つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

小泉ではない

2006-08-31 17:04:51 | 木曜漫画劇場(紅組)
さて、当然腐れたライオン頭なのとは違う人よの第639回は、

タイトル:八雲立つ(全19巻)
著者:樹なつみ
出版社:白泉社 花とゆめコミックス

であります。

鈴:新たに東方系アレンジCDを堪能してるLINNで~す。

扇:最近、CD一枚も買ってないSENでーす。

鈴:なに、市販のCDは私もそうは買ってないぞ。この前かな~り久々に買ったくらいだな。
しかもふつうっぽく歌が入ってるヤツをな(笑)

扇:普通と言えば……最近ちょっとマンネリだと思わないかね、この会話。

鈴:マリネラ

扇:アレはアレ、ウチはウチ!
マンネリ打破のため、私は新たな方式で木劇をやってみたいと思う。

鈴:豆まき?

扇:それがいかんのだと言うとろうがっ!
マンネリ打破その1! 今すぐストーリー紹介を始めるぞ。

鈴:じゃ、よろしく。

扇:死ぬ?

鈴:死んだら解説やることになるよ?

扇:zzz……(死亡中)

鈴:くそっ……先に死にやがった……。
しょうがないなぁ、ストーリー紹介やっとくか。
えーっと、出雲の取材に同行した七地健生は、その出雲の維鉄谷村で巫覡の布椎闇己と言う少年に出会い、そこで出雲の地に封じられた念(怨念のようなもの)を封じていることを知るとともに、ふたりが神代の時代から繋がりのある血統同士であることを知る。
そして維鉄谷村での事件と健生の存在を機に、闇己は長年に渡って積み残されたままであった念の浄化を決意し、それに向かって様々な事件を乗り越えながら念を浄化するまでを描いた現代を舞台にした日本風ファンタジーであります。

扇:よくやった、褒めてつかわす。(偉そう)
補足しとくと、闇己と七地のルーツである、神代の物語が間に挿入されてます。
どうでもいいって言うぐらい面白みのないストーリーだったりするけど。(毒)

鈴:zzz……(死亡中)

扇:ざくざくざくっ。(とどめを刺す)

鈴:!Σ( ̄□ ̄;)
……(死亡→フェイドアウト)
(SENはダイイングメッセージを見つけた。「あとはよろしく」)

扇:許せ――これも武神流のため。
じゃ、阿呆はほっといてキャラ紹介行きましょう。

主人公の一人、布椎闇己。
少々複雑な事情の元に生まれたため、内部にドス黒いものを抱えている不安定主人公。
布椎の血統が二千年かけて生んだシャーマンで、この世に充満する念を封印、もしくは、昇華させる使命を負う薄幸の少年。そのために、父の首すらはねた。
パワーは凄いが、はっきり言って情緒不安定そのもので、こいつに後を任せざるを得なかった亡き父上殿の心労を想うと、自然に涙がこぼれてくる。
見た目、クールで理知的な美形……に見えるためか、幾人もの女性(姉含む)を魅了し、狂わせるが、本人はまったく自覚がなかった。罪な男……なのかこいつ?

鈴:ある意味、罪なんだろうが、ホストにしたらすごい稼ぎそうだよなぁ(笑)
では、闇己の相棒兼保護者兼唯一の友人兼重要参考人(?)の七地健生。

いいひと。

これ以上ないくらい、この言葉が似合い、人間関係においてはその一点でかなり得もし、損をしている。
世間知らずの我が儘ぼっちゃんの闇己に振り回されつつも、「いいひと」の度量で闇己を助ける、能力はないがある意味スーパーマン。
闇己が探す7本の神剣を鍛えた甕智彦みかちひこの血統で、その能力を強く受け継いだため、闇己の保護者に選出。
ちなみに、いいひとなために、女性関係で男に見られない、と言う不遇を託っていたが、だいぶ年下とは言え、相思相愛の子が見つかり、読んだひとはきっと涙を拭いながら「よかったねぇ」と呟いたに違いない。

扇:では、多分最大の苦労人の布椎嵩。
闇己の従兄弟で、能力だけなら布椎一族のナンバー2。(既にこの時点で哀愁が漂っている)
同い年の宗主である闇己に猛烈なライバル意識を持っていたが、実力差が歴然としている上、舌戦でも勝てないとあって、程なくして『仲間の一人』の位置に落ち着いた。
性格は単純かつ純情であり、敵に回すと鬱陶しいことこの上ないが、味方にいると非常にアテになる『いい子』だったりする。もっとも、彼にとってそれは不幸な属性なのだが。
七地の妹と微妙な関係にあったが、真っ正直なアタックが功を奏し、最後は見事にくっついた。それで終わっとけば幸福だったのだが……ラストのラストで作者のイジメに遭う。(合掌)

鈴:南無~、だな、確かに。
不幸な子だよ。七地妹=夕香にとってはOKなのかもしれないがね。
では、その七地妹……と言いつつも、こっち。
布椎寧子。闇己の姉で、唯一の当主夫婦の子で、闇己には及ばないものの、シャーマンの素質を持っている。
清楚な外見とは異なり、ころころと笑ったりとギャップがあるキャラにはなっているが、本来はかなりの情念のひと。
もともと弟の闇己に惚れており、その苦悩がこのキャラを際立たせており、且ついいキャラにもしている。
ちなみに、最初七地はこの子に惚れていたが、闇己に惚れていることや父親と重ねられて頼られたりと、相変わらず男に見られていなかった。(南無~)

扇:つーか、闇己にフラれるまでの寧子のキャラは良かったなぁ……情念と怨念が顔に出まくってて。特に十四巻で『男殺し』の本領を発揮した時の顔は良かった。

ではでは、七地妹こと七地夕香。
登場1コマ目だけは、ボケボケ兄貴をシメる格好いい妹――のように見えるグラフィックだったが、わずか数ページで単なる我が儘なガキだということが判明、私の中で評価が急落した。
闇己のビジュアルだけに惚れ、後を付け回すものの全く相手にされず、運良く(?)シャーマンとしての属性を発揮して、以後は駆け込み弟子のように振る舞う。
当初は他人の気持ちなど全く考慮しない絵に描いたようなガキだったが、喧嘩友達扱いしかしてなかった嵩に気を使うようになるなど、兄より格段に成長した。(元が低すぎたとも言う)

鈴:じゃぁ、七地にとって、このマンガ中、最大の幸福、小岩井しをり。
もともと闇己とともに調査に赴いた野井辺村と言う村で、狐憑きとして村八分に合っていた母子の子供のほう。
だいぶ人間不信だったが、七地の「いいひと」っぷりに心を動かされ、七地的には唯一成就しそうな恋だったが、話が進むに連れ、敵側の巫女として登場するなど、いつまで経っても七地とくっつかせてもらえない薄幸の少女。
とは言え、基本的に七地と相思相愛なので、作中では語られないがきちんとくっついたのであろう。
つか、そうでなければきっとファンは七地の女運の悪さに憐憫の涙を流すであろう(笑)

扇:つーか、闇己を取るか彼女を取るかでふらふらしてる七地にも責任はあると思うぞ。
決定的な場面で闇己を取っちゃって、最後のタイミングを逃すパターンばかりだし。

鈴:まぁでも、最終的には浄化できたことだし、七地的にはあとはしをりちゃんとしっぽりと……。

扇:いや、十五巻で堂々と×ってたろ?

