多摩川散歩道の土手をおりると、小さな支流がゆっくり流れている。そろそろ陽がかたむいて、川面が朱色に染まりかけて、流れはさらに無口になる。風もやみ、足もとまる。 . . . 本文を読む
少し季節を巻き戻して、昨年の秋。玉川上水沿いの散歩道。コースの中ほど、右手にこんもり盛り上がった小さな丘があり、雑木林が陽射しをあびてきらきら輝いている。紅葉と暗い斜面のコントラストが心地よく、足元の落ち葉がかさかさと季節をめぐる。 . . . 本文を読む
何年か前の箱根・芦ノ湖の冬。風が強く、気圧は下がり、なんとも不穏な雰囲気があたりを包んでいた。ジョルジュ・デ・キリコの絵のような、形而上的な…、と感じて何枚か撮影したことを覚えている。湖面はしぶきをあげ、右から伸びる木の影が揺れて、不穏に腕を抱く。 . . . 本文を読む
神社の階段下そばを流れる用水路。流れはかなり強く、左手の多摩川に戻るのだけれど、見守る水守のように、黒い木が横たわる。何度か描いた、桜の倒木だ。夏の間は涼しげに、身体を伸ばしていたのに、この時期はやはり寒々しい。それでも惹かれる何か…。 . . . 本文を読む