この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

予想していたよりも無難な出来だった『オー!ファーザー』。

2014-05-27 20:34:24 | 新作映画
 伊坂幸太郎原作、藤井道人監督、岡田将生主演、『オー!ファーザー』、5/25、イオンシネマ筑紫野にて鑑賞。2014年21本目。


 2013年は劇場まで60本以上映画を観に行きました。
 なぜそんなにたくさんの映画を観るのか、理由はいくつかありますが、その一つに出来るだけ観る映画を減らすため、というものがあります。
 観る映画を減らすためにたくさんの映画を観るというのは矛盾しているようですが、これは本当です。
 正確には一本でもつまらないと思う映画を観ないようにするため、ですけどね。
 つまり映画を観るための選択眼を磨きたいってことです。

 観た後でその映画が面白いかどうかを判断するのは簡単なことです。誰にだってできる。
 でも実際映画を観るとなればお金もかかるし、時間もかかる。
 出来れば観る前にその映画が面白いかどうかがわかりたいじゃないですか。

 しかし言うまでもなくそれはとても難しいことです。
 同じアメコミ原作のヒーローものであっても、『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』は自分にとって最高に面白く、『アメイジング・スパイダーマン2』は最高につまらなかったですからね。
 鑑賞前にその映画が自分にとって面白いのか、観る価値があるのか、観る意味があるのか、それを判断するのは本当に難しいことだと思います。

 今月は贔屓の作家の作品が二作、映画化、公開されました。
 一作は乙一の『百瀬こっちを向いて』で、もう一作が伊坂幸太郎の『オー!ファーザー』です。
 5月は何かと忙しそうなので、観るのはどちらか一方にしようと思いました。懐事情が厳しかったというのもあります。
 さて、どちらにするか?
 決め手は欠いたのですが、『オー!ファーザー』を観ることにして、前売り券を購入しました。
 理由は『百瀬~』が恋愛ものであり、また日程的にも『百瀬~』が公開される5月前半の方がより忙しかったんですよね。公開規模が『オー!ファーザー』の方が大きかった、というのもあります。

 しかし前売り券を購入した後で自分はその判断をかなり後悔しました。
 理由はいくつかあって、まず主演が岡田将生ってことですね。
 特別嫌いな役者ってわけではないのですが、今年25歳になる彼が高校生の役を演じるのは厳しいものがあるだろう、そう思ったんです。
 それは今年22歳になる忽那汐里に関しても同じことが言えます。

 2つ目、監督の藤井道人が、これが商業長編デビュー作になる、まったくの無名のド新人なんですよね。
 長編デビュー作が大々的に全国規模で公開される、、、何だか胡散臭い話のように思えます。

 3つ目、本作は製作が吉本興業なんです。
 過去に吉本興業製作の映画を見たことはありませんが、やっぱりいい印象は受けないですね。

 他にもありますが、とりあえずこんなものでいいでしょう。
 今述べたような理由で『オー!ファーザー』を観に行くことにしたのは失敗だったかも?と思ったんです。

 で、実際観ての感想ですが、、、あれ、案外悪くないかも?って思いました。
 同じ伊坂幸太郎原作の映画では、自分が最高だと思う『アヒルと鴨のコインロッカー』に比べたらかなり落ちますが、最悪だと思う『陽気なギャングが地球を回す』に比べたら全然いい。充分及第点を与えられる出来でした。

 どう見ても高校生には見えない岡田将生も、本物の高校生と絡むシーンを極力なくすことでどうにか高校生を演じ切っていました。
 同じように体育教師にしては小柄過ぎないかと思った宮川大輔もちゃんと小柄な体育教師を演じていました。
 ここら辺は監督である藤井道人の演出手腕によるのではないでしょうか。
 吉本興業の製作だからといって特異な点もこれといってなかったです(もっとベタなギャグが炸裂するのかと思ってました)。

 もっとも手放しで褒められるかというとそういうわけでもなくて。
 オレオレ詐欺のエピソードはもっと有機的に本筋と絡むべきだと思いましたしね。
 原作はもちろん既読ですが、読んだのがだいぶ前なのでかなりの部分を忘れてしまって、、、原作ではもう少し上手く処理されていたような気がします(違いましたっけ?)。

 まぁでももっとひどいのを観せられるに違いない、と思っていたので、悪くないかも?ぐらいの評価でもかなり面白い映画を観た気になりました。笑。
 監督の藤井道人もこの先注目すべき映画監督なのでは?って思いました。

 結局鑑賞前にその映画が面白いかどうかを判断することは出来ないってことですね。
 当たり前ですが、そのことがよくわかりました。


 お気に入り度は★★★☆、お薦め度は★★★(★は五つで満点、☆は★の半分)です。
 次回鑑賞は『X-MEN フューチャー&パスト 』(5/3公開)の予定、期待度は★★★☆です。
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4 コメント