鈴:あーあ、言っちゃったよ……。
まぁ、いーじゃん、幸せなら。
つか、このマンガ、恋愛部分に関しては七地としをりのふたりだけで十分。
なんかねぇ、こう、かわいらしい恋愛を見守るおっさんの気分だったりするし(爆)

扇:本当にオッサンだな。
ま、そこらへんの四方山話はCMの後で。


つれづれ読書日記


つれづれ読書日記それなりに爆走中

『作家別目録』、一応、既出作家だけは更新してます……。
『怪しいページ』……えーと……何でしたっけ、それ。
『閃鈴電脳遊戯館』だけは毎週きっちり更新しております。

御覧になりたい方は、最新記事の『目録へのショートカット』、もしくはこちらから!


つれづれ読書日記


扇:というわけで、今週はスタンスを変えて、作品紹介の後に雑談です。
これなら、作品に関する話がしやすい筈だっ。

鈴:はずだって言ってもなぁ……。
って、オッサンって言うなっ!! 相棒より1ヶ月はまだ若いっ!!

扇:いや、そういう問題やのうて……。
正味な話、この作品どうよ?(いきなり核心)

鈴:私は好きだぞ、この作品。古典……特に古代、中古あたりが好きな人間にはいいと思うけどなぁ。
全体的なところは別として(爆)

扇:その上代文学専攻してた俺に言わせると、設定使い切れてないんだが。(笑)
まー、全体的なとこは置いといて……ラストがひどすぎやせんか?
闇己と七地が幸せなら他が不幸になろうがオッケェ! と言ってるようにしか思えんのだが。

鈴:あー、そいやそうだったなぁ>専攻
って、まんま、闇己と七地で終わってる気はせんでもないがなぁ。
まー、いーんじゃね? 闇己はどうでもいいが、嵩くんはいちおう・・・・、意中の相手をゲットしたし、七地も決着はついてないが、しをりちゃんとくっつくだろうし、寧子は……まぁ、どうにかしてるんだろうし……って、別に闇己がラストでどうなろうと闇己以外がそれなりにOKなら別にかまわんぞ(爆)

扇:嵩君は思いっきり不幸じゃわいっ!
何が悲しゅうて、意中の相手との間に生まれた子供がクソ闇己ごときに取り憑かれなあかんのやぁ!
つーかそもそも、人間その生を生きてなんぼみたいなことをほざいたのは闇己自身じゃなかったか? 未練がましく現世に留まってんじゃねーよ。

鈴:作者の愛情の度合いだろ>復活

扇:そう、結局それなんだよねぇ~。
作者の愛情が過剰だと、読んでるこっちが白けるんだよ。
結局、色々あった割には『実父』との決着付けてねぇしな、こいつ。

鈴:そいやぁ、そうだったねぇ。
なんかうやむやのうちに、ラストに至ったし……。
単にネタがなかったのか、人気の関係で終わらせようとさせられたのか(白泉社は集英社系)はわからんがねぇ。

扇:打ち切り……かどうかはかなり微妙だな。
長く続き過ぎたのは確かだろうが、無理に続けさせるという点では白泉社にも罪はあろう。
ただあれだねぇ、色々と闇己の葛藤なり苦悩なりを描いてる割には、全部七地に救われたから! でオッケーにして、何も解決せずに放り投げてるのはどうかと思うね。

鈴:え? そういうキャラだろ、七地(笑)
……って、なんか言ってて、どうよって気になってきたな(爆)

扇:面白いんじゃなかったのかよ。(笑)
少しは庇護してやれ、このまま毒ばっか吐いてると、まるで俺がいぢめっこみたいじゃないか。

鈴:いや、おもしろいよ、エピソードによっては(爆)
っていぢめっこ? 何をいまさら。前のアレクサンドライトでもさんざん言ったんだから、いまさらぢゃないか(笑)
と、相棒が実は毒舌満載のいぢめっこ、と判明したところで今回の木曜劇場はこの辺でお開きでございます。
それでは、来週の少年マンガをお楽しみに~

扇:そうね、最初の頃のオムニバス霊能バスター話は悪くなかった。
眞前絡みの話も面白かったんだが、うやむやになっちまったのがなぁ……。
って、最後に追い討ちかけて逃げるなっ!
私も相棒追っかけて退散します、さよーならー

記憶整理もほどほどに

2006-08-30 23:53:51 | その他
さて、記憶を掘り起こそうシリーズ第三弾な第638回は、

タイトル:パソコン・ゲームの世界―オトナだって愉しむ権利はあるゾ
著者:梅崎隆夫
出版社:講談社 ブルーバックス

であります。

と言うわけで、三日連続で過去に読んだ本の紹介です。
何を紹介するべきか、かな~り悩みました……昔読んだ本って、結構忘れてるもんですねぇ。
一応、本書を思い出したのはいいのですが、資料がないぃぃぃ。仕方ないので今日はおぼろげな記憶だけで書きます。(不安)

と言っても、内容はタイトルそのままだったりします。
パソコンゲームの紹介本! 数学や化学の話など一切なし!
おおよそ、ブルーバックスらしからぬ本ですね。

今はどうか解りませんが、私が学生の時はブルーバックス読んでると『理系のお固い奴』みたいな目で見られたんですよ……いや、マジな話。
で、私は『俺はお前らみたいな数字の苦手な連中とは違うんだよ、ケッ!』ってな顔して、パソコンゲームのお勉強をしてたわけです。(爆)
(↑嘘です、信じないで下さい)

ま、まぁ、昔の話は置いといて……本書は非常に出来のいいゲームレビュー本です。
作者が自分の好きな作品について好き放題語っており、宣伝込みの感想が入ってないのがいい。
もっとも、私はパソコン持ってなかったので、紹介されてるゲームを遊ぶことはできませんでしたが。(爆)

一番印象に残っているのが、ゴチャキャラバトルの名作・ファーストクイーンの紹介。
兵士一人一人に性格を持たせ、リアルタイムに戦わせるシステムを非常に高く評価していました。
って、こんな話してたら実際にやりたくなってきた。

『科学をあなたのポケットに』のキャッチコピーで知られるブルーバックスですが、こんな本もあるんだよ~、ということでオススメ。
すいません……今日はかなり内容薄いですね。(汗)



ちなみにこれ、十六年前の作品です。
ブルーバックスのホームページで検索しても見つかりません……絶版?

