この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

つぐない。

2008-04-19 23:59:42 | 新作映画
 ジョー・ライト監督、キーラ・ナイトレイ主演、『つぐない』、4/19、KBCシネマにて鑑賞。2008年20本目。

 本作のような文芸大作は本来不得手なんですが、お袋がどうしても観たい!というので付き合いで観に行ってきました。
 まぁこれぐらいのことで普段放棄している親孝行になれば安いものです(ならない?)。
 以下ネタバレあり。
 去年公開された邦画の中で一番のお気に入りは中村義洋監督の『アヒルと鴨のコインロッカー』でした。
 あるブロガーの友人に薦めたところ、その人は既に鑑賞済みで、『アヒル~』はワーストに近い作品だったといわれました。
 その理由の一つが「回想シーンが実は・・・というトリックは、映画の現実性に対する裏切りだと思うのでちょっと許せないものがありました。」というものなのですが、自分はそれはどうなのだろう?と思いました。『アヒル~』における回想シーンはそれとわかるようにセピア色に色調を変えていましたし、そもそも回想シーンをトリックに使うこと自体そんなに堅苦しく思わなくていいんじゃないかと思うのです。
 本作を鑑賞して、『アヒル~』の回想シーンを許せなかった件の友人がどう思うのだろうか、是非知りたいものだと自分は思いました。
 何しろこの作品、ラスト五分を除いて、すべて回想シーンなのですから(正確には回想シーンですらない。)、『アヒル~』など比べ物にならぬくらいの現実性への裏切りといえるのではないでしょうか。
 しかし自分はこういう設定、こういう表現形態もありだと思います。映画はそんな堅苦しいもんじゃないとも思います。だいたい現実と虚構の境界線なんて曖昧もいいところですしね。
 まぁ、回想シーン云々はさておき、本作の感想はというとやっぱり救いのないお話は好きになれないですね。ほんとにこの映画、救いがないんですよ。鑑賞後、気分がどんよりすること請け合いです。
 でもだからといって人に薦められない作品かというとそうでなく、本作は自分が2008年に観る映画の中でもおそらく一、二位を争うほど完成度の高い作品だと思います。

 脚本、キャスト、演技、演出、美術、音楽、およそ映画が映画として成り立つために必要な要素がほとんどすべてパーフェクトだったと思います。映画通はもちろんのこと、あまり映画を観ないという人にも薦めたい作品です。

 お気に入り度は★★★、お薦め度は★★★★☆(★は五つで満点、☆は★の半分)です。

 次回鑑賞は未定。GWに『ノーカントリー』でも観に行こうかなぁ。
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4 コメント

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これは・・・ (dim)
2008-04-20 01:59:19
痛い映画でしたね。

とにかくロビーがかわいそうすぎる・・・。
愛する者と引き裂かれ、犯罪者にさせられただけでも可哀想なのに、中盤で「あ、この後は幸せになれたのかな?」と思ったら最後にあんなオチが待っているし。

ブライオニーはあの手紙を見て、そしてあの図書室での二人を見て、嫉妬と嫌悪感を抱いたと思っていたのだけれど、プログラムを読んだら、嫌悪と恐怖って書いてあった。
ワタシは観ている間中、ブライオニーは嫉妬もあって、ロビーを陥れるためにウソをついていたとずっと思っていたのよ。この女許せん!とずっと思っていた。
でも嫌悪と恐怖だってわかっていたら、この物語に対する思いもちょっとは変わっていたのかなあ。ブライオニーを許す気になれたかなあ。

まあどちらにしても許されるべきではないことをブライオニーはしてしまったわけで、ずっと苦しみ続けたんでしょうねえ。
ちょっとのウソが人の運命を狂わせ、とんでもない悲劇をまねいてしまう・・・。
やっぱりウソはいけませんね。
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確かに。 (せぷ)
2008-04-20 10:24:55
確かに『つぐない』、痛い映画でしたねぇ。
ロビーの不遇ぶりはまるで自分の人生を見ているかのようでした(おぃ)。

ブライオニーが嫉妬ゆえに嘘をついたのか、それとも恐怖によって幻を見てしまったのかは、見ている側の判断に委ねられると思います。
またもう一人の少女が本当に強姦され(そうになっ)たのか、合意の上の行いであったにも関わらずブライオニーに現場を見つかって、その気まずさゆえに嘘をついたのか、それも同様です。
dimさんが嫉妬と嫌悪感によってブライオニーが嘘をついたと思うのであればそれが真実なんですよ。

このお話の中では一人の少女の嘘によって悲劇が起きるのですが、人生においては往々にして真実を告げることによって悲劇が起こりうることもあると思います。
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Unknown (デヴォン山岡)
2008-04-21 13:47:37
面白そうですね。
せぷ殿のレビューはいいなぁ。
文章読みやすくて、映画キッチリ観てますよね。
うちのゴミスタッフに、参考にさせます。

あと『ヒットマン』観ました。
ローデッドブログにレビュー書きましたが、最高でしたね。
面白すぎて、意味わかんなかったです。
『つぐない』も観まーす。
ちなみに『SAW4』はまだ観てないです。
一生観ないことに決定。
返信する
またまた~。 (せぷ)
2008-04-21 20:45:16
>せぷ殿のレビューはいいなぁ。
またまた~、褒めても何もあげませんよ?
仕方ないなぁ、かっぱえびせんでいいですか?(せこいな!!)

『ヒットマン』、わけわかんなかったけど、面白かったでしょう?
駅構内の列車の中での戦い、本来主人公と組織の殺し屋の一対三のはずなのに、なぜか一対一対一対一でしたからねぇ。さらに四人とも申し合わせたように二本ずつ短刀を持ってるし。
本当に、なんでやねん!!とツッコミたくなりますが、だからこその面白さといえるわけで。

『つぐない』は恐ろしいほど完璧な映画でしたよ。
でも鑑賞後どんよりすること間違いないですけれど。

あれ?『SAW4』は見ないのですか?『SAW3』までは見られたのでしょうか?
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