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残念ながら・・ (蒼史)
2014-06-28 22:50:57
映画を見てからコメントを書こうと思っていたのですが、行けないうちに上映が終わってしまいました。(札幌市内および近郊で「オー!ファーザー」を上映した映画館はたった一つしかなく、その映画館でさえ1日の上映回数は1~2回で、思っていた以上に扱いが小さかったです・・・)
せぷさんが「悪くないかも」と書いていたので、ちょっと楽しみだったのですが。残念です。
キャストは如何でしたか?
原作モノの映画の場合、誰もが納得するキャストって難しいと思いますが、原作に書いている身体的特徴に近い人だといいなと思います。たとえば本作なら、勲は「目がたれていて」「胸板が厚く」「声が低い」人。私が持っている宮川大輔のイメージは真逆に近いので、キャストが発表されたときは「本当に?」と思ったものです。でも、原作を気にしなければ、この役者でよかった、という場合もありますしね。
多恵子役の忽那汐里、鷹の河原雅彦、葵の村上淳などは、まったく予想していなかったキャストですが、スクリーンで見たらけっこういいんじゃないかと思ってました。

やっぱり見たかったな。DVDが出るまで我慢します。

追伸:グラスホッパーも映画化だそうです。

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こんばんは~♪ (せぷ)
2014-06-28 23:40:56
蒼史さん、こんばんは~♪
蒼史さんにはもう来てはもらえないかと思って、セーターを編もうかと思ってましたよ(何だそりゃ)。

扱いが小さくて観に行けない映画ってありますよね。
自分は今月『『ファイ 悪魔に育てられた少年』という映画を観に行くつもりで、それなりに楽しみにしていたんですけど、上映初日に夕方一回のみの上映で観に行くのを諦めました。
一日二回の上映だったらたぶん観に行ったんですけれど。

『オー!ファーザー』のキャストは、ベストではなかったです。
特に勲を演じた宮川大輔は仰る通りイメージが違いすぎますよね。全然スポーツ万能には見えないですし。

ただ、作品の世界観を壊すまでには至ってなかったですよ。それは主人公の由紀夫を演じた岡田将生にも言えることですね。

まぁ全体的に小粒な作品なので鑑賞はDVDでも充分かと思います。

『グラスホッパー』、どうなるんでしょうかね?
あまり映像化に向いた作品ではなかったような?
むしろ続編である『マリアビートル』の方が映画向きだったような記憶があります。
まぁ『グラスホッパー』が映画になるということは必然的に『マリアビートル』も映画になるということなんでしょうけれど。
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DVD見ました (蒼史)
2014-10-16 23:39:52
時の経つのは早いもので(笑)、「オー!ファーザー」がDVD化されたので早速借りてきて見ました。
結論から言うと、面白かったです。’良かった’よりも’悪くなかった’に近いかもしれませんが、映画館でお金を払って見たとしても、満足したと思います。小説を読んだときに頭の中に広がった音や風景を、実際に耳で聞いたり目で見たり出来る充実感が得られて、まあ内容が変えられていたりエピソードが省略されていたりするので原作とは別物としての充実感ではありますが、けっこう満足できました。あと、父親、多恵子、鱒二、みんなうるさいくらいに元気で、楽しかったです。
たぶんこれは、5ヶ月ほど間が空いたからだと思います。映画館で上映していたころは、原作とキャストの違いばかり気になっていました。でも今は、まったく気になりません。気持ちの中で「熟した」というか、「どうでもよくなった」というか・・・(笑)
「グラスホッパー」も楽しみです。
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確かに。 (せぷ)
2014-10-17 00:13:03
こんばんは、蒼史さん!
『オー!ファーザー』、ご覧になったんですね。
時が経つのは確かに早いものですよね。蒼史さんと『オー!ファーザー』のことについて語ったのが5ヶ月も前のこととは…。
油断するとあっという間に10年ぐらいは過ぎてしまいそうです。笑。

>’良かった’よりも’悪くなかった’に近いかもしれませんが、
確かにそんな感じです。
点数的には68点ぐらいかなぁ。手放しで褒め称えるほどよくはないけれど、かといって観て損をした!ってほどでもない、微妙な作品でした。

結局キャストって単純に似ているかどうかよりも(それも大事ですが)、その役柄を演じ切るだけの演技力と覚悟、それに雰囲気を有しているかが重要なのかなって思いますね。
キャストの豪華さだけでいえば『陽気なギャングが地球を回す』の方が上でしたけど、作品としてはこちらの方がはるかに良い出来だったと思います。

『グラスホッパー』はどうなるんでしょうねぇ、、、監督が『脳男』の人だから、もしかしたら観に行かないかもしれません。。。
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