ハレー彗星って危険?

2006-08-29 15:45:36 | 伝奇小説
さて、これまた世代を選ぶ第637回は、

タイトル:魔の星をつかむ少年
著者:鈴木悦夫
出版社:学習研究社

であります。

昨日に続き、今日もまたおぼろげな記憶と多少の下調べで書きます。
シーンの順序等、間違いがありましたら、遠慮なくツッコンでやって下さい。

学研『5年の学習』に『魔の星が帰る日』の題名で連載されていた伝奇アクション。
児童版幻魔大戦と言っても過言ではない話で、当時はかなりハマってました。
私は単行本で読んだのですが、連載の方だとラストが違ってたらしいです。(後述)

主人公は星界小学校の五年生、火ノ瀬流……当然だけど、若っ!
運動神経抜群な上、任意で自分の記憶を固定・消去できる超能力者ですが、この手のサイキック物の基本通り、最初は自分の超常能力にあまり疑問を抱いていません。
中身は、クラスメイトの恵子ちゃんのラブアタックをかわしつつ、虎視眈々と美人教師・月路映子先生を狙う、至って普通の御子様です。普通です。普通なんですってば。(笑)

物語はハレー彗星の授業内容をすっかり忘れてしまった流が、教え子の不真面目っぷりに涙する映子先生に、ちょっとアタシが住んでる寺まで来いやと誘われた所から始まります。
映子先生は自分がテレパシー能力者であることを明かし、師匠の怪呑和尚(ハルマゲドン?)を紹介した上で、同じ超能力である流に協力してもらいたいことがあるとぶちまけます。
要するに教室の一件は芝居だったわけですね。いたいけな妄想小僧をウソ泣きで騙すとは、罪な女だぜ映子先生。

映子先生の頼みとは、異星人の地球侵略計画を阻止するため、貴方の超能力を貸して欲しい、というものでした。
過去に異星人の実験台にされたおかげで超能力に目覚めた怪呑和尚によれば、敵は近々地球に接近するハレー彗星を利用して計画を進めているとのこと。
このへんの無茶っぷりは、さすが『ムー』で知られる学研ですね。

しかし、そこは超能力者の火ノ瀬流。あっさり異常な状況に適応して、異星人と戦うことを決意します。
おまけに、この状況を利用して憧れの映子先生と親密な仲になってしまおうというとんでもない計画まで立てる始末。
何せ呼び名を月路先生から映子先生に変えた後の心理描写が――
「いずれ映子姉さんと呼ばせてもらおう」
だからもー、奴を止められるのは異星人軍団しかいません! ここまで妄想全開な主人公も珍しい。

その後も様々な展開があるのですが、長いんで箇条書きにします。

・『愛の伝書バト会』なる怪しい宗教の一員である美少女・葉麗が登場。彼女の魔の手が恵子に伸びる。
・映子先生が異星人の手に落ちる。敵は全員、フルフェイスヘルメットに黒いライダースーツといういでたち。
・このままじゃ戦力足りへんから、君も儂と同じ試練を受けてみーへんか? という怪呑和尚の誘いに乗り、流は怪しい銀色の卵の中に入る。一流の超能力者として覚醒し、感覚能力が大幅にアップ。
・目覚めた流に、怪呑和尚が酸化ナイフなる武器を与える。万年筆の中に切れ味鋭いワイヤーを仕込んだもので、酸素を苦手とする異星人が身に付けている特殊皮膜を切り裂くことが出来る……って、それ宇宙人じゃなくても死ぬから。
・葉麗も超能力者であること、異星人の計画に荷担していることが判明する。怒りに燃える流は直接対決を挑むが、その場に恵子がいたため動揺。か弱い少女のフリをした葉麗にハメられて完敗する。
・怪呑和尚が敵の基地に潜入。後を任された流は、指示に従って先生と和尚のクローンを作り、『愛の伝書バト会』の調査を進める。本物とクローンの区別を付けるため、先生のクローンを『映子姉さん』と呼び、野望を達成する。

しかし、この程度で驚いていてはいけません――クライマックスはもっと凄い。

敵の基地に連れて行かれる葉麗と子供達を救うため、酸化ナイフで異星人を殺しまくる流!
異星人に騙されていたことを悔やむ葉麗をお姫様ダッコして、星空の下で人類愛を語ってしまう流!
葉麗と恵子に挟まれ、それでもやっぱり俺は映子先生がいいなぁ、と最後の最後まで妄想に生きる流!

君、年齢詐称してない?

あ、そう言えば、伊藤良子の綺麗なイラストも印象的でした。
今見ると……どの絵も狙いまくってますね。そのままライトノベルにしても通じそうです。
学研つながりで『コミックNORA』に漫画版連載したら受けたかも知れない。

色んな意味でぶっ飛んだ作品です。オススメ。
単行本はハッピーエンドで終わってますが、連載版は異星人と戦って葉麗が死ぬという角川映画超大作みたいなラストを迎えるのだと聞きました。
読んだのが二十年近く前なので、今だと色々辛いかも知れませんが……そっちも読んでみたいですね。かな~り入手困難だろうけど。



ここまで激しく解説しといて何ですが――本書は絶版になっています。(爆)

児童文学あなどりがたし

2006-08-28 23:35:03 | ミステリ
さて、同年代の人じゃないと通じないかも、な第636回は、

タイトル:マガーク少年探偵団シリーズ(全十八巻)
著者:E・W・ヒルディック
出版社:あかね書房

であります。

まず最初に……今日の記事は過去の記憶と、ちょっとした下調べで書いてます。
そのため、ところどころ勘違いがあるかも知れません。御容赦下さい。

イギリス生まれの少年探偵物です。
一巻一事件形式で二十六巻まで発表されていますが、日本版はなぜか十八巻で止まっています。
絶版でしたが、最近になって何作か復刊されたようです。ファンとしては嬉しい限り。

探偵団のメンバーは最初四人、途中から加わったメンバを入れると計六人。
全員9~10歳の子供ですが、読んでた当時の印象は『中学生ぐらい』でした。(笑)
簡単にメンバーを紹介しておくと――。

