風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

愛媛-大分、海の道 4-(1)

2015-12-14 | 九州
3日目からの続きです。
○ 国東半島バスツアー

4日目の朝、宿をチェックアウトして、別府駅に向かいました。
ここから、大分交通の「国東半島史跡めぐり」バスツアーに参加します。
平日なので、参加者は数名くらいだろうと思ったら、総勢20名ほどのちょっとした大所帯。
普段よりも人数が多いため、急きょ大型観光バスで巡ることになったそうです。

一人参加はあぶれものになって寂しいかな、と思いましたが、おひとりさま参加者はほかに何人もいたので、大丈夫でした。
渋いテーマなので年配の方ばかりじゃかなとも思いましたが、意外にも年齢層は幅広く、すっととけこめます。
みんな精力的に写真を撮りまくっていました。



はじめは海沿いの道を通っていきます。
パームツリーが生えていて、南国ムードたっぷり。



別府には港もあるんですね。桟橋から乗り込む参加者のために、バスはコンコースをぐるりと回ります。
ちょうど、さんふらわあ号が入港停泊中でした。
実際に見るのはこれが初めて。大き~い。



○ 地獄じゃなくて温泉天国

山の方から上がっている煙は、鉄輪温泉だと教えてもらいます。
かんなわという名前が特徴的で、印象に残っていました。
「鉄輪」といったら、能の演目を思い出します。
幽玄というよりもおどろおどろしい丑の刻参りの話ですが、この場所にはそんなイメージはありません。
能とは関係ないんでしょう。ひょうたん温泉の砂湯に行ってみたいな。



わ、なんかいる!
ガラス越しに撮ったら、自分の影が映ってしまいました。
山の陰になっているのは、でいだらぼっちではなくて私の頭ですー。

アカネちゃんにも、ドライブ中にいろいろな温泉を紹介してもらいました。
たくさんあって、覚えきれません。
大分は、日本一の温泉天国なんですものね。

快適なシーサイドドライブにウキウキ。
「でも海はここまで。今日は山をメインにまわります」とバスガイドさんが言った通り、バスはどんどん海を離れていきました。

○ 八幡宮の総本社



まず最初に訪れたのは、JR宇佐駅。
神宮を模した、朱塗りのアクセントのきいた駅舎です。

宇佐神宮は前々から訪れたかった場所です。
普段身近な鎌倉の鶴岡八幡宮は、もともとは京都の石清水八幡宮から勧請したお社。
石清水八幡宮は、さらにこの宇佐神宮から勧請したお社です。
時代によって政治の中心地が変わったため、八幡の神様を祀る大きな神社は日本中にいくつかありますが、全国にある八幡宮の総本社は、ここ宇佐神宮。
その割にそんなに知られていない気がしますが、それは私が関東に住んでいるからでしょう。

そういえば、アカネちゃんの曾おじいさまは、宇佐神宮の宮司だったそうな。
アカネさんって、華麗なる一族なんじゃない?(いきなりサン呼びしてみたり)

○ 和気清麿呂も神様に

バスガイドさんが、和気清麿呂の話を教えてくれます。
宇佐の八幡神の神託を受けに来て「道鏡を天皇にしてはならぬ」という神のお告げを持ち帰った彼。
怒った道鏡が清麿呂の名前を変えた話は知っていましたが、怒り任せに彼の足の筋まで切った話は知りませんでした。
それはやりすぎー!神様のお告げなんだから、神様を恨めばいいのに。
島流しにされた清麿呂が宇佐の地にたどり着いて、神のお告げにより温泉に足をつけたら痛みが収まったという話も初めて聞きました。

ここには清麿呂も神として祀られているそうです。
ちょっとドサクサでは?
でも彼の活躍で、天皇の歴史が変わらずに済んだので、皇室としては大きな存在ですね。
鳥居には屋根がついており、仏教を初めて取り入れた神仏集合のスタイルを保っています。



