三谷幸喜監督、深津絵里主演、『ステキな金縛り』、10/29、TOHOシネマズトリアス久山にて鑑賞。2011年38本目。
初めに断わっておきますが、自分は三谷幸喜の(それなりに)熱心なファンです。
これまで公開された監督作は全作劇場で鑑賞してるのはもちろんのこと、著作もほとんど持っていますし(戯曲集と小説の『経費では落ちない戦争』は持ってない)、連続ドラマも『今夜、宇宙の片隅で』以外は見ています(『今夜~』は主役の石橋貴明と飯島直子が嫌いなので…。)。
そんな三谷ファンなので、めちゃめちゃ心苦しいんですが、思い切って言っちゃうと『ステキな金縛り』、かなりツライものがあります。
本作は幽霊に裁判で証言させるという「そんなんありえんやろ!!」と言いたくなる大嘘が根幹にある映画です。
根幹が大嘘だからこそ、細かい枝葉にはリアリティを持たせて欲しかったですね。
例えば、冒頭で行われる裁判に、深津絵里扮するヒロインのエミは遅刻してしまいます。
でもエミには同棲している恋人がいて、彼はフンフンと鼻歌を歌いながらのん気に朝食を作ってるんです。
彼が、エミにとって裁判がどれぐらい重要なのか、また裁判にエミが遅れることでどれぐらい周りの人に迷惑をかけるのか、知らないはずはないから、エミを起こさずにのん気に朝食を作っている、というのは明らかにおかしい。
他にも(エミが担当する)殺人事件の容疑者が泊まった旅館のおかみが、見回りの際、たまたま男が部屋にいなかったことを見ているという設定なのですが、戸田恵子扮するおかみが夜中に見回りをするとはとても思えません。
挙げていけば切りがないですが、何より幽霊が見えるようになる三条件の一つが「シナモンが好き」っていうのは、、、ちょっと苦しすぎるように思えます。
本作は言うまでもなくコメディなのですが、(個人的にですが)笑えるシーンも少なかったです。
本作で一番笑えるネタはタクシーの運転手に扮する生瀬勝久の髪型がまんま落ち武者のそれだった、だと思いますが、雨に濡れたわけでもないのに普段から落ち武者みたいな髪型にしている人はいませんよね。
まして生瀬勝久の髪型は『トリック』で散々ネタにされてますから、今さらって感じです。
エミが遅刻した裁判で、彼女が唐突にバナナを持ち出すのも笑えませんでした。あれは元ネタを知っていてこそ笑えると思うんだけど、映画を観に行った人の中でどれぐらいの人が元ネタを知ってるんだろう?
あと、作中唐突に登場人物の一人が亡くなるんですよ。
本作ではそれをギャグとして扱ってるんですよね。あ、亡くなっちゃった、みたいな感じで。ヒロインのエミも当然まったく悲しがっている様子はない。
いくら幽霊を題材にした映画であってもこれはちょっといただけません。
ゾンビが出てくるホラーコメディでばったばったと人が死ぬのとはわけが違いますから。
三谷幸喜の映画は『THE有頂天ホテル』までは一作ごとに進歩が見られて、特に『THE有頂天ホテル』では、よくこれだけ多くの人間を登場させ、そして一人一人に見せ場を作れるものだと感心したんですけど、続く『ザ・マジックアワー』で、あれ?と思って、そして本作ではほとんど笑えなかったなぁ。
ラストの、とってつけたような○○との再会シーンも、正直、これで感動しろといわれても無理!!としかいいようのないものでしたしね。
まぁ同日観に行った『ミッション:8ミニッツ』が傑作であったために、余計に評価が低くなってしまうのかもしれません。
でも、だからといって自分が三谷幸喜のファンを止めるつもりはまったくないですけどね。
お気に入り度は★★、お薦め度は★★☆(★は五つで満点、☆は★の半分)です。
初めに断わっておきますが、自分は三谷幸喜の(それなりに)熱心なファンです。
これまで公開された監督作は全作劇場で鑑賞してるのはもちろんのこと、著作もほとんど持っていますし(戯曲集と小説の『経費では落ちない戦争』は持ってない)、連続ドラマも『今夜、宇宙の片隅で』以外は見ています(『今夜~』は主役の石橋貴明と飯島直子が嫌いなので…。)。
そんな三谷ファンなので、めちゃめちゃ心苦しいんですが、思い切って言っちゃうと『ステキな金縛り』、かなりツライものがあります。
本作は幽霊に裁判で証言させるという「そんなんありえんやろ!!」と言いたくなる大嘘が根幹にある映画です。
根幹が大嘘だからこそ、細かい枝葉にはリアリティを持たせて欲しかったですね。