ジャック・マガーク――団長。絵に描いたようなガキ大将で、トラブルメーカー。得意技は、他人の手柄を自分のものにすり替えること。なにげにトム・ソーヤー? って禁句か。(笑)
ジョーイ・ロカウェイ――記録係。本作の狂言回しとして、メンバー全員を観察する。性格は至って真面目だが、杓子定規ではない。絵を見る限り、そのまま会計士でも通じそうだったり。
ウイリー・サンドフスキー――異常嗅覚の持ち主。おっとりとした心優しい少年だが、その実、メンバー随一の観察力を誇る。多分、マガークが一番買っている人物で、よく褒められる。
ワンダ・グリーグ――木登りが得意な少女。機知に富み、数々の献策で突破口を開く。マガークに正面切って意見できる貴重な存在でもある。活発さが目立つが、結構オシャレ。
ブレインズ・ベリンガム――若きマッドサイエンティスト。『見えない犬のなぞ』で探偵団に挑戦し、その後入団。高慢な性格で、呆れた時に舌打ちする癖がある。実は最年少。
マリ・ヨシムラ――日本からやってきた空手少女。『ゆうかい犯vs空手少女』で登場。いわゆる出来杉君キャラだった記憶しかない……。たまに登場するだけなら面白かったかも。

以上。
探偵役と助手役を場面ごとに切り替えるタイプの作品なので、巻によっては印象が違うかも知れませんが、概ねこんな感じだった……筈。(爆)

児童文学ということもあって、メインは町で起こる小さな事件の解決。
ただし、危険な事件に関わることもあり、その場合はちゃんと恐怖の演出をしてました。
山口太一のちょっとホラーチックな絵も、独特の空気を生んでいたと思います。

私のお気に入りは第七作『あやしい手紙』。(新版だと第六作)

ブレインズの入団により科学捜査も可能になった探偵団が、いきなり出くわした大事件の顛末を描いており、最後は警官隊まで登場するスリリングな展開が魅力。
一枚の奇妙な手紙(の切れ端)を手に入れる探偵団、筆跡鑑定に用紙の調査、そして浮かび上がる犯罪計画……と探偵ドラマの魅力が詰まった名品です。
何より、普段は団員を邪魔者扱いする某警部(名前失念)が、ちらりと子供に対する優しさを見せ、最後まで事件に関わることを許してくれたのが素敵でした。

探偵物としても群像劇としても読める、一級の娯楽作品です。オススメ。
もっとも、十二巻辺りからパワーダウンした記憶がありますが……。

タイトルに偽りなし

2006-08-27 00:30:31 | 小説全般
さて、でもミステリじゃないのよの第635回は、

タイトル:怪笑小説
著者:東野圭吾
出版社:集英社 集英社文庫

であります。

タイトルどおり、怪と笑の短編集で、9編の短編が収録されている。
では各話ごとに。

「鬱積電車」
都心から郊外へ向かう私鉄の急行電車。それに乗り込んだある研究所の研究員である川原宏は運良く満員電車で座席に座ることが出来た。
だが、それを見てチャンスを逃した隣にいた飲み会帰りの岡本義雄は苦々しく思う。

と言う感じで始まるこの作品は、とにかく満員電車の中でキャラを変えて、それぞれが座席を譲る譲らない、ミニスカート姿の女性の値踏みする、隣の男のニンニク臭さに辟易する……などの心理を軽妙に描いている。
きっと誰しも思うようなことだし、思われているかもしれないと言えるような内心の声ばかりでおもしろい。

オチはまぁある意味定番だが、それでも笑えるものなのでOK。

「おっかけバアさん」
近所でもケチで通っている倹約家のシゲ子ばあさんは、もらったチケットで行った杉平健太郎の特別講演で、杉平にはまってしまい、いままでの貯金、年金などをはたいて追っかけを始めてしまう。
その金を捻出するために、質素すぎる生活を送っていたために倒れてしまうがその日はリサイタルのある日。
かくしてシゲ子はふらふらになりながらもリサイタル会場である県民ホールへと急ぐ。

実際、こういうひとって、……いそうよね……(笑)
まぁ、だから笑っては悪いのかもしれないが、笑ってしまうのだから仕方がない。

「一徹おやじ」
息子をプロ野球選手にするという野望から娘である望に野球をやらせていた父は、待望の息子誕生で、その野望を実現させようと息子勇馬に野球漬けの毎日を送らせるとともに、どこから仕入れたネタか(読者にはきっと)一目瞭然の強化策をやらせていた。
それを息子の誕生と同時に野球漬けの生活から逃れられた望の視点から、冷静に語る、と言うもの。

望が何をしても「ああ、そうか」ですます父だが、プロゴルファーになって大会でも3位に食い込むまでになったにも関わらず、やはり「ああ、そうか」ですませたりするところや、オチ、そのオチでの望の姿など、これも爆笑とは言わなくてもほどよく笑えて楽しめる良品。

「逆転同窓会」
巣春高校で教鞭を執っていたことのある教師たちが集う同窓会に、思い出深い15期生の生徒を呼んで同窓会をしようと言うことになり、何人かの生徒たちとともに同窓会を行う話。

社会人となり、それぞれ生徒たちが仕事の話などをしたりしてついていけない教師たちや、教師になった生徒が現れた途端に活気を取り戻すところなど、哀愁が漂うのだが、またそれが妙に可笑しい。

「超たぬき理論」
空山一平が、子供のころ、母の田舎に行ったときに出会ったたぬきと信じている動物が、空を飛んで逃げたことに端を発し、一平は様々な研究を重ね、「UFOタヌキ説」を完成させ、ついには「UFOはタヌキだった」と言う本を出版するまでになる。
そしてある番組で「UFO宇宙人乗り物説」を唱える相手と論争することになる。

理論のばかばかしさがまずおもしろい。
オチは当然と言えば当然のものだが、それでもおもしろいものはおもしろい。

「無人島大相撲中継」
豪華客船での旅行中、火災が発生し、乗客乗員は無人島に漂着する。
救助を待つ中で、大相撲のことなら何でも知っていると言われる徳俵庄ノ介のラジオ丸暗記で退屈を苛々を紛らわせていた。

毒にも薬にもならないような平板な話で、笑えるものでもなければ読み応えもなし。
この短編集中、もっともおもしろくなかった話。

「しかばね台分譲住宅」
ある朝、ある叫び声を聞いて出てみると、住宅街の道路にひとりの男が死体で倒れていた。
10世帯ほどの住民たちは、しかし警察に届けるどころか、これ以上、この住宅地の値下がりを嫌って、別の場所にある黒が丘タウンという分譲住宅地に捨ててきて、そちらのイメージダウンを図る。

しかし、捨ててきたあとになってまた死体は道路の上に。
かくして、しろかね台分譲住宅側と黒が丘タウン側の死体を捨てあう不毛な戦いが始まった。

をいをい。
と突っ込みを入れてしまうくらいテンポのよい短編で、オチの付け方も見事。

「あるジーサンに線香を」
アルジャーノンと同様、日記形式で綴られる作品である老人が病院の医師から若返りの実験を手伝って欲しいと頼まれ、若返るとともに、その効果が切れて老いていく姿を描いた作品。

