この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

【シェルター】、サイコサスペンスと思わせて・・・。

2010-03-28 13:33:38 | 新作映画
 ジュリアン・ムーア主演、【シェルター】、3/27、Tジョイ久留米にて鑑賞。2010年13本目。

 精神異常者を題材とした、『羊たちの沈黙』に代表されるサイコサスペンスは、自分でもショートショートを一本書いているぐらい(こちら)好きです。
 ただし、好きとは言っても、実際に鑑賞して満足することは稀ですけどね。
 結局のところ、サイコサスペンスって精神異常者なんだから何でもありでいいじゃん!みたいな甘えが作り手にあると思うのです。
 どう考えても犯行動機に無理があるだろうってときも、精神異常者なんだから許される、みたいな。
 私見ですけど、精神異常者って行動規範が一般とは異なるだけであって、行動規範そのものがないわけではないと思います。
 少なくともエンターティメントであることが前提のサイコサスペンスではそうじゃないと観る者は納得しないはずです。

 そういったわけで、解離性同一性障害、いわゆる多重人格を取り扱った本作もそこまで期待して観に行ったわけではありませんでした。
 しかし、予想以上に楽しめましたね。
 ただし、本作はサイコサスペンスではありませんでした。ネタバレになりますが、ジャンルで言えば、オカルトホラーの類いでした。

 とにかくもう怖かったです。
 一つ一つの演出、小道具、ヴィジュアル、すべてが怖い。
 特にオチが、考えうる限り最恐、最悪のオチでした。
 久しぶりに、うわ、救われねぇな~と思いました。

 ただ、残念ながら傑作とまでは思わなかったかな。
 理由は、結局“牧師”が何をしたかったのか、わからなかったから。
 復讐なのか、信念なのか、趣味なのか、それともただ狂っていただけなのか、その行動規範がわからないと根源的な恐怖とは成り得ないんですよね。
 理解の範疇からあまりに外れるものは恐怖の対象とはならないので。
 そこまできちんと作品の中で触れられていたら、本作はオカルトホラーの歴史に残る傑作に成り得たかもしれなかったのですが、残念です。

 お気に入り度は★★★★、お薦め度は★★☆(★は五つで満点、☆は★の半分)です。
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