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イギリスEU離脱~メイさん奮闘記~

2018-12-17 06:01:17 | 報道/ニュース
久しぶりのブログです。忙しかった訳ではありません。トランプだの、安倍さんだのに飽きちゃっただけです。しかし2ヶ月も休んでいるとやっぱりいろいろ変わりますね。で、いまどうなっているかと見渡すと、これがまたどの国も大変じゃないですか。
まず、ヨーロッパから行きましょう。イギリスのメイさん、EU離脱に2年以上奮闘してきてやっとEU議会との離脱協定がまとまった、と思ったら、与党からも野党からも大ブーイング。来年3月の離脱がイギリス国会の承認なく進んでしまう異常事態です。
主な理由は北アイルランドの問題です。イギリスはイングランド、スコットランド、ウェールズそしてアイルランドの4つの王国の連合国でした。そのためUnited KingdomUKと言われています。しかしプロテスタント教徒のイギリスにあってカトリック教徒のアイルランドは1922年イギリスから独立。そのとき北アイルランドにはプロテスタント教徒が多くイギリスに残りました。それが今のイギリスです。その後1960年代に両派の対立が深まり1969年カトリック系住民によるアイルランド共和国軍IRAが武装闘争をはじめました。北アイルランドをアイルランド共和国へ併合するようイギリスに求め、70年~80年代は激しいテロが続きました。1998年イギリスのブレア政権と北アイルランド和平合意が成立、2003年にIRAは武装解除を宣言しましたが、北アイルランドの自治は現在も実現できていません。北アイルランド問題はイギリスにとって未解決なのです。
そのためEU離脱となるとEUに残るアイルランドと北アイルランドをめぐって再び国境問題が起こります。北アイルランドはイギリスなのかアイルランドなのか、関税はどうするのか、メイさんは当面今のままでというあいまいな協定でまとめようとしましたが、いつまでかはっきりしていません。メイさんはこれ以上打つ手がありません。
だから、言ったでしょう。EU離脱なんてしない方がいいんですよ。EUに払うお金が高すぎる、とか言って「EU離脱だ」と大騒ぎしていた独立党党首やジョンソンをはじめ離脱派はウソだったと認めています。国民にウケの良い事を言っている政治家はたいていウソばかりと言うのは日本も同じですね。
現在イギリスにはEU域内から320万人が流入しているといわれています。離脱派は「イギリス国民の職を奪っている」とか「利益が持っていかれている」と騒いでいましたが、ほぼ同じ人数がイギリスからEU域内へ出ています。これも離脱派のウソでした。
移民・難民があふれて困っている、または格差の問題をEUのせいにして離脱するというのもよく分かりませんね。離脱することで解決できることではないからです。
そうこう考えるとやっぱりイギリスのEU離脱には根拠がありません。2年半の離脱交渉に費やしたメイさんの努力も意味がありません。しかも離脱した後の作業がこの何百倍も待っています。メイさんは離脱交渉が終わったら辞任すると言っていました。なんじゃ、こりゃ
EU28カ国の中にあって経済力は一位ドイツ二位イギリスです。移民・難民問題で窮地に立たされたドイツのメレケルさんは党首を辞任しました。メルケルさんはイギリスのEU離脱交渉に「いいとこ取りをさせない」と妥協はしませんでした。そのメルケルさんとメイさんがお互いの気持ちを察してハグしているニュース映像は政治をしている政治家の姿を感じましたね。日本の政治家にはない空気です。う~ん・・

2018/12/16
※そもそも経済的にアメリカとの結びつきが強いイギリスは当初、EUに入れてもらえませんでしたよ。ヨーロッパでアメリカの影響力が強くなることをEU諸国が恐れたためです。しかし1973年のオイルショックで世界的危機を乗り越えるには統合が必要となりやっと入れてもらいました。75年に政権が労働党に変わると離脱の国民投票が行われましたがこのときは離脱しないとなりました。それから40年、イギリスはEUの一員であることが当たり前になり、行ったり来たりの自由に慣れています。40才以下の人はイギリスがEUでない時代すら知りません。ここで再び国境だの関税だのとなったら大混乱しますよ。イギリスは入れてもらったことを忘れてはいけませんね。