ブラックユーモアの作品であろうが、笑えない……。
まぁ、だからと言っておもしろくないかと言えばそう言うわけでもないので安心しよう(笑)

「動物家族」
見る人間がすべて動物に見えてしまう中学生の少年の肇は、地味で臆病で、学校でも不良グループにカツアゲをされても泣き寝入りするようなタイプの少年だった。
しかも両親はともに愛人を作り、兄と姉は公立学校に通うしかなかった肇を見下していた。
様々な鬱積したものを抱えていた肇は、あるとき、大事にしていた友人からもらった標本を壊されてしまい……。

これも「あるジーサンに線香を」と同様、ブラックなネタで、笑えると言う意味でのおもしろさはない。
けっこうネタ的にもえぐいし。
展開も定番だが、作品としての読み応えはしっかりしているので、良品のひとつに数えられる。

以上、9編だが、1編を除いて一気に読めるだけのおもしろさ、可笑しさなどがある良品が多く揃った短編集。

はっきり言って、まったく期待していなかったものだから、いい意味で期待はずれ、と言えるだろうね。
前日に続いて、男性作家ではいい作品を読んだかな。
「怪笑」という名にふさわしく、きちんと笑わせてもらえたし、ね。

耽美と書いてホラーと読む

2006-08-26 15:46:47 | 恋愛小説
さて、カバーの紹介文書いたの誰だよの第634回は、

タイトル:夢ごころ
著者:連城三紀彦
出版社:角川書店 角川文庫

であります。

えー、またもや例の如く短編集であります。
第一話から第十二話とする12の短編が収録されている。

「第一話 忘れ草」
ふらりと出て行ってしまい、8年ぶりに戻ってきた夫に対して妻が手紙をしたためると言う体裁で語られる物語。
8年間の中で出て行った夫が京都で別の女と暮らしていることなどを描きつつ、戻ってきた夫との決着を描いている。
ラストのほうで語られる妻の思いや事実など、ぞっとさせられるものがあり、淡々とした中にも強い情念を感じさせる良品。

「第二話 陰火」
新婚旅行に向かう列車の中で新郎の康之の思い出と、それに引きずられる康之の姿を描いている。
ラグビー部のただの先輩だった安原との関係と、結婚という形で裏切った康之に対する安原の情念を、はっきりとは書いていないが十二分に感じさせる話であろう。

「第三話 露ばかりの」
年下の葉二と言う男と付き合っている妙子が、葉二に別の若い女が出来たことを察し、ある方法で去っていく葉二に自分と言うものを刻みつけていく話。
聞き分けのいい妙子と、ラストに至ってその思惑が具現化した際の静かだが重すぎる妙子の情念がけっこう怖い。
だが、そのぶん、作品の雰囲気は十二分にあり、良品のひとつ。

「第四話 春は花の下に」
教師への贈り物を相談するために集まった32人の小学生が学校の納屋の火災で全員焼死した事件の唯一の生き残りである千鶴子が、幸福な家庭の中でそこへ引き寄せられていく姿を描いた話。
無邪気な子供の残酷さや、火災の事実から毎年春になるとその場所へ足を運んでしまう千鶴子の複雑な思いがしっかりと描かれている。
ラストを読んで、なおもその後の想像がついて、そっちも怖かったりして(笑)
これは個人的にかなりの逸品。

「第五話 ゆめの裏に」
生死の境を彷徨う姉とその夫の愛するが故に歪んでしまった愛情を妹の久美子の視点で描いた話。

「第六話 鬼」
ある画家が別れた妻とのつながりに執着するあまり、嬰児誘拐まで犯してしまう話で、それを画商の視点から描いたもの。

「第七話 熱き嘘」
不倫の相手である女性からの手紙を中心に、兄夫婦のもとで暮らす井川慎一と不倫相手の女性、そして義姉の持つ義弟へとではない愛情を描いたもの。
脇役だったはずの義姉の姿に気付いたラストの描写がおもしろい。
いまいちな中でもまだマシな話かな。

「第八話 黒く赤く」
行きずりに出会った女と夢のような関係を持った男の、その女と出会ったがために破滅していく姿を描いたもの。

「第九話 紅の舌」
これも第八話と似たような話だが、こちらのほうが巧妙。
ある小さな工場の従業員である男のもとへ、同僚の妻から夫がろくでもない女に引っかかっていると言う相談を受けたことが始まりで、そこから同僚、妻と姿が二転三転し、ラストに事実があかされる。
二転三転するがラストはすっきりと落ちている。

「第十話 化鳥」
福祉施設で暮らす老女が、ひとりの少女の事故死をきっかけに自らの周囲で起きた様々な死を手紙の体裁を取って語る話。

「第十一話 性」
妻のある男を奪い、結婚した文江と文筆家の竣三が、前の妻である秋子の影に苛まれる話で、愛憎と狂気をうまく描いている。
良品のひとつ。

「第十二話 その終焉に」
ある男が少年時代に年の離れた姉の家がある地域での、ある男との短い出会いを描いたもの。
この短編集の中ではもの悲しさや切なさを感じさせる綺麗な作品。

ん~、初めて読んだひとで、しかも男性作家だからどうかと思ったが、いくつかを除いて良品と言える作品があり、雰囲気も十二分に出ているし、総じてラストの余韻もしっかりと感じられる。
情念を描くものが多いが、しっかりとそれも描かれていて、読み応えはある。

このところ、落第ばかりが目立っていてどうよと思っていたのだが、久々に、しかも男性作家でいい作品に出会ったかな。
ただ、これを女性が読んだときにどう見るかなぁ、とは思うけど。

しつこく

2006-08-25 23:59:00 | 伝奇小説
さて、なんのかんの言って読んでしまったの第633回は、

タイトル:外法陰陽師(三)
著者:如月天音
出版社:学習研究社 学研M文庫

であります。

中つ国から、世を乱さず平穏に暮らすことを強いられた、「外法使い」と称される陰陽師、漢耿星あやのこうせいは、いつものように何もせず暮らしていたが、それに付き合っているお目付け役の黒猫の羅々は退屈のあまり、以前(1巻、2巻)で起きた事件のことにかこつけて、耿星を中宮定子と藤原道長との争いに巻き込もうとする。

いやいやながらも中宮定子ていしが里下がりをしている屋敷や後宮に忍び込み、情報収集などをしていた耿星は、中宮定子と、その側につく播磨流陰陽師、蘆屋清高あしやのきよたかが、今一度権力に返り咲くために行う修法の存在などを知ることとなる。

捨て置けばよいはずのそれも、唯一友人扱いをしてくれる藤原行成がかかわっているとなれば、行成がお気に入りのお目付け役の手前もあり、また自分でも理解できない気持ち故に、蘆屋清高との対決に挑む。