宝物館前の木のところにサギがいました。
池に棲みついているのでしょう。



○ 広大な境内

境内は自由行動で、思い思いに参拝します。
大手旅行会社のように行動をきっちり管理されているわけではなく、バスを降りたら基本自由行動なのが気楽。



それにしても広い境内です。春日大社も広いと思いましたが、結構起伏もあるし、敷地面積はそれ以上のようです。



そしていよいよ、八幡の神様にご挨拶する時がやってきました。
宇佐の神様には、どんなお願いをしてもいいけれど、「天皇になりたい」というのはNGだそうです。
道鏡ショックが今も続いているんですね。



拝殿は祀られている神様ごとに3つに分かれており、すべてに参拝してきました。
境内には大楠の木があり、みんなで撫でます。ナデナデ・・・。



大人気の大楠ですが、人間だけでなく、オオカマキリも近くにいました。
なにかお告げをもってきたの?



○ 元宮は山の上

遠くの山の遙拝所もありました。宇佐神宮の元宮は、南東4Kmにある御許山の9合目にある大元神社になります。
神代の昔、この山頂に三柱の比賣大神が降臨されたと言われています。
御神体の巨石が三つあるそうですが、大元神社から上は禁足地で、立ち入ることができないそうです。



御朱印もいただきました。美しい字で書いていただきました。
結構な傾斜の階段を上って拝殿に行ったので、今度は降りていきます。



普通の絵馬のほかに、きれいに塗られたひょうたん絵馬も奉納されていました。
ご祭神の神功皇后がひょうたんに母乳を入れて、息子の応神天皇に与えられたといわれているからで、願いを書いてひょうたんに入れて奉納するため、他の人に見られずに済むそうです。



帰り道、長く続く階段を下りて振り返ると、ほかに人はおらず、漂っているのは聖域ならではの住んだ空気。



境内には神宮仕様のポストがありました。
宇佐神宮のスタンプが付くのかしら?



帰りは別ルートを通ってみました。
行きに通った朱塗りの橋を眺めます。



○ SLクラウス号

神社の境内には。SLクラウス号が展示されていました。
昔は宇佐参宮鉄道としてこの辺りを走っていたそうです。
神社とSLの組み合わせは、不思議ですが、クラシカルなところでは共通しているのかも?



現在、このクラウス26号と同じ形式のものは、北海道沼田町(15号)と岩手県遠野市(17号)に保存されているものだけ。
チョロQもあるそうです。ちょっと欲しいな。

○ 秘密結社ねぎねぎ団

参道にあったねぎ焼きのお店に吸い寄せられました。
世界中にねぎ好き人間の増殖を企てる秘密結社、ねぎねぎ団!とっても気になるわ~。
でもまだ準備中のようでした。
ああん、ねぎねぎ団に入団したかったのに~。イラストを見るに、ショッカーっぽい団員のようです。



念願の宇佐神宮を、この日いの一番に参拝できて、とても満足。
突き抜けるようないい天気の日で、神様に願いがまっすぐ届くようでした。

○ もうすぐ収穫期

バスの外はのどかな光景。
時が止まったような景色に心癒されます。
なにもないのが、いいんですよね。



○ 富貴寺の住職の法話

それから次に、富貴寺を参拝しました。
平安時代に宇佐神宮大宮司の氏寺として開かれた、由緒ある寺院。
石でできた仁王像はどっしりとしており、木造とはまた違う存在感を放っています。



仁王門をくぐり石段を上がって行ったところに、国宝のお堂がありました。
福岡出身の知人が「ここの屋根のカーブが最高に美しい。日本一だ」と絶賛しているので、じっくり見入りました。
均整のとれた美しさがあります。
ただ日本一と言われると、どうかしら。そこはもう好みの領域です。



お堂の中で、住職のお話を拝聴します。
まず、「ここは富貴寺ではありません」と言われました。
え?どういうこと?
富貴寺は石段を降りたところにあるお寺で、今いる場所は大堂(阿弥陀堂)だそう。
でも、富貴寺と言ったらこのお堂の写真が出てくるので、あれれ?ですね。

国宝指定されているのはこちら。正確には富貴寺ではなく大堂でした。
九州に現存する、最古の木造建築だそうです。
平安時代後期の建築で、大堂とご本尊の阿弥陀如来像は一本のカヤの木で作られたものだそう。

