリーフ金貨で何か買い物をしようと思えば、まず、それが本物であるかどうかを証明しなければならないでしょう。
 真鍮のコインに金メッキをすれば、幾らでも偽物のメイプールリーフ金貨なんて作れますから、本物である事を証明するのは、非常に重要な事です。
 それで何とか苦労して、本物である証明ができても、今度は金(ゴールド)の今現在の価格を提示する必要があります。
 今はネットが普及していますから、すぐに今現在の価格が分かりますけども、ネットが繋がらず金(ゴールド)の価格が分からなければ、店の主人と金貨の価格について、交渉しなければなりません。
 こう言う場合、モノを売る側の人間は、必ず金貨の価格を低く提示する事が予想されますから、金貨の持ち主はそれに反論しなければなりません。
 結局、金貨の価格が、両者が納得できる価格へ落ち着くまで、買い物は成立しなでしょう。
 こんな事をしてまで買い物をするのは、ハッキリ言って非常に手間ですし苦痛です。
 メイプールリーフ金貨で何か買い物をしたければ、日本の場合、貴金属の買取を専門にする業者の所に金貨を持って行って、円紙幣へ換金するのが一番、手取り早いです。
 ここでちょっと考えて欲しいのですが、メイプールリーフ金貨を日本の円紙幣へ交換できると言う事は、結局、日本の国がしっかりしているからこそ出来る事ですよね。
 これがもし、日本が無政府状態だったら、金貨の換金そのものが行えないでしょう。
 お店で何か買おうと思ったら、金貨をお店に持って行って…となりますから、さっきの繰り返しになります。
 無政府状態に加えて、モノ不足とかが発生したりすると、紙幣よりも価値が安定しているはずのメープルリーフ金貨をおカネの代わりに使ったとしても、取引する相手から足元を見られるでしょうから、例えば喫茶店でコーヒー1杯飲むのにも、より多くの金貨を請求されるであろうことは、容易に想像できます。
 金(ゴールド)は確かに非常に価値が安定した貴金属ですし、物性的にもサビる事もなく、また酸にも強いと言う優れた特徴があります。
 しかし、金(ゴールド)が金(ゴールド)として価値があるのは、結局のところ、安定した社会基盤を背景にして価値がついていると言う側面があるのではないでしょうか?
 社会基盤が揺らぐと、さすがの金(ゴールド)と言えども、安定した価値を誇るのは難しいのではないかと思います。
 
 
■宝石について。
 言いたいことは、全て前章で言い切ったので、宝石と金(ゴールド)の違いについてだけ、述べるにとどめます。
 前章で取り上げた金(ゴールド)は、金属ですから、精錬して純度を99.99%に上げたり出来ますが、宝石の場合、鉱物の結晶ですので、そう言った事は出来ません。
 宝石の王様は何と言ってもダイヤモンドですが、元素的には石炭と全く同じ炭素でできてます。
 ですので600度の高温に晒されると、黒煙化してしまいます。
 これは何を意味するのかと言うと、ダイヤは金(ゴールド)みたいに精錬できないので、同じ重さのダイヤであっても、色や状態によって大きく価格に差が生じてしまい、純金のように1g○○○円と言う価格のつけ方が出来ないと言うことです。
 そう言う事もあって、宝石を金(ゴールド)のようなおカネ代わりに使うのは若干、難易度が高いですが、それでも経済が不安的な国では、宝石の方が自国の通貨よりも価値が安定しているので、そう言う国に住む人々は、いざと言う時に備えて貯金をはたいて宝石を購入したりします。
 経済が不安定な国に住む人たちは、金(ゴールド)のネックレスや、どう見ても身分不相応な宝石を、しかも両手に付けている人がいたりして、なんだかケバい印象がありますけど、これはファッションと言う意味合い以外にも、自国の通貨の下落に備えての、貴金属や宝石による貯蓄と言う意味合いもあります。
 
 
■まとめ
 月並みになりますが、金(ゴールド)に宝石にしても、価値を決めているのは、結局、我々ひとりひとりの価値観に他ならないと言う事です。
 金(ゴールド)や宝石を幾ら顕微鏡で覗いたところで「純金1gあたり○○○円」とか「宝石1カラット○○万円」なんて書いてあるのを見つける事は出来ません。
 そういう事を踏まえて、おカネや金(ゴールド)や宝石の経済的価値について論じれば、もっと有意義な議論ができるのではないでしょうか?
 
 
 記事の趣を以前のように戻しましたが、このような趣で記事を書くのは、恐らく今回が最後です。
 次回は、また発明について取り上げていきたいと思います。
 担当Sでした!
 
 
+++++アプリの宣伝です+++++
イメージ 3
 11月3日よりAppStoreから配信となりましたアクションパズルゲーム「バルーン クラッシュ」です。
 ゲームのジャンル的には落ちものゲーム(いわゆる、落ちげー)になります。
 他の落ちものゲームと同様、ルールは単純ですが意外にハマります。
 興味のある方は下記のリンクからどうぞ。
 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