例えば、冒頭で行われる裁判に、深津絵里扮するヒロインのエミは遅刻してしまいます。
でもエミには同棲している恋人がいて、彼はフンフンと鼻歌を歌いながらのん気に朝食を作ってるんです。
彼が、エミにとって裁判がどれぐらい重要なのか、また裁判にエミが遅れることでどれぐらい周りの人に迷惑をかけるのか、知らないはずはないから、エミを起こさずにのん気に朝食を作っている、というのは明らかにおかしい。
他にも(エミが担当する)殺人事件の容疑者が泊まった旅館のおかみが、見回りの際、たまたま男が部屋にいなかったことを見ているという設定なのですが、戸田恵子扮するおかみが夜中に見回りをするとはとても思えません。
挙げていけば切りがないですが、何より幽霊が見えるようになる三条件の一つが「シナモンが好き」っていうのは、、、ちょっと苦しすぎるように思えます。
本作は言うまでもなくコメディなのですが、(個人的にですが)笑えるシーンも少なかったです。
本作で一番笑えるネタはタクシーの運転手に扮する生瀬勝久の髪型がまんま落ち武者のそれだった、だと思いますが、雨に濡れたわけでもないのに普段から落ち武者みたいな髪型にしている人はいませんよね。
まして生瀬勝久の髪型は『トリック』で散々ネタにされてますから、今さらって感じです。
エミが遅刻した裁判で、彼女が唐突にバナナを持ち出すのも笑えませんでした。あれは元ネタを知っていてこそ笑えると思うんだけど、映画を観に行った人の中でどれぐらいの人が元ネタを知ってるんだろう?
あと、作中唐突に登場人物の一人が亡くなるんですよ。
本作ではそれをギャグとして扱ってるんですよね。あ、亡くなっちゃった、みたいな感じで。ヒロインのエミも当然まったく悲しがっている様子はない。
いくら幽霊を題材にした映画であってもこれはちょっといただけません。
ゾンビが出てくるホラーコメディでばったばったと人が死ぬのとはわけが違いますから。
三谷幸喜の映画は『THE有頂天ホテル』までは一作ごとに進歩が見られて、特に『THE有頂天ホテル』では、よくこれだけ多くの人間を登場させ、そして一人一人に見せ場を作れるものだと感心したんですけど、続く『ザ・マジックアワー』で、あれ?と思って、そして本作ではほとんど笑えなかったなぁ。
ラストの、とってつけたような○○との再会シーンも、正直、これで感動しろといわれても無理!!としかいいようのないものでしたしね。
まぁ同日観に行った『ミッション:8ミニッツ』が傑作であったために、余計に評価が低くなってしまうのかもしれません。
でも、だからといって自分が三谷幸喜のファンを止めるつもりはまったくないですけどね。
お気に入り度は★★、お薦め度は★★☆(★は五つで満点、☆は★の半分)です。
西田敏行さんや深津絵里さんの光る演技より、細かい矛盾が感想として残っておられるのは悲しいかぎりですね。
あまり他人や娯楽に完璧を求められるのは、自分が完璧である場合を除いては人生を楽しむにおいて得策ではないように思いました。
私は大いに笑って大いに泣くチャンスを思う存分楽しんできました。
例えば、阿部寛扮するエミの上司が亡くなって、エミがそれを悲しむ素振りを一切見せないことをおかしいと思うのも、やっぱり重箱の隅だと思われます?
人が亡くなって一切悲しまないというのであれば、亡くなった父親と再会したとしても、別段それで感動する必要がないのではありませんか?
自分が言ってることは筋が通っていませんか?
自分は何も深津絵里や西田敏行の演技が悪い、といってるのではありませんよ。
役者はそれぞれベストを尽くしていたと思います。
ただ、これまで長く三谷作品を見ていて、ここまで細部がテキトーな作品はなかったなぁと思ったので、あえて苦言を呈したまでです。
>私は大いに笑って大いに泣くチャンスを思う存分楽しんできました。
苦笑さんが大いに笑って大いに泣くチャンスを求めているのであれば、そうですね、ロバート・ダウニーjr主演の『愛が微笑む時』などは如何でしょうか。
あの作品も死者との邂逅をテーマにした作品ですよ。
法廷シーンはないですけどね。
振り返ったら死後の阿部ちゃんがいるんですから笑。
あのときのエミの態度はこの異常な設定にとても寄り添っていると思います。
(個人的に家族の死と上司の死と気持ちの上で同等に扱うのは少し違うと思うのですが、)人が死んだらどうして悲しいんでしょうか…?