いろいろと歴史を交えた法話をしていただきました。
「おがむ」とは「挨拶する」こと。
インドで「ナマステ」(帰依する)と言っていたのが、「南無」(+相手の名前)となっていったそうです。
「なむあみだぶつ」の「なむ」は、「ナマステ」から来ていたんですね。

石清水から鎌倉に八幡宮を勧請し、八幡の神を全国に広めたのは源氏。
神宮を管理していた宇佐一族はこの地で繁栄していましたが、平家方だったため、源氏に目を付けられたそうです。
援助を失い落ちぶれてしまった宇佐神宮を、富貴寺が管理していた時代もあったのだそう。

1052年には末法年として終末思想が日本を覆いました。
少し前に、私たちも世紀末を体験しましたが、情報の少ない時代ではそれ以上の深刻さがあったでしょうね。

比叡山の源信が「世の中が末法となるのを防ぐには、阿弥陀如来像を作ってすがるしかない」と本に書いたため、当時のお金持ちは、こぞっって阿弥陀堂を作ったそうです。
源信は、源空(法然)の師匠。
このお堂も個人が作ったもので、平泉中尊寺金色堂、宇治平等院鳳凰堂と並ぶ日本三阿弥陀堂のひとつとされているのだそう。
その二つ、そして京都大原の三千院と同じ建築様式で建てられているそうです。

くすんだ壁には白カビのようなものが見えますが、それは経年劣化で色落ちした重要文化財の仏画だとのこと。
うっかり落とすわけにはいきません。

当時は"のこ"がないため、かやの木目がまっすぐではないのだそう。
そういうことを考えてみたことがありませんでした。
昔は、よくまっすぐに近い形にしてお堂を建てたものですね。



法話を終えて下のお寺に戻って行く住職。
大木の茂る境内の中で、雰囲気がありました。

○ 声聞くときぞ秋は悲しき

そういえば、法話中に「ピーー、ピューー、キュウウウ」という気になる声が森から聞こえてきました。
鳥の声かなと思っていましたが、あまりに鳴き続けるため、住職は法話を中断して「あれは鹿の鳴き声です」と教えてくれます。
かしこまって正座をし、静かに聞いていたみんなは、「えーっ?」と驚いて少し腰を浮かせる人も。
おそらく鹿の声を聞いたのは、みんな初めてだったんでしょう。薄暗いお堂の中はざわざわしました。

鹿の鳴く声といったら、百人一首の猿丸大夫の名句「奥山に紅葉ふみわけ鳴く鹿の声聞くときぞ秋は悲しき」ですね。
どんなに心にしみわたる、物悲しい切ない鳴き声なんだろうと思っていたら、叫んでいるような落ち着かない高い声でした。
思ってたのと違うー。あんまり聞きたくないわー。

パートナーを探す、雄の鹿の求愛の鳴き声ですが、この声で雌ジカは惹きつけられるのかしら。
うーん、鹿の世界はよくわかりません。

○ この日もだんご汁

参拝後には、お寺の向かいにある「カヤの木」という食事どころで、昼食をとりました。
蕎麦定食かだんご汁定食かで、だんご汁の方を選びます。



昨日の夕食にアカネちゃんと食べたばかりですが、おいしかったので。
わーい、平麺続き。ヘルシーな食事でした。

その2に続きます。



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2 Comments

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Unknown (アネッティワールド)
2015-12-16 13:38:08
停泊中のサンフラワー号で別府へ行っり
かんなわも訪れたのでしたが、
そこからが全然知らないところだらけです。

南無がナマステからですか。
なるほどね。

バスツアーはいいですね。
ガイドさんがいっぱい教えくれるので。

長崎の平和公園ではよそのグループに
まぎれてガイドさんの説明がとっても
有りがたかったです。
みなさんボランティアなんですよね。
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アネッティワールドさん (リカ)
2015-12-17 19:09:29
サンフラワー号に乗られたことがあるんですね!私は見たこと自体初めてで、大きさに圧倒されました。

ツアーはガイドさんの説明が、とってもためになりますね~。車なしではとっても周りづらい国東半島なので、ツアーに入ってよかったです。

では、ナマステ~☆
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