えーっと……、いちおうこれでとりあえずは完結、なのかな。
ラストには「第三巻 終」とあったけど、いまのところ、続きは出てないし、いちおうの決着はつけてはいるから、終わりだと思っておこう。

さて、上記のようなこともあり、なんかこの3巻だけでなく、全体を通してみても、かなり中途半端。
個人的には途轍もなく気に入らない部分があるが、その部分は横に置いといたとしても、ダメだねぇ。

1巻だけならばそれなりによかったのだが、2巻で登場した道長の娘の彰子。作中では大姫と呼ばれているが、なんかこいつが出てくる意味があったのか、疑問。
定子も最初は重要そうに描かれてはいたのだが、巻を追っていくに従ってキャラが希薄になっていっている。

最終的には耿星と清高の物語に収斂していく……とは言いながらも、最初からこのふたりの争いをやや太めでも1冊にまとめたほうがすっきりとしたのではないかと思える。

また、3巻の展開上、クライマックスを戦闘シーンが占めているのだが、ここが無駄に長く、展開の区切りなどで1行開けて一拍おく、などの方法でメリハリをつければ読みやすくなるのだろうが、それもなく一直線に進んでいくため、読んでいて飽きてくる。
総体として中途半端な上に、クライマックスがだらだらと進んでいき、脇キャラの扱いもいまいち。

1巻がなかなか読めただけに、残念といえば残念だが、続きを買うだけ馬鹿を見るので、まぁまず手を出さないでよろしい、といっておこう。
個人的趣味の問題をきっちりと取り除いても、総評は落第。

ついでに1巻で、黒幕っぽい感じで興味をそそられた中宮定子様の扱いが何が何でも気に入らないので、これも含めると赤点通り越し、落第=この単位を落としただけで留年決定(笑)
まぁでも、ひとつだけ、いいとこも書いておこう。
1巻からもそうだったが、きっちりと歴史に沿って、その中できちんと物語を作り、キャラを動かしている、という点においてのみ、評価はできる。
道長の台頭や、伊周が起こした事件、左遷と帰郷、再度の捕縛、定子の内親王の出産などなど、知っている人間にとってはおもしろいのでね。
とは言っても、それを入れたところで、物語としてダメなら単位をやるわけにはいかんよなぁ(笑)

伝説の○ち○り

2006-08-24 20:10:36 | 木曜漫画劇場(白組)
さて、通じる人間がいるか不安な第632回は、

タイトル:サイレントナイト翔(全2巻?)
著者:車田正美
文庫名:ジャンプ・コミックス

であります。

扇:クリスマスって遠いなぁと思うSENでぇぇぇすっ!

鈴:まだ夏だし、と突っ込むLINNで~す。

扇:あと四ヶ月もこの暑さに耐えねばならんかと思うと……。

鈴:ほほぅ、ではクリスマスを境に夏と冬が入れ替わるのか。
難儀な体質じゃのぅ……。

扇:クリスマスを境に夏に変わる国もあるがな。
ともあれ、今年の夏はマヂで暑いぞ……きっとLINNの呪いに違いない。

鈴:……なぜわかった……。
やはり相棒の誕生日に暑くなれ~暑くなれ~と御修法をやったのをどこでかぎつけたっ!?

扇:いや、呪殺師一種取ったって堂々と言ってたやん前回

鈴:!Σ( ̄□ ̄;)
い、いや、まだあのころは呪殺師一種のための修行中で、試しに……あわわわわわわ……。

扇:「被告人は真実のみを述べなさい、聖×に誓わなくていいから」

鈴:えーっとぉ……、約半年ほど前に修行と称して日天の修法を……。
って、別に○書に誓う気は光子の微片ほどもないんだけど~(爆)

扇:異議あり!
この資料によれば、被告人が行った修法は大威徳明王のものです!

「異議を認めます。被告人は真実のみを述べるように」

鈴:あー、そうそう、日天と大威徳明王のとをちょろっと言い間違えたわ。

扇:をい、それはえらい違いだぞ。
つーか、この道に関してはお前の方が詳しかろうに。(笑)

鈴:うん、詳しいな。
詳しいからごまかそうと……ってあわわわわわわ……。

扇:裁判長、被告人は自分の知識を利用して偽証を行っています。

「全部認めます。被告人は退廷しなさい」

鈴:え? 退廷してもいいの?
くすすっ♪ じゃぁ、次は何の修法にすっかなぁ♪

扇:「この場で実刑判決出すぞ」

鈴:あ、出せるの?
いいよぉ、法律じゃ呪殺って罪にならないから当然無罪だもんね~。

扇:まー実際のとこ、呪殺が犯罪として認められた場合、冤罪が異常に増えそうな気はするがね。
魔女狩り裁判と同じことをやる奴とか出そうだし。

鈴:やらかしたら魔女狩りそのまんまやん。
……つか、僧侶も神主もいなくなるぞ、そんなことやったら。

扇:神父と牧師は?

鈴:はっ、そいやその辺も忘れてたな(笑)

扇:ん? その発言の前に、何か別の台詞言って音声消さなかった?
だってあの連中は×××××××で××××××××だとか。
(×は聞き取り不能箇所)

鈴:い、いやっ、言ってないぞ。断じて言ってないぞっ。

扇:そっか~、気のせいかぁ。
まぁ、サンタクロース信じてない人間の台詞をいちいち気にしても仕方がないけど~。

鈴:なんか、すんごい皮肉やぞ、それ(笑)

扇:安心しろ、目一杯皮肉だ。(笑)

鈴:あ、やっぱり(笑)
まぁ、サンタクロースどころか、無神論者にはどれも大した差はないが(爆)

扇:まぁね。
子供に、「クリスマスって何の日?」って聞いたら、「親が何かくれる日」って答えるだろうしな。

鈴:夢がないのぅ。

扇:あったのか、夢?