タイムリーだと思われるかもしれませんが、実は私は先月に父を亡くしました。それはそれはとても悲しかったですよ。何が悲しいのかと考えるとまず何よりもう会えなくなること・触れることができなくなること、それから聞きたいことがたくさんあるのにもう聞くすべのないこと。ちゃんとさよならが言えなかったこと。。
でももし私がエミのようにそれができる状況にあったならば、直後に嘆き悲しむことはしなかったと思います。もちろん見えなくなった後でじわじわと寂しさやぽっかり大きな穴が空いた感覚は残ると思いますけどね。
でも死後の世界があってどこかで必ず見守ってくれているという確信が持てたならずっと心の整理はつけやすいでしょう。人の死というのはそういうものであったほうが受け入れやすく遺族は救われるものなのです。
現にエミも父親と笛を通じて話ができたときも泣いて感動!!していたわけではなく、ただ聞きたかった答えを聞けて納得できたという晴れ晴れとした表情でした。今の私にはとてもよく分かります。
三谷監督は最後に大きな感動を求めていたわけではないように感じます。
私も最後で泣きはしませんでした。ただほっと暖かい気持ちになっただけです。
(私が泣いたのはエミと六兵衛が公園でお父さんのことや自信を持ちなさいと話すシーンですね。)
映画を批判するもそこから何かを得るも観る物次第です。
せぷさんがもし近いご家族を亡くされたことがあればその時の気持ちと照らし合わせてみてください。もし皆さんがお元気ならばいつか必ず来るその時に少し思いをめぐらせてみてください。
失礼しました。
この映画の設定も、役者陣の演技も私とっては
納得のいくものでした。
ただ、仰るように「三谷」作品にしては
チョット・・・・と思わなくも無いのです。
確かに大いに笑える部分もあるし、落ち武者の幽霊を法廷に連れて来る辺りまでは
私は退屈はしませんでした。
しかし、やはり過去の三谷の作品と比べると
どうしても「粗さ」が気になってしまいました。ちょっと無駄なシーンもあったような気も
するし、仰るように阿倍ちゃんが亡くなった
時の描き方も少し不満でした。
でも私もそれでも三谷幸喜は大好きです。
レスが遅くなって申し訳ありません。
ここ二、三日、バタバタしてました。
>苦笑さん
>振り返ったら死後の阿部ちゃんがいるんですから笑。
振り返って、幽霊である阿部ちゃんの姿を確認した後のエミの態度には問題ないんですよ。
問題は、阿部ちゃんが亡くなり、エミが幽霊になった彼の姿を確認するまでの、その間です。
時間にすれば五秒もなかったでしょう、けれどそのわずかな間、エミはあっけらかんとしてるというか、飄々としているというか、自分には彼女が悲しんでいるようにはまったく見えませんでした。
父親がいないエミにとって、家族同然といっていい上司が亡くなったのですから、大声で泣きわめくなり、呆然とするなり、何かしら“悲しみ”が見て取れて当然だと自分は思います。
しかし、このときのエミにはそういった感情は一切見て取れません。
まるでこの後、阿部ちゃんが幽霊になって復活することをあらかじめ知っているかのような態度です。
自分にはそれが不自然に思えてなりませんでした。
苦笑さんは先月お父さんを亡くされたばかりなのですね。
ご愁傷様です。
自分も父親が亡くなった直後に、ティム・バートン監督の『ビッグ・フィッシュ』という作品を観てボロ泣きしましたよ。
主人公と父親の不器用な関係が、自分と父親のそれを思い起こさせて…。
もしよければ、こちらもご覧になってみてください。
ところで、、、この先拙ブログにコメントをするかどうかは、もちろん苦笑さん次第なのですが、もしコメントをする際は「苦笑」というHNを変更してはもらえないでしょうか。
自分からそう呼びかけておいてなんですが、やっぱり「苦笑」というHNは呼びにくいので。
勝手を言って申し訳ありません。
よろしくお願いします。
>翡翠さん
初めまして、翡翠さん!
インターネットの辺境にあるブログにようこそ♪
自分も翡翠さんと同様、役者の演技には何も文句はないのです。
特に中井貴一の熱演は反則と言っていいですよね。笑。
しかし、作品自体は正直、あまり褒められた出来ではないと思います。
一言でいえば翡翠さんの仰る通り、「粗い」んですよね。
三谷作品といえばシチュエーションコメディであり、小さな笑いの積み重ねによって出来てると思うんです。
だから、こうもツッコミどころが多いと、不満に思うのです。
でももちろん、翡翠さん同様、この作品に不満を覚えたからといって、三谷幸喜を嫌いになったりはしません。
ちなみに自分が一番好きな三谷作品は映画でもテレビドラマでもなく、小説の『大根性』です。
この小説を読んで一生三谷幸喜についていこうと思いました。
もし未読であれば是非お読みください。
超爆笑しますよ!