医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

誤解と批判を恐れない斜め後ろから見た医療情報

どれだけ運動すれば動脈硬化性疾患を予防できるか

2006年04月08日 | 生活習慣病
運動によって動脈硬化性の疾患である心筋梗塞、狭心症、脳梗塞の発症率を下げることができますが、日本人ではどれだけ運動すれば発症率を下げることができるかという調査はこれまでありませんでした。

Walking and sports participation and mortality from coronary heart disease and stroke.
Journal of American Colledge of Cardiology. 2005;46:1761.
(インパクトファクター★★★☆☆、研究対象人数★★★★★)

対象は1988年から1990年の間に運動量を調査された40歳から79歳までの42,242人で、1999年までの10年間前向きに調査されました。対象者は過去に心筋梗塞、脳梗塞、脳出血、ガン、糖尿病、高血圧などがない健常者です。

運動量は、1日の平均歩行時間を目安にして、30分以内歩く群、30分ほど歩く群、30分~1時間歩く群、1時間以上歩く群に分けられました。また、スポーツをする時間として1週間にほとんどしない群、1~2時間する群、3~4時間する群、5時間以上する群に分けられました。

運動時間とそれに関連する各疾患の発症率を表にしました。

1日の歩行時間   30分以内 30分   30分~1時間 1時間以上
脳出血の発症率   0.044%   0.036%   0.032%     0.025%
脳梗塞の発症率  0.064%   0.062%   0.034%      0.041%
心筋梗塞の発症率 0.074%   0.067%   0.059%     0.047%

1週間のスポーツ時間 ほとんど0、1~2時間、3~4時間、5時間以上
脳出血の発症率    0.032%   0.028%  0.037%    0.023%
脳梗塞の発症率    0.045%   0.062%  0.039%   0.058%
心筋梗塞の発症率  0.053%   0.066%   0.069%   0.059%

確かに歩行やスポーツで心筋梗塞や脳梗塞のリスクは下がっていますが、健常者での発症率そのものが低いのであまり恩恵は感じられないと思いませんか。

ただし、この論文とは関係ありませんが、糖尿病や高血圧や高脂血症の患者さんではリスクをかなり下げることができます。



ブログランキング、今は何位かな?



コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 胃潰瘍の治療薬 | トップ | 薬局の請求書の闇 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

生活習慣病」カテゴリの最新記事