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まさかのEU離脱~イギリス国民投票~

2016-06-26 00:13:02 | 報道/ニュース
「恐ろしい事だ」EUからの脱退が確実となった瞬間、BBCのレポーターはこう言ってしばらく言葉が出ませんでした。イギリスだけでなくドイツ、アメリカ、世界中に衝撃が走りました。キャメロン首相は辞意を表明。経済だけでなく政治にも大きな動揺が広がっています。来年にはフランスの大統領選挙、オランダの総選挙、ドイツの総選挙を控え、ほかのEU諸国にも影響は必至です。
23日に行われたイギリス国民投票、直前までの予想では接戦で残留となっていたため、予想に反した時のショックは大きく金融市場に激震が走りました。為替は一時1ドル99円台まで下がり、株価も1300円超の値下がり、2008年のリーマンショックを超える大暴落となりました。そのショックは日本からヨーロッパそしてアメリカへ世界中に広がっています。
そもそもEUの理念は戦争のない平和なヨーロッパでした。第二次世界大戦までヨーロッパでは戦争が続き国中が荒廃していました。原因は石炭鉄鋼などの資源の争いでした。それなら石炭鉄鋼を共有すれば戦争はなくなると考えたのが始まりでした。イギリスのチャーチル首相も推奨していたものです。
石炭共同体から始まり1967年にフランス、西ドイツ、イタリアとオランダ、ベルギー、ルクセンブルグの6か国でECヨーロッパ共同体が出来ました。1973年にイギリス、アイルランド、デンマークが、1980年代にギリシャ、スペイン、ポルトガルが加わり西側ヨーロッパのほぼすべての国が参加する経済共同体となりました。1985年には人・もの・サービスの移動の自由というシェンゲン協定が調印され1989年のベルリンの壁崩壊以後東欧諸国が加わり、1992年現在のEUが発足しました。2002年には共通通貨ユーロの導入。ヨーロッパの平和に寄与していると2012年にはノーベル平和賞をもらっています。そして現在は28か国となりました。
EUがこれだけ広がるとやはり経済格差の問題が出てきます。ポーランドやルーマニアでは平均給料4万円がイギリスへ来ると16万円になります。そのため東欧からイギリスなどの先進国へ移民移住が毎年増え続け、いまではイギリスだけで230万人の移民がいます。医療やサービスもイギリス国民と同じとなれば病院も学校も移民であふれ、もともといたイギリス国民が満員で断られてしまいます。また2年前のギリシャ危機では結局EUは債務免除を決めましたがイギリスに多額の負担金を求めました。人の面倒ばっかり見ていないで自国民を大切にするべきと中年のおばさんが嘆いていました。
イギリスがECに加盟したときイギリス経済は最悪でしたが加盟で持ち直しました。EUという大きな経済圏はイギリスにとって大きなメリットということはみんな分かっていても毎日の生活に不満は増すばかりでした。
イギリス議会にも問題は起こりました。EUはヨーロッパをひとつにという理念から法律も同じにと進めています。フクシマの事故を受けて原発をなくす方向のイギリスは太陽光パネル設置に減税を決めました。ところがその法律にEU議会が待ったをかけたのです。イギリスだけで決めるのではなくEU議会で決めようとしたのです。さすがにこれには与党も激怒、自国の法律も自由に作れないのかとEUを批判しました。さらにシリア難民の問題が降りかかってきました。ドイツのメルケル首相がEU全体で難民を受け入れようと提案しました。毎年30万人の移民を受け入れてきたイギリスにはもうそんな余裕はありませんでした。
あふれる移民に仕事を奪われ、議会はEUに自由を奪われている、これではイギリス連邦として世界に君臨するイギリス国民のプライドが保てません。感情論が沸きあがった結果、離脱という最悪のシナリオへ突き進んだのです。
とは言え、今回の結果は52%対48%とおよそ半々です。イギリスがECに加盟する時の国民投票は63%の賛成でした。一時的な感情は離脱に動いても冷静に経済を考えれば、移民やイスラムがちょっといやでも議会がうるさくても、本当はイギリスがEUをけん引していった方がイギリスにとっても良いのです。離脱したって問題は解決しないし新たな問題が生まれるだけです。今回の国民投票はあまりにも過熱したため、正しい判断ができなかったのです。Great Britain、紳士の国、民主主義のもっとも進んだ国で殺害事件にまで発展したのは異常でした、亡くなったジョー・コックス下院議員のためにももう一度考えた方がいいと思うよ。
国民投票はもうできないと言っている人が多くいますが国会で決めればできますよ。まわりの国が同調して離脱に走らない前に、スコットランドが独立してEUに入っちゃう前に、考えた方がいいと思うよ。そうすれば金融市場の大混乱はあっと言う間におさまります。(夢のような希望的観測)

2016/06/25

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