鈴:えーっとな、たぶん、小学校の低学年くらいまでは(笑)

扇:へぇ、幼い頃は意外と純情だったんだなァ。(笑)

鈴:そりゃそうだ、若かったからな。
まぁ、若いころから腹黒かったはずの相棒にはわからんだろうがな(笑)

扇:デカ文字部分が異常に引っかかるんだが、気にしないでおこう。
表まで黒い君にこの苦しみは解らんだろうからな。(笑)

鈴:うむ、わからんのぅ。
あぁ、そうそう、ちなみに、私はついこの間、従妹の娘カリンちゃんに出会ってから表まで真っ白になってしまったので余計にな(笑)

扇:やっぱりロリだったのか。(笑)

鈴:なんでそうなんねんっ!!!!
……ったく、まだまだちっこい(6ヶ月くらい)の子をかわいがってあげやふと言う心優しい気にはならんのかね。

扇:六ヶ月のガキねぇ……まぁ、せいぜい――
「可愛い~! めっさ可愛い~!」
って狂喜乱舞する程度かな、フッ。

鈴:するのか……。
なんか、ゼッタイ子供が出来たら、子煩悩になるのってあーたのほうよね。

扇:以前、同級のコに言われたことがある……。
君は普通~に親父やってそうだがねぇ。

鈴:いやぁ~、その従妹に、子供好きだから、と言われたときには思わず反論しそうになったぞ(爆)
しかし、なんか、他人から見りゃ、どっちも子供が出来たらってふうに見えるんかもな。

扇:そんなもんかも知れんねぇ……。
って、大幅に話題がズレた所で本編の話をするか。

鈴:そうね。まぢでそろそろだな。
えーっと、……なんだっけ?

扇:鳥のピイたんが死んだことで聖闘士の血に目覚め、悪の教皇を倒すために聖域を目指す『翔(ショウ)』の物語です。

鈴:ある意味、間違ってはないが、違ぁ~うっ!

扇:なにィ!(翼くん調)
まさかこの俺が粗筋を間違えるとは……!
神の怪しい囁きに惑わされた主人公が、唐突に進化して月面に送り込まれ、四千年の戦いに終止符を打つバトル・アクションです。
聖剣を抜く時に、「エボリューション!」と叫ぶのが特徴。

鈴:それ、風魔の小次郎やんっ!
えぼりゅ~しょん、の部分しか合ってないし。

扇:そうか、エボリューションだけ残して後は捨てればいいんだな?
聖闘士星矢の後に描かれた、二番煎じ漫画です。
要は守護星座をルーツと読み替え、動物関連のアーマーを着せて、何か悪役っぽい組織を登場させて出来上がり。(所要時間三分)
主人公の翔を始め、どっかで見たような奴等がちょこちょこ登場するので、聖闘士星矢外伝(黒歴史)として読むと良いかも知れません。

鈴:捨てなくても、それ以外は聖闘士星矢……ってあわわわわわわ……。
まぁ、二番煎じ以外の何物でもないわなぁ、これ。
10週程度で打ち切られたのも……別の理由か……(笑)
ま、まぁ、さておき、とりあえずストーリー紹介は終わったことにして、キャラ紹介に行くべ。
その前にいつものように……。


つれづれ読書日記


つれづれ読書日記以外、爆走中

『作家別目録』、一応、既出作家だけは更新してます……。
『怪しいページ』……まぁ、気にしないで下さい。
なぜか、新しく作った『閃鈴電脳遊戯館』だけは毎週きっちり更新してます。

御覧になりたい方は、最新記事の『目録へのショートカット』、もしくはこちらから!


つれづれ読書日記


扇:では主人公の翔。
仲良しだった鳥『ピイたん(凄いネーミング)』の死に際し、電波干渉を受けて覚醒した少年。(嘘)
新たなる生命体として進化(エボリューション)し、以後は愛のエコロジー戦士として悪と戦う。(大嘘)
傷ついた状態から目覚めたら隣に裸の女の子が寝ていたり、敵に半死半生にされた後にやっぱり同じ女の子から(色んな意味で)エネルギーを受け取ったり、筋肉ムキムキの敵から後を託されたりと、美味しいんだか美味しくないんだかよく解らない運命の流れに翻弄された挙げ句……最後は永遠の戦いへと旅立たった。(合掌)

鈴:じゃぁ、そのいろんな意味で翔にあげちゃった紫鈴シーリン
最初は妖精の戦士で、ちっこい姿で出てきて、しかも必殺技が新体操で使うリボンを扱うなど、どっかずれてる戦士兼ヒロイン。
色仕掛けで翔を戦士にしたてあげようとするなど、陳腐な策略を見せるものの、このマンガ中、最大の奥義「CHARGE!」で翔を救うなど、ヒロインらしい(少年マンガらしくない)ところも見せる。
巻数が短かったため、その実力はよくわからないが、けっこう強かったりして。

扇:え~、「CHARGE!」が気になる方は『サイレントナイト翔』でググッてみて下さい。
多分、一発で問題のシーンが引っかかります。
詳しいことは言えませんが、御子様の目の届かない所で見て下さい。(笑)

鈴:お子様の目の届かないって……まぁ、そのまんまだが(笑)
しかし、いくら二番煎じとは言え、終わるの早かったよなぁ。
車田的な臭いセリフも満載(皇虎など)だっただけに、笑える……もとい、楽しいところはあとあといくらでも出てきそうだったのにねぇ。

扇:そうね。実のところ、ギャグ漫画としては結構期待していた。
期待を裏切らない打ち切りだったがな。

鈴:タイトルで伏せ字にしてる意味ねぇじゃんっ!
まぁ、わかりきってる伏せ字ではあるが(笑)

扇:つーか、この漫画を紹介するに当たって――
NEVER END
の文字で終わった感動的(?)なエンディングを紹介せんわけにはいかんだろうっ!

鈴:いかんな、確かに。
あと、このエンディングのおかげで打ち切りという憂き目がなんかそうじゃないように一瞬でも思わせるところが車田らしいわなぁ。

扇:いや、これ見て誰もが打ち切りだと確信したと思うんですけど……。
無意味に迫力だけはあったけどね、宇宙に浮かぶ地球がバックだったし。
というわけで、必死で探して読む必要があるかと言われるとまったくないのですが、一つの黒歴史としてチェックしても良い作品ではないかと思います。(ファン限定)
では、今宵はこのへんで……さよなラララ~♪

鈴:だから言ってるだろ、一瞬だって。
まぁでも、ある意味、聖闘士星矢よりも笑えるところがあったりするので、たったの2巻で終わってるあたり、手頃ではあります。
ただし、「CHARGE!」の部分があるので、立ち読みには向かないと思ったりもするので、読むときには必ずひとりで読むことをオススメします。
と言うわけで、今回の木曜劇場はこの辺で。
さよ~な~ら~♪

カルタ舞う

2006-08-23 23:04:24 | ファンタジー(異世界)
さて、実は最終巻まだ出ていない第631回は、

タイトル:〈骨牌使い〉フォーチュン・テラーの鏡II
著者:五代ゆう
文庫名:富士見ファンタジア文庫

であります。

先週紹介した、〈骨牌使い〉の鏡Iの第二巻です。
前巻は地固めという印象が強かったのですが、さて……こちらは?



