この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

ミステリーとしては脆弱であるが映画としてはそれなりに面白い『記憶探偵と鍵のかかった少女』。

2014-10-02 20:16:35 | 新作映画
 ホルヘ・ドラド監督、マーク・ストロング主演、『記憶探偵と鍵のかかった少女』、9/27、ユナイテッドシネマキャナルシティ13にて鑑賞。2014年36本目。


 予告編を見て結構面白そうだなと思ったので、この映画の前売り券は比較的に早目に買いました。
 けれど、その後に発売されたテレビブロスの映画レビューで同じ日に公開される『ジャージー・ボーイズ』が尋常じゃなく絶賛されていたので、「うわっ、失敗した!『ジャージー・ボーイズ』の前売り券を買えばよかった!」と後悔しました。
 実際観に行っての感想ですが、『記憶探偵と鍵のかかった少女』、それなりに面白かったです。

 本作は記憶探偵であるジョン・ワシントンが主人公の超常的ミステリーです。
 記憶探偵という言葉自体は耳慣れないですが、人の記憶を直接的に探るというだけなら(作品によって記憶ではなく、夢だったり、精神世界だったりするわけですが、実質大差はない)、小説では京極夏彦の百鬼夜行シリーズに出てくる榎木津礼次郎や夢枕獏の魔獣狩りシリーズのサイコダイバー、映画では『ザ・セル』や『トランス』、あとは『インセプション』など、アイディアそのものは目新しいものではないと思います。

 それなりに面白かった、と書きましたが、本作を純粋にミステリーとして評価するとなるとかなり辛い点をつけなければなりません。
 ミステリーというものは「理」によって支配されていなければならないと自分は考えますが、本作の「理」はかなり脆弱な部分があるんですよね。
 また、終盤に明かされるミステリーとしての大仕掛けも上手く決まっているとは言い難いと思います。一言で言えばありがち。

 ただ、ミステリーとしてではなく、映画としてはそれなりに楽しめるものになっています。
 主役を演じた二人がいい。
 マーク・ストロングは『キック・アス』などの悪役でお馴染みの強面の俳優ですが、その強面の彼が精神面に弱さを抱えるジョン・ワシントンを上手く演じていました。
 ジョンを終始翻弄する「鍵のかかった少女」ことアナを演じたタイッサ・ファーミガも映画初主演とは思えない演技巧者ぶりでした。彼女は大成するのでは、とこの映画を観る限りでは思います。 
 本作は心に傷を抱えた中年男と心を閉ざした少女との歪なラブストーリーとして鑑賞するのがベストではないでしょうか。


 お気に入り度は★★★☆、お薦め度は★★★(★は五つで満点、☆は★の半分)。
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