この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

ベンジャミン・バトン/数奇な人生。

2009-02-07 23:59:55 | 新作映画
 デビッド・フィンチャー監督、ブラット・ピット主演、『ベンジャミン・バトン/数奇な人生』、2/7、Tジョイ久留米にて鑑賞。2009年8本目。

 何とも不思議な映画でした。
 まず、二時間四十七分というそれなりの長尺でありながら、その長さを微塵も感じさせないのです。せいぜい三十分程度の短編映画を観た時のような感覚?
 それはつまり、フィンチャーの演出の手堅さを物語っているのだと思いますが、考えてみれば本作のような演出の手堅さが何より要求される作品の監督がフィンチャーであることも不思議な話です。
 実際本作はスティーブン・スピルバーグとトム・クルーズのコンビで企画が進められていたそうで、本当にそれで製作されていたらどうなっていたでしょうね?
 おそらく、これほど深みのある作品にはなっていなかっただろう、そう思えます。
 
 ごくごくシンプルなストーリーにも関わらず、本作は観たものに様々な問い掛けをします。
 生きるとはどういうことなのか?家族とは何か?愛とは?老いとは?そして死とは?
 一般的な人がそういった哲学的な疑問を持つことは実際には稀なのではないでしょうか?(そうでない人もままいますが)
 本作はその稀な経験をさせてくれるよい機会だと思います。
 フィンチャーファン、ブラピファンのみならず、普段はあまり映画を観ないという方にも是非観てもらいたい一本です。

 お気に入り度は★★★★、お薦め度は★★★★(★は五つで満点、☆は★の半分)です。
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4 コメント

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Unknown (shit_head)
2009-02-09 07:55:43
そうなのかなぁ?

僕は毎日考えますけどね。
愛とか死とか。
それって何?って。
稀な疑問なんですね。

それよか、これは見たいんですよね。
実は。

フィンチャー監督って手堅い演出をこれまでわざとしてこなかったのかも。
できるにも関わらず。
実は相当地に足ついた方なんでしょうね。
返信する
Unknown (せぷ)
2009-02-09 20:52:27
shit_headさんがその手のことを毎日考えるというのはいかにもshit_headさんらしい話だと思います。
自分も似たようなものですよ。
ただ、普通の人ってそういったことは突き詰めて考えないんじゃないかって思います。
そういったことを突き詰めて考えていたら自然と気が滅入ってくるじゃないですか。
そうじゃないですか?

たぶんですが、愛に満たされている人は愛とは何かなんて考えないし、生きることに疲れていない人は生きるとは何かなんて考えないのではないでしょうか。
健康な人が普段健康のありがたみについて省みることがないように。

それでもやはり健康について考えることが重要であるのと同様に、愛や死について考えることもまた大切なことだと思うのです。

フィンチャーは本作において申し分のない仕事をしていましたよ。ここだけの話、スピルバーグを超えたと思いましたね。
返信する
見てきました (幸太郎)
2009-03-15 21:47:42
「チェンジリング」と「ヤッターマン」の3本で迷ったんですが、
とりあえず「ベンジャミン・バトン」を見てきました。
いやあ、面白かったです。
最初の逆回りの時計のエピソードから引き込まれました。
老人の中で暮らす少年期と、船乗りになった壮年・青年期が特に良くて、
ピアノを教えてくれた老女や不倫関係になった奥さん、
そして、幼なじみの恋人と、女性がみんな魅力的でした。
ちなみに私は時々吹き出していたんですが、
7度雷に打たれた男が実に好きになりました。
で、数えていたんですが、最後の農場の柵みたいな所で打たれたのが
もしかしたら6回目だったのではないか?
それとも1回、見逃したのか。
今度、ビデオで確認したいと思います。
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見られました? (せぷ)
2009-03-15 23:31:16
その三本の中で『ベンジャミン・バトン』を選んだのは正解だと思いますよ。
作品の内容や出来がどうこうというのではなくて、その三作品の中で一番先に公開が終了しそうだから、という理由でですが。

もちろん『チェンジリング』もお薦めですが、お忙しければ『ヤッターマン』を優先させてもいいんじゃないでしょうか。
『チェンジリング』は非常に完成度の高い作品ですが、だからこそ誰が見てもさほど感想は変わらないような気がするのです。

雷に七度打たれた男、他のレビューでも結構人気者でしたよ。
自分も好きですが、律儀に打たれた回数を数えようとは全然思いませんでした。
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