ロナーとの予期せぬ別れ、異民族との接触、〈異言〉バルバロイの襲撃――。
運命に翻弄された末、アトリは仲間と共に北の王国ハイランドを訪れた。
彼女はそこで、〈異言〉達に狙われる理由と、自分に課せられた使命を知ることになる。

かつて大地を支配していた旧ハイランドの流れを汲み、〈詞〉の均衡を保つことを存在意義とする王国は危機に瀕していた。
〈真なる骨牌〉をその身に宿す十二人の〈骨牌〉の一人であり、〈詞〉そのものをまとめる役割を担うハイランド王が死期を迎えつつあったのだ。
王はアトリを歓待し、もっとも古き〈樹木〉と引き合わせるが――。



連続物なので粗筋が書き辛いです……。(泣)

二巻に入り、ようやく光と闇の対立構造がはっきりしてきました。
台風の目として双方から猛烈なオファーを受けていたアトリの立ち位置も明確になり、後は全面対決を待つばかり……にしては展開がゆっくりだけど。
謎の少年ロナーの微妙な立場が明らかになったり、前巻で怪しい動きをしていた人々の正体が判明したりと、ネタ消化に追われている印象が強いから、かも。

主人公のアトリですが、本巻ではお勉強に徹しています。
世界のお勉強、歴史のお勉強、骨牌のお勉強、人間関係のお勉強等を経て、ロナーに口答えできるぐらいまでには成長しました。
もっとも、その後の恋のお勉強(笑ってはいけない)に関しては……お前らいつの間にそこまで接近したんだ? と言いたくなるぐらい不自然でしたが。(爆)

一方、マクロな話では、お高くとまってるハイランドの連中の内輪揉めが描かれます。
正直、アトリがこいつらに味方する理由って弱いよなぁ……と思ってたら、前巻から引き続き登場のファウナがしっかりその方面に切り込んでくれました、偉い。
例によって物語は淡々と進みますが、さすがに終盤では結構激しい展開が見られ、くすぶっていた火種が一気に燃え上がるように破局が訪れます。

あ、ちなみに、この話はバトル物ではないのでそっちの方は期待しないで下さい。
骨牌を使ったド派手な魔法合戦とか、血で血を洗う剣の戦いとか一切なし。
戦闘が好きな方からすると地味かも知れませんが、個人的にこういう話は好きです。

一巻と同じく、作りはしっかりしています。オススメ。
前回もちょっと書いたけど、〈詞〉の設定といい、ハイランドの立場といい、やっぱりこの作品、『ゲド戦記』の影響が濃いと思うのは私だけでしょうか?
このまま行くと、最後にアトリが『影との戦い』エンドを迎えたり、ロナーと一緒に『壊れた腕輪』ごっこやっちゃったりするんだろうか……それはそれで面白そうだけど。(笑)


2006/11/06追記
最終巻出ました! レビューはこちら

続いてしまいました

2006-08-22 23:18:18 | ファンタジー(異世界)
さて、目指せ666回(笑)な第630回は、

タイトル:抗いし者たちの系譜 虚構の勇者
著者:三浦良
出版社:富士見書房 富士見ファンタジア文庫

であります。

先週紹介した、『抗いし者たちの系譜 逆襲の魔王』の続編です。
前回のラスが完璧だったので、続編書いて大丈夫なのか? と危惧していたのですが……さて。



遍歴三年、一枚の書簡が大陸統一国家サッハースの重臣達の元に届いた。
そこに書かれた短い一文は、瞬く間に宮廷内に広まり、多くの者を動揺させる。
散々悩んだ末、帝国宰相スキピオは皇帝サラ・シャンカーラにその件を報告した。

報告を受けてもサラは動揺を示さなかったが、スキピオの仕事は終わらなかった。
書簡の文面について対策会議を開くものの、謀臣達の議論には果てがない。
ようやく出た結論は、疑わしき者に監視を付ける、というものだった……。

問題は他にもあった、近く、皇帝サラが城を留守にするのである。
スキピオは皇帝不在時の精神的支柱としてラジャスを指名する。
だがそれは、非力な人間でしかない彼が元魔王と対峙し、説得せねばならぬことを意味していた――!



モロにスキピオ視点で書きましたが、本作の主人公はサラ・シャンカーラです。(笑)
前作からさほど時間は過ぎておらず、例によって、帝国を支えるサラ+スキピオ+グレンデルの会話で物語はスタートします。
皇帝暗殺未遂事件が終わり、ようやく普通の生活を送れるかと思いきや、またも新たな問題を抱えてしまうあたりはさすが新興国家ですね。(爆)

書簡の内容に付いては、先に解っちゃうと興醒めなので読んで確かめて下さい。
カバーの粗筋に書いてあるのが気に食わんが……誰だ、解説書いた奴!
ともあれ、この一文により帝国内部は揺れ、再び謀略の嵐が吹き荒れます。

ただ、この作者、謀略物が好きなのは解るんだけど上手いかと言われると……疑問。

前巻でとにかく引っかかった、『表も裏も作者が細かく解説してしまう』という点は、スキピオをメインに持ってきて、彼の葛藤に重点を置くことである程度解消されています。
でも、会議で登場する謀臣達の無能っぷりはひどいし、ラス手前で唐突に犯人として差し出された方の犯行理由も幼稚で、やっぱり知略戦を上手く書けているとは思えない。
おまけに最後は、すべてを理解しているスーパーキャラ二人が事態を収拾してしまうというアレな仕様で……ラジャス先生何しに出てきたんだか。(爆)

サラの出番を押さえた代わりに、章の合間に彼女の過去話を入れているのも蛇足。
今更、サラの凄さを強調してくれなくてもいい、って感じです。完全に作者の自己満足。
対決シーンの最後で某キャラが言った台詞は笑えたけど、それだけかな。

とまぁ、マイナス面は多々あるのですが――

スキピオ君楽しいから許そう。

強く正しく美しいけど中身はボケボケな宰相付秘書官ティアカバンが登場したおかげで、前巻よりさらにキャラが立っています。
ラジャスとの対面で、地味~に再登場しているホウキがフォローを入れるシーンは感涙もの。うんうん、非力だけどいい感じに慕われてるよねぇスキピオ君。
他にも、いかにも一癖ある軍司令ウィチィロポチトリが登場したり、ちょっと帰ってきたフェルグスが割と美味しい台詞をもらってたりと、今回もキャラ物としてはいい感じです。

出番は少ないものの、最後はちゃんとサラとラジャスでシメているのも好印象。
ただ、さらに続きが出ることが前提になっているので、前作ほど綺麗に終わってはいません。次巻できっきり完結することを期待すればいいんだろうけど。
個人的には、スキピオと双璧をなす近衛隊長グレンデルの活躍も見てみたかったりしますが、人間中心のこの話のカラーからすると、やっぱり脇で終わるのかなぁ。

少々パワーダウンした気はしますが、読める作品ではあります。オススメ。
最後のおまけ漫画がかなりいい味出しているので、スキピオファンは要チェックです。(笑)