つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

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ハレー彗星って危険?

2006-08-29 15:45:36 | 伝奇小説
さて、これまた世代を選ぶ第637回は、

タイトル:魔の星をつかむ少年
著者:鈴木悦夫
出版社:学習研究社

であります。

昨日に続き、今日もまたおぼろげな記憶と多少の下調べで書きます。
シーンの順序等、間違いがありましたら、遠慮なくツッコンでやって下さい。

学研『5年の学習』に『魔の星が帰る日』の題名で連載されていた伝奇アクション。
児童版幻魔大戦と言っても過言ではない話で、当時はかなりハマってました。
私は単行本で読んだのですが、連載の方だとラストが違ってたらしいです。(後述)

主人公は星界小学校の五年生、火ノ瀬流……当然だけど、若っ!
運動神経抜群な上、任意で自分の記憶を固定・消去できる超能力者ですが、この手のサイキック物の基本通り、最初は自分の超常能力にあまり疑問を抱いていません。
中身は、クラスメイトの恵子ちゃんのラブアタックをかわしつつ、虎視眈々と美人教師・月路映子先生を狙う、至って普通の御子様です。普通です。普通なんですってば。(笑)

物語はハレー彗星の授業内容をすっかり忘れてしまった流が、教え子の不真面目っぷりに涙する映子先生に、ちょっとアタシが住んでる寺まで来いやと誘われた所から始まります。
映子先生は自分がテレパシー能力者であることを明かし、師匠の怪呑和尚(ハルマゲドン?)を紹介した上で、同じ超能力である流に協力してもらいたいことがあるとぶちまけます。
要するに教室の一件は芝居だったわけですね。いたいけな妄想小僧をウソ泣きで騙すとは、罪な女だぜ映子先生。

映子先生の頼みとは、異星人の地球侵略計画を阻止するため、貴方の超能力を貸して欲しい、というものでした。
過去に異星人の実験台にされたおかげで超能力に目覚めた怪呑和尚によれば、敵は近々地球に接近するハレー彗星を利用して計画を進めているとのこと。
このへんの無茶っぷりは、さすが『ムー』で知られる学研ですね。

しかし、そこは超能力者の火ノ瀬流。あっさり異常な状況に適応して、異星人と戦うことを決意します。
おまけに、この状況を利用して憧れの映子先生と親密な仲になってしまおうというとんでもない計画まで立てる始末。
何せ呼び名を月路先生から映子先生に変えた後の心理描写が――
「いずれ映子姉さんと呼ばせてもらおう」
だからもー、奴を止められるのは異星人軍団しかいません! ここまで妄想全開な主人公も珍しい。

その後も様々な展開があるのですが、長いんで箇条書きにします。

・『愛の伝書バト会』なる怪しい宗教の一員である美少女・葉麗が登場。彼女の魔の手が恵子に伸びる。
・映子先生が異星人の手に落ちる。敵は全員、フルフェイスヘルメットに黒いライダースーツといういでたち。
・このままじゃ戦力足りへんから、君も儂と同じ試練を受けてみーへんか? という怪呑和尚の誘いに乗り、流は怪しい銀色の卵の中に入る。一流の超能力者として覚醒し、感覚能力が大幅にアップ。
・目覚めた流に、怪呑和尚が酸化ナイフなる武器を与える。万年筆の中に切れ味鋭いワイヤーを仕込んだもので、酸素を苦手とする異星人が身に付けている特殊皮膜を切り裂くことが出来る……って、それ宇宙人じゃなくても死ぬから。
・葉麗も超能力者であること、異星人の計画に荷担していることが判明する。怒りに燃える流は直接対決を挑むが、その場に恵子がいたため動揺。か弱い少女のフリをした葉麗にハメられて完敗する。
・怪呑和尚が敵の基地に潜入。後を任された流は、指示に従って先生と和尚のクローンを作り、『愛の伝書バト会』の調査を進める。本物とクローンの区別を付けるため、先生のクローンを『映子姉さん』と呼び、野望を達成する。

しかし、この程度で驚いていてはいけません――クライマックスはもっと凄い。

敵の基地に連れて行かれる葉麗と子供達を救うため、酸化ナイフで異星人を殺しまくる流!
異星人に騙されていたことを悔やむ葉麗をお姫様ダッコして、星空の下で人類愛を語ってしまう流!
葉麗と恵子に挟まれ、それでもやっぱり俺は映子先生がいいなぁ、と最後の最後まで妄想に生きる流!

君、年齢詐称してない?

あ、そう言えば、伊藤良子の綺麗なイラストも印象的でした。
今見ると……どの絵も狙いまくってますね。そのままライトノベルにしても通じそうです。
学研つながりで『コミックNORA』に漫画版連載したら受けたかも知れない。

色んな意味でぶっ飛んだ作品です。オススメ。
単行本はハッピーエンドで終わってますが、連載版は異星人と戦って葉麗が死ぬという角川映画超大作みたいなラストを迎えるのだと聞きました。
読んだのが二十年近く前なので、今だと色々辛いかも知れませんが……そっちも読んでみたいですね。かな~り入手困難だろうけど。



ここまで激しく解説しといて何ですが――本書は絶版になっています。(爆)
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