この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

片眼の猿。

2008-03-22 00:01:14 | 読書
 道尾秀介著、『片眼の猿』、読了。
 
 いわゆる探偵小説の探偵はそれこそ星の数ほどもいて、それぞれが何らかの特技や特徴を持っているものです。探偵は例えば引きこもりだったり、シャブ中だったり、盲目だったり、自閉症だったり、人の記憶を見通せたりするわけですが、本作の《フリークス》探偵というキャラクター設定自体はなるほど、なかなか面白い、と思います。 
 しかし如何せん探偵が扱う(というか巻き込まれる?)事件が計画殺人であるにも関わらず、あまりにも計画が杜撰すぎて、作中探偵が犯人に向かって「今回の計画がものすごく失敗率の高いものだってことに気づいてたか?」という台詞までいっているのに、それさえも(杜撰さへの)フォローになっていないというのは些か、、、というかかなり問題だといっていいでしょう。
 結局どういった経緯で探偵が依頼者に雇われることになったのか、それすら読み返してもさっぱりわかりませんでした。
 それからこの作品にはいわゆる叙述トリックが用いられているのですが、それに関係している文章が非常に読みにくく、読んでいて何度もつっかえてしまいました。叙述トリックというのは(他のトリックもそうなのでしょうけれど)さり気なさが重要だと思うのです。さり気なく書かれてあるからこそ、真相が明かされて初めて「あぁ!あのときあれは実はこういうことだったのか!!」と感嘆できるのですが、本作の文章は不自然か、もしくはアンフェアなので、感嘆するにいたらないのです。
 まったく面白くなかったというわけではないですが、この著者の別の作品を読もう!という気にはなれないですね。
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