この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

ミスト。

2008-05-10 23:59:36 | 新作映画
 原作スティーブン・キング、監督フランク・ダラボン、『ミスト』、5/10、Tジョイ久留米にて鑑賞。2008年22本目。

 自分のマイ・フェイバリット・ムービーは『ミスト』と原作者、監督が同じ『ショーシャンクの空に』です。
 もう何度見返したかもわかりません。
 原作の小説も持っているし、映画のパンフレットも持っている、もちろんDVD(廉価版ですが)も、さらには対訳本まで持っています。劇場公開時に観に行かなかったことが悔やまれます。
 『ショーシャンク~』がフェイバリット・ムービーだという人は自分以外にもかなり多く、『みんなのシネマレビュー』など多くのレビューサイトで非常に高い評価を受けていますし、ミクシィのコミュニティも参加者が一万人を超えています。
 『ショーシャンク~』がそれほど多くの人に愛される傑作となりえた功績は、原作者のスティーブン・キングよりもむしろ監督のフランク・ダラボンの手腕に負うところが大きいと自分は思っています。
 ぶっちゃけていってしまうと原作である『刑務所の中のリタ・ヘイワース』はそれなりによく出来た感動ものの佳作でしかないんですよね。
 原作と映画の差異はいくつかありますが、もっとも大きなものの一つに主人公アンディの刑期(?)の違いが挙げられます。原作が二十七年であるのに対し、映画では十九年と若干短くなっています。
 この刑期の違いは何故あるのか?何ゆえダラボンは改変したのか?
 理由はごく単純で、それは刑務所長のノートンの存在のためです。
 原作ではアンディが入所している間何人も刑務所長が代替わりしていて、ノートンはアンディ脱獄時の刑務所長ではあり、アンディに一杯食わされる役目も担ってますが、原作ほどの卑劣漢ではありません(その分印象も薄い)。
 物語の中で刑務所長は一番の敵役なので、当然一人の人間がそれに当たる方が見ている側としても作品世界にのめり込みやすいのは言うまでもありません。
 しかし、一人の人間がいつまでも同じ刑務所の所長であり続けるということは現実にはありえません。
 では、どれぐらいまでならそれがありえるのか?
 その疑問へのダラボンなりの答えが十九年だったのではないかと思われます。
 このように、映画『ショーシャンク~』では原作からの改変の一つ一つに極めて合理的な理由があるのです。
 本当にダラボンはいい仕事をしたと思います。
 
 さて、『ショーシャンク~』のテーマは何でしょうか?
 そう難しく考えることはなく、単純に「どんな時であっても希望を捨ててはならない」ということではないでしょうか?
 実はこれは映画『ミスト』にも通じるものなのです。
 ただし、『ショーシャンク~』においてアンディが最後の最後まで希望を捨てなかったのに比べ、『ミスト』の主人公であるディヴィッドは最後の最後で希望を捨ててしまいます。
 映画『ミスト』でもフランク・ダラボンはいい仕事をしました。
 一本の映画として『ミスト』は完璧だと思います。
 しかし、だからこそ陰鬱な結末に観るものの気分は鬱に陥ること必至です。
 こういった作品を否定はしませんが、個人的にはどうしても苦手なので、ダラボンには次作は感動系の映画を作って欲しいですね、、、といっても感動系の映画では『ショーシャンク~』を越えることはないでしょうから、この先自分にはダラボンは無縁なのかもしれません。 

 お気に入り度は★、お薦め度は★★☆(★は五つで満点、☆は★の半分)ですが、作品の完成度でいえば★★★★☆を与えてもいいと思います。

 次回鑑賞は未定、、、だけどいい加減『相棒』を観に行かなくっちゃなぁ・・・。

 追記:ざっと本作をレビューしたブログを見回った感じでは、ラストシーンのあることにどうも気づいていない人も多いようなので・・・。以下ネタバレ。
 自分の子供も含め同乗者四人を殺し、自らは怪物に殺されるべく車の外に出たディヴィッド。彼が目にしたのは怪物の姿ではなく、戦車と民間人を乗せたトラックだった。そのトラックの荷台には他でもない、我が子を救うために、一番最初にたった一人でスーパーマーケットから出て行った女性がいた・・・。
 このことに気づくかどうかで作品への印象も結構変わってくると思います。
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12 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (デヴォン山岡)
2008-05-11 22:48:10
もう観たんですか!
早いですね!
『ミスト』は原作が大好きなので、映画が楽しみです。
ダラボン監督も大好きなんで、これは間違いないかなと。

キング原作の映画では『ドリームキャッチャー』が一番好きです!
返信する
あれ? (dim)
2008-05-12 18:34:22
せぷっち!
風邪ひいているんじゃなかったの~~~???
観にいっちゃったの~~~???

