医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

誤解と批判を恐れない斜め後ろから見た医療情報

被ばくした親から産まれる子供のガン発症率は上昇しない

2011年09月07日 | 
テレビでは、福島の子どもたちに「私たちの子供はガンにならないの?」などとコメントさせ、根拠もなく不安を煽っていますが、「それは大丈夫だ」という根拠を1つ紹介したいと思います。

Malignant Tumors during the First 2 Decades of Life in the Offspring of Atomic Bomb Survivors
Am. J. Hum. Genet. 1990; 46:1041.
(インパクトファクター★★☆☆☆、研究対象人数★★★★★)

この研究は広島と長崎で被爆した大人がその後出産した子供のガンの発症率を20年間にわたり調査したものです。被曝量は被爆者の状況によりDS86という計算式で推測されました。そして、被爆していない大人の場合と比較されました。

上の図はこの論文に掲載されているものです。スマートフォンでご覧になっている方には見にくくて申し訳ないですが、そういう方はPCで見直してください。

一番上にあるのは被曝量で、.01-.09 Svは0.01シーベルトから0.09シーベルトということですから、10~90ミリシーベルトということです。それだけ被爆した親から産まれた子供が広島と長崎の合計で10,642人調査されたという意味です。

1.00-2.49 Svすなわち1000ミリシーベルトから2490ミリシーベルト被爆した親が2295人いたりして、福島原発事故での被ばく量とは桁違いに高いです。子供を産んだ後は死亡しているのかもしれません。

下の図は、いろいろなガンの発症数ですが、一番下が合計です。親の被曝量がたとえ1000ミリシーベルトから2490ミリシーベルトであっても、発症数を親の人数で割った発症割合は変わらないという結論の論文です。

子供の被ばくとガンの発症率を調べるには、チェルノブイリか長崎か広島しかなく限定的ですが、福島原発事故程度の被ばくが子供のガンの発症にほとんど影響を与えないという論文は、その他にもたくさんあります。今後折を見てご紹介したいと思います。

なるほど~と思われた方、こちらもぽちっと「ブログランキング」応援よろしくお願いいたします!
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする