医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

誤解と批判を恐れない斜め後ろから見た医療情報

インパクト・ファクターについて(基本的用語その3)

2005年05月20日 | 本ブログの理解を深める基礎知識
今回は少し聞き慣れない言葉「インパクト・ファクター」についてです。

その前に医学はどのように発展していくのかを考えてみたいと思います。

まずは、例えばどうしたらおいしいお好み焼きができるかを考えてみて下さい。

私たちはおいしいお好み焼きを作るために自分でキャベツと生地の比を変えてみるなど試行錯誤をしますが、お隣の奥さんがだしの濃さを変えてみたところとてもおいしくなったとしますと、その意見を取り入れてさらに自分なりの改良を試みようとします。この「お隣の奥さんの意見を取り入れる」という行為が科学論文では「引用」という事に相当します。

研究者は以前発表された論文の結果に同意したり反対したりしながら自らの論文を組み立てます。そして新しい情報を公開していくわけです。

つまり、多く引用される論文はそれだけ情報としての意義と価値が高いとも考えられ、それを客観的に評価するために引用の頻度を数字で表したものがインパクト・ファクターです。インパクト・ファクターは次の式で毎年計算されます。

2005年のインパクト・ファクター=2003年と2004年にある専門誌が掲載した論文が2003年中に引用された回数÷2003年と2004年にある専門誌が掲載した論文数

このように計算することで専門誌ごとに異なる出版部数、発行頻度、発行年数の違いによる偏りを除いて比較することができます。

五千種類以上ある専門誌の半数以上はインパクト・ファクターが2以下です。ちなみに科学専門誌の最高峰の1つである「ネイチャー」の2003年のインパクト・ファクターは30.97です。この雑誌は医学に限らず科学全般の事を扱っていますので、医学にかぎればNEW ENGLAND JOURNAL OF MEDICINEが最高峰で、そのインパクト・ファクターは34.83です。

インパクト・ファクターが高い専門誌のデータは妥協を許さない方法と多くのデータに裏付けされており、信頼性がきわめて高いと考えられています。

本ブログでは、私の独断と偏見により、各論文をインパクト・ファクターが0~2を星1つ★☆☆☆☆、2~5を星2つ★★☆☆☆、5~10を星3つ★★★☆☆、10~20を星4つ★★★★☆、20以上を星5つ★★★★★と分類しました。
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