ワタシもこれは観たいと思っているんですけど・・・「ドリームキャッチャー」は自分はちょっとダメでした。
でもTVドラマの「ローズレッド」は大好きですよ。
これはどうだろう?
せぷっちの得点が高いので期待したいですわ。
ちなみにワタシは試写会も含めて30本ですけど、せぷっちは???
うわ~~聞くのが怖い!←じゃ聞くな!!
返信する
Unknown (shit_head)
2008-05-12 20:28:47
「ドリームキャッチャー」はカスダン監督にとったら、きっと「失敗作」なんだろうけど、間違いなく面白いですよね。

モーガン・フリーマンがメッチャ狂っていてスゴかった。
あんな狂ったモガマン観たの初めて。

主役でもないのに目立ちまくって、主役と思われた四人の存在感を完全に消し去りましたからね。

モガマンはとんでもないです。

ケツの穴破って出てくるナマズみたいなエイリアンが恐ろしかったですね。
ケツの穴ですよ。
アナルですよ。
痛い痛い。

怪獣映画みたいな宇宙人バトルも迫力満点でした。

オチも痛快でした。
踏んづけてニヤリ!ってね。
返信する
コメント、感謝です。 (せぷ)
2008-05-12 21:26:10
デヴォン山岡さん、dimさん、shit_headさん、コメント、感謝です。

>デヴォン山岡さん
デヴォンさんはスティーブン・キングファンでしたね。
だとしたら『ミスト』は必見だと思いますよ。
好き嫌いは分かれると思いますが、超絶的な傑作であることは間違いありません。

ちなみに『ドリーム・キャッチャー』は映画の神様から「みてはいかぁあああああん!!!」と言われたので未見なのですが、映画の神様に逆らってでも見た方がいいですかね?笑。

>dimさん
えぇ、風邪引いているにも関わらず観に行って、おかげで日曜は一日伏せってましたよ。笑。

『ドリーム・キャッチャー』、ダメでしたか。笑。
自分も映画の神様に見るのを止められています。基本的にこの神様には逆らわないようにしてるんですけどね。。。

『ミスト』はどうでしょう?傑作であるのは間違いないところですが、それこそ人を選ぶ作品なので、、、dimさんに薦められるかどうかは判断がつきかねるところです。

今年になってもう30本!!
自分はまだ22本ですよ(本文にも記述済みですが。。。)。
五月の時点で8本差って、、、い、いかん、このままだと一年終わった時点で10本差がついたら負けた方が勝った方の奴隷になるっていう約束、自分がdimさんの奴隷になってしまうじゃないですか!!(そんな約束、いつした・・・)
まぁdimさんの奴隷にならなってもいいかも♪(おぃ。。。)

>shit_headさん
shit_headさんも『ドリーム・キャッチャー』が大好きみたいですね。
どうしようかなぁ、騙されたと思って騙されてみようかな?
個人的にはドリーム・キャッチャーよりUFOキャッチャーの方が好きなんですけどね。笑。
返信する
Unknown (shit_head)
2008-05-12 21:58:04
たまには映画の神様に逆らってみましょうよ!!
返信する
了解です。 (せぷ)
2008-05-12 23:34:45
わかりました、今度の週末は『ドリーム・キャッチャー』を鑑賞することにしましょう。
でもレビューは手加減しませんよ。笑。
返信する
ほんとだ (dim)
2008-05-13 10:22:45
おはにょーございます。

>自分はまだ22本ですよ(本文にも記述済みですが。。。)。

あ!本当だ!一番上に書いてあるではないの!!!
ちゃんと読んでいたつもりだったのに、読んでなかったということね。
こんなワタシを許してね♪

え?ワタシの奴隷になってもいいの?
shitちゃんもワタシの奴隷にならなってもいいっていうし(言ってねーよ)、もてるオンナはツライわね(ツラクないし~)。

でもこの映画・・・実はどこぞでネタバレしていたので、大体わかっちょるのよ。
それでもワタシは観に行きます~~~。
今日か明日あたりの予定です。
返信する
Unknown (デヴォン山岡)
2008-05-13 12:40:54
『ミスト』観ましたー。
凄かったです!
もう感動の嵐でした。
俺って本当に悲惨な映画が好きなんだと思います。
人間の愚かな行為を見るのが好きなんですね。

つーか、せぷ殿の「映画の神様」は信用できない神だと思います!
今すぐサタニストに鞍替えしてください!

注)shit殿は生まれながらのオーメンです。
返信する
コメント、感謝です。 (せぷ)
2008-05-13 22:23:40
dimさん、デヴォン山岡さん、コメント、感謝です。

>dimさん
dimさん、こんばんにょろろろぴ。
>あ!本当だ!一番上に書いてあるではないの!!!
そうですよ!!
dimさんが自分の記事をまともに読んでいないことがわかって、どれだけ悲しかったか・・・。
夕日に向かって「馬鹿やろー!!」って叫ぼうかと思いましたもん(夕日が沈んでいたので止めましたけど。笑。)。

そうですか、shit_headさんもdimさんの奴隷希望ですか~。いっそ左右に二人はべらすっていうのはどうですか。
こう見えても扇で仰ぐのは得意ですよ(そんなことが得意でもな。。。)。

dimさんも『ミスト』、観に行くのですね~。
dimさんは『クローバー・フィールド』をご覧になってないようだから、『ミスト』もスルーされるのかと思ってました。
レビュー記事、楽しみにしてますよ!!
と記事の執筆を強制したりして。笑。

>デヴォン山岡さん
デヴォンさんが『ミスト』を気に入るだろうなぁっていうのは確信していましたよ。笑。
っていうか、デヴォンさんが気に入らなければ誰が気に入るって話ですよね。

>今すぐサタニストに鞍替えしてください!
いや、自分の神様はすでに黒い尻尾と黒い翼が生えてますので。笑。

>注)shit殿は生まれながらのオーメンです。
はい、知ってます。笑。
返信する
あれ? (小夏)
2009-06-03 19:43:24
これって一年も前の作品だったんですね。
ようやっと見たので後ほどTBします。まずはコメントを。

えー、正直自分はダメでした。
どんな駄作でも、とりあえずいいところを一つ見つけて受け入れる広~い心の持ち主と自負していたんですが、これはダメだー。
でも、あそこまで徹底して「救い」を排除できるダラボンってある意味凄いっす。自分は受け付けなかったけど。
返信する

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