つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

児童文学あなどりがたし

2006-08-28 23:35:03 | ミステリ
さて、同年代の人じゃないと通じないかも、な第636回は、

タイトル:マガーク少年探偵団シリーズ(全十八巻)
著者:E・W・ヒルディック
出版社:あかね書房

であります。

まず最初に……今日の記事は過去の記憶と、ちょっとした下調べで書いてます。
そのため、ところどころ勘違いがあるかも知れません。御容赦下さい。

イギリス生まれの少年探偵物です。
一巻一事件形式で二十六巻まで発表されていますが、日本版はなぜか十八巻で止まっています。
絶版でしたが、最近になって何作か復刊されたようです。ファンとしては嬉しい限り。

探偵団のメンバーは最初四人、途中から加わったメンバを入れると計六人。
全員9~10歳の子供ですが、読んでた当時の印象は『中学生ぐらい』でした。(笑)
簡単にメンバーを紹介しておくと――。

ジャック・マガーク――団長。絵に描いたようなガキ大将で、トラブルメーカー。得意技は、他人の手柄を自分のものにすり替えること。なにげにトム・ソーヤー? って禁句か。(笑)
ジョーイ・ロカウェイ――記録係。本作の狂言回しとして、メンバー全員を観察する。性格は至って真面目だが、杓子定規ではない。絵を見る限り、そのまま会計士でも通じそうだったり。
ウイリー・サンドフスキー――異常嗅覚の持ち主。おっとりとした心優しい少年だが、その実、メンバー随一の観察力を誇る。多分、マガークが一番買っている人物で、よく褒められる。
ワンダ・グリーグ――木登りが得意な少女。機知に富み、数々の献策で突破口を開く。マガークに正面切って意見できる貴重な存在でもある。活発さが目立つが、結構オシャレ。
ブレインズ・ベリンガム――若きマッドサイエンティスト。『見えない犬のなぞ』で探偵団に挑戦し、その後入団。高慢な性格で、呆れた時に舌打ちする癖がある。実は最年少。
マリ・ヨシムラ――日本からやってきた空手少女。『ゆうかい犯vs空手少女』で登場。いわゆる出来杉君キャラだった記憶しかない……。たまに登場するだけなら面白かったかも。

以上。
探偵役と助手役を場面ごとに切り替えるタイプの作品なので、巻によっては印象が違うかも知れませんが、概ねこんな感じだった……筈。(爆)

児童文学ということもあって、メインは町で起こる小さな事件の解決。
ただし、危険な事件に関わることもあり、その場合はちゃんと恐怖の演出をしてました。
山口太一のちょっとホラーチックな絵も、独特の空気を生んでいたと思います。

私のお気に入りは第七作『あやしい手紙』。(新版だと第六作)

ブレインズの入団により科学捜査も可能になった探偵団が、いきなり出くわした大事件の顛末を描いており、最後は警官隊まで登場するスリリングな展開が魅力。
一枚の奇妙な手紙(の切れ端)を手に入れる探偵団、筆跡鑑定に用紙の調査、そして浮かび上がる犯罪計画……と探偵ドラマの魅力が詰まった名品です。
何より、普段は団員を邪魔者扱いする某警部(名前失念)が、ちらりと子供に対する優しさを見せ、最後まで事件に関わることを許してくれたのが素敵でした。

探偵物としても群像劇としても読める、一級の娯楽作品です。オススメ。
もっとも、十二巻辺りからパワーダウンした記憶がありますが……。