医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

誤解と批判を恐れない斜め後ろから見た医療情報

左側の乳ガンに対する放射線治療は心筋梗塞を増やす

2006年09月04日 | 
なぜこのような研究を思いついたのか不明ですが、発想もユニークで、かなり大規模な研究でありながら、治療経過と冠動脈疾患のリスク因子について長期にわたって詳細に解析し、その上結果も出ている素晴らしい論文だと思います。データベースがしっかりしているアメリカならではの研究です。

Late cardiac mortality and morbidity in early-stage breast cancer patients after breast-conservation treatment.
Journal of Clinical Oncology. 2006;24:4100.
(インパクトファクター★★★★☆、研究対象人数★★★★☆)

対象は1977年から1994年にステージIかIIで放射線治療を受けた961人で、治療を受けた側(右か左か)別に、その後最長20年間にわたり心臓病による死亡、心筋梗塞、動脈硬化性心臓病、胸痛の発症は調査されました。調査期間の平均は12年でした。

心臓病による死亡は右側に治療を受けた群で2%、左側に治療を受けた群で3.5%と差がありませんでしたが、心筋梗塞の発症は右側に治療を受けた群で3.6%、左側に治療を受けた群で6.4%と、心臓がある左側に治療を受けた群で有意に多い(p=0.002)ことがわかりました。

動脈硬化性心臓病、胸痛の発症に関しても同様で、狭心症などの動脈硬化性心臓病の発症は上の図のように20年で10%対25%と大差がついています。

アメリカでは約8人に1人の女性が乳ガンを発症するのでこの問題は深刻であるし、心臓への放射線曝露を最小限にする照射野を設定する必要性を示